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請求書WEB配信は、テレワーク実現の救世主となるか?

  • 働き方改革

対面コミュニケーションを前提とした日本的な働き方の慣習から、なかなか浸透しなかったテレワーク。それが2020年4月7日に新型インフルエンザ対策特別措置法(特措法)に基づく緊急事態宣言をきっかけに急速に拡がりました。
政府からは人と人との接触機会を8割削減するという目標が示され、外出自粛や在宅勤務の強い要請があり、急速にテレワークの導入・推進に取り組む企業が増加しています。
そこで本コラムでは、経理担当のテレワークを実現するための手段として注目されている「クラウドの請求書WEB配信」を解説します。



目次

 - 紙の請求書の課題とWEB配信のメリットを比較

 - 取引先1万件に請求書をWEB配信。キヤノンマーケティングジャパンの実践事例

(1)どの程度コストが削減できそうか?
(2)メールアドレスの取得方法までサポートされているか?
(3)既存の請求書レイアウトを使用できるか?

 - WEB配信を検討し始めた理由

経理部門におけるテレワーク導入状況

テレワークの実施状況

一般社団法人日本CFO協会がおこなった、企業のCFOおよび経理・財務幹部へのアンケート「新型コロナウイルスによる経理財務業務への影響に関する調査」によると、テレワークを実施または推奨した企業は全体の約70%でした。一方で、このうち43%が「テレワーク実施中に出社する必要が発生した」との回答でした。

出社理由は「紙の書類の処理(請求書・証憑書類・押印手続・印刷)」「会議への参加」「打合せ」「銀行対応」など。

この調査結果から、テレワークへの取り組みは広がったものの自宅や社外では対応できない業務が多いことがわかります。

弊社キヤノンマーケティングジャパンでも、今回のコロナ禍をきっかけに、在宅勤務等のテレワークを推進しておりましたが、その中でもテレワーク推進の阻害要因となったものとして「紙の帳票の発行業務」がありました。

請求書などの帳票発行業務は、専用の機器(印刷機、封入封緘機など)やシステムを使い、印刷~配送業者に渡すところまでの間に人手の作業やチェックが多く発生します。従って、会社がテレワークを推奨しても、誰かが出社して業務を行わざるを得ませんでした。

同じように、請求書等の紙の帳票発行のために出社を余儀なくされた方も多かったのではないでしょうか。

紙の請求書が取引先のテレワークを妨げる?

紙の請求書がテレワーク導入の阻害要因になることは、いまや自社だけの問題ではありません。
なぜなら、紙の請求書を送ると相手(取引先)は必ず受け取らなければならないからです。紙で送られてきた請求書をテレワークで確認することは困難。だから、取引先もまた「出社して請求書を受け取る」必要があるのです。

実際に弊社においても、新型コロナウイルス感染症に端を発したテレワーク人口の増加を機に、取引先から「テレワークで出社しないから請求書をPDFで送ってくれないか」とのお問い合せが一段と増えています。

テレワークの普及により、請求書の電子データでの受け取りニーズは確実に増えているのです。

「請求書のWEB配信」によるテレワークの実現

WEB配信の概略図
発行元がデータを登録。WEB配信システムを介し、受取先に通知送付。データを取得。

紙の請求書の発行時および受け取り時における2つの課題は「WEB配信」で解決できます。

紙の請求書発行の場合、「作成する場所」と「受取る場所」の2つの”場所”が必要です。この2つの”場所”の問題を解決できるのが、請求書を電子データで配信する”WEB配信”という方法です。

紙の請求書の課題とWEB配信のメリットを比較

紙の請求書の課題 WEB配信のメリット
請求書の発行時(自社) 出社しないと作成できない(専用の設備やシステムが必要)
ミス防止のため、複数名で出社して目視のチェックが必要
どこからでも送ることができる(帳票データとインターネット環境があればOK)
帳票システムと自動連携することで人為的なミスを防止
請求書の受取時(取引先) 請求書受け取りのために、取引先に出社をしてもらわなくてはならない
電子承認の仕組みがあっても、紙をスキャンする作業が必要
どこからでも受け取ることができる(インターネット環境さえあればOK)
電子データで受領するため、紙のスキャンも不要

「請求書のWEB配信」で成果をあげた事例

取引先1万件に請求書をWEB配信。キヤノンマーケティングジャパンの実践事例

キヤノンマーケティングジャパンでは、2018年から請求書のWEB配信を導入。お客さまの運用を重視し、WEB配信への移行に同意いただいてから切り替えています。切り替え数は毎月約500~600件規模で増加し、今では1万件以上のお客さまに請求書を配信しています。

すぐに受け取りたい、またはPDFで請求書を受け取りたいというお客様のニーズにお応えできるため好評をいただいております。

さらに、自社で行っていた紙の請求書発行業務のコストと作業負荷を大幅に削減するだけでなく、即日届くことで、意外と時間と人手をかけて対応していた「いつとどくの?」「至急FAXで送って!」といった問合せ業務が無くなったことも大きな効果として挙げられます。

導入後の成果

  • 1通当たりの通知コストを90%以上削減(印刷費・配送費・人件費削減)
  • 即日届くので、顧客からの問合せ削減(到着日確認、至急送付依頼、再発行など)
  • PDFで送れるので自社とお客様のペーパーレス化に貢献

サービス導入検討時に必ずおさえたい3つのポイント

(1)どの程度コストが削減できそうか?
印刷や配送費を必要としない「WEB配信」は紙の郵送と比較して、1通あたりのランニングコストを大きく削減できる特徴があります。通数が多いとその分コスト削減効果も高くなりますが、逆に通数が少ない場合は、初期コストも含めるとコストメリット出ないケースもあります。月間発送通数が数百件程度の場合は、請求書のみでなく対象の帳票範囲を広げ通数を増やす事を検討してみても良いかもしれません。簡易的なコスト削減シミュレーションを行ってくれるサービスもあるので是非ご利用ください。
(2)メールアドレスの取得方法までサポートされているか?
WEB配信を導入するにあたって意外と見落としがちな作業として「メールアドレスの取得方法」があります。今までは紙で送っていいたため、WEBで送付する際に必要な「送付先メールアドレス」が分からないというケースも多く見受けられます。

取引先から紙やメールでメールアドレスを収集したメールアドレスを人手でクラウドに転記して登録なんてことをしていると、手間が増えるだけでなく、転記ミスが発生するリスクがあります。弊社では、この作業負荷とリスクを軽減するため、取引先に配信先のメールアドレスをご入力いただくウェブサイトを製作し、そのサイトをご案内する事で収集業務を効率化しました。配信に関わる機能のみでなく、メールアドレス収集も手間なくできそうか?も合わせて検討する事が重要です。
(3)既存の請求書レイアウトを使用できるか?
WEBへ移行しても、紙の郵送時の請求書と同じ帳票レイアウトで送れるかも重要なポイントとなります。

WEB請求への移行で、既存のデータをそのまま使う事ができない場合、請求書イメージの生成方法から検討する必要があり、生成方法によっては、レイアウトに制限が発生する場合もあります。生成方法の制限によりレイアウトが変わる場合、必要な情報が表示できない、移行時の取引先承諾事項が一つ増えるなどWEB移行の障害となってしまう可能性もあるので注意が必要です。

帳票生成に必要なデータをCSV等のデータで提供する事で、既存の帳票レイアウトを変えずに帳票生成から行ってくれるオプションを提供しているサービスもあるので、帳票イメージ生成からの検討が必要な場合は、そういったサービスも含めて検討すると良いでしょう。
チェックリスト:サンプル

請求書Web配信についての「選定チェックリスト」をご用意しています。
下記ボタンよりダウンロードが可能です。ご検討の際にぜひご活用ください。

導入検討時によくある疑問

Q1
請求書をPDFで送って法律的に問題ないの?(紙との違いは?)
A1

問題ありません。
請求書をPDFで送ることは、電子帳簿保存法における「電子取引」に該当し、法的には問題ありません。
事前の届け出も不要です。ただし、従来の書面での取引同様に、取引情報を法で定められた期間保存することが求められています。また、電子データではなく、書面に出力して保存することも認められています。
詳細は、国税庁のウェブサイトにてご確認ください。

「電子帳簿保存法の概要」4.電子取引の概要
「No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法」3 電子取引をした場合の電磁的記録の保存方法

Q2
すべての取引先が承諾してくれないのでは?
A2

すべての取引先から承諾を得る事は難しいですが、WEB配信の比率が高ければ業務の効率化は実現できます。重要なのは「WEB配信の比率をいかに高くできるか?」です。
”電子データ受取りたい”というニーズは、確実に高まってきているので、WEB配信のメリットを明確伝え、テレワークでも”送れる”、”受け取れる”環境づくりを取引先の理解をえながら構築していく移行計画を設計することが重要です。

Q3
PDFしか送れないの?請求書でしか使えないの?
A3

PDF以外のデータ形式も送付可能です。請求書以外の帳票と併用して使用できるサービスもあります。
請求書を送る場合は、改ざん防止のためにPDFのような編集ができない状態のデータが望ましいと思いますが、PDF以外のデータ形式でも対応可能なWEB配信サービスが多いようです。
補足ですが、主帳票のデータ以外に、添付データも一緒に送れるWEB配信サービスもあるので、「請求書PDF」に「取込み用の請求金額明細CSV」を添付して送るなどといった使い方もできます。

また、請求書での利用を前提に、請求書に特化したWEB配信サービスもありますが、請求書に限定せず様々な帳票での利用も可能な”ビジネス帳票WEB配信サービス”というカテゴリーのサービスもあるので、請求書以外の帳票も含めてペーパーレス化を実現したければ、後者を選択すると良いでしょう。

テレワーク環境にも対応、WEB請求書配信サービス
「bizform online 配信」で働き方改革

キヤノンマーケティングジャパンでは、自社導入した帳票WEB配信システムをお客さまにも活用いただけるクラウドサービスとして「bizform online配信」というサービス名で展開しています。
請求書の発行業務などで出社が当たり前だった経理部門にテレワーク環境を実現するとともに、受取側のテレワークも促進します。クラウドサービスなので、初期コストを抑えて短期間で導入が可能、専用設備も不要です。受取先に利用料はかかりません。


また、 帳票WEB配信の機能だけでなく、お客様の状況やご希望に合わせて、「メールアドレス収集サイト」や、「帳票イメージ生成」や「紙の郵送との併用」などもオプションとしてご用意しております。既存の業務内容をお聞かせいただければ、必要な機能を組み合わせ最適なプランをご提案いたします。 

導入にあたって、社内規定や法的側面も気になるところかと思いますが、自社導入の経験からアドバイスなどのご支援もさせていただきます。お気軽にご相談ください。

新型コロナウイルス感染症対策で加速する、請求書のWEB配信

WEB配信を検討されるお客さまからのお問い合せや導入が急激に増加していますが、検討を始めたきっかけは以下の2つに分類されます。

WEB配信を検討し始めた理由

  • テレワークを推進しているが、請求書発行業務は出社を前提としてしまっているため改善したい
  • テレワークを推進されている受取先から、電子データでの送付を依頼されるケースが増えた

どちらもテレワークが起因の理由となっています。

出社しないと送れない、受け取れない。そんな課題を解決する方法として「請求書のWEB配信」が注目されています。

請求書のWEB配信は、コスト削減や問い合わせ減少といった自社のメリットだけではなく、取引先にも大きなメリットがあります。さらに、ニューノーマル時代のテレワークも促進できるため、社会にも貢献できる三方良しの解決策と言えます。

貴社でも請求書のWEB配信導入を一度検討してみてはいかがでしょうか。



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