働き方改革や労働力不足への切り札、BPO活用のすすめ
近年の働き方改革の推進にともない、企業は環境や法令の大きな変化にさらされているのが現状です。本稿では、企業が今後どのような変化に直面するのか、それに対してどのように対処すべきかを紹介するとともに、そういった労働環境の大きな変化への対応策のひとつである「BPO(Business Process Outsourcing:ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の将来について紹介します。
2019年と2020年以降に訪れる変化
企業にとっての、2019年における非常に大きな変化といえるのが「同一労働同一賃金への備え」です。ほかにも、労働契約法改正による無期雇用社員の対象者増加、派遣法改正における直接雇用化や派遣会社での無期化、および3年でのスタッフ交代が挙げられます。
一方、BPOの分野でも、さまざまな事業者のBPOへの参入が予想されるほか、広範な分野にAIやRPA(Robotic Process Automation)をはじめとする、新技術が適用される、といった変化が起こるでしょう。
同一労働同一賃金とは
「正社員と非正規社員の不合理な待遇差をなくす」ことを目的としており、パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の改正によって義務づけられています。詳細については、厚生労働省の「同一労働同一賃金特集ページ」も参照してください。
2020年以降は、業績の低下が懸念される企業における正社員の採用抑制、機械化や標準化が進む中で、企業における「どのような社員を“優秀”とみなすか」の定義の変化が予想されます。
業務を行っていく上でのリソースを「直接雇用」「人材派遣」「BPO」に分けて考えた場合、どのリソースを選択すべきかは、働き方改革と関連させて考えていくべきです。働き方改革への取り組みやBPOの導入にあたっては、「業務の見える化」および「業務量調査」の実施が、非常に効果的といえます。
-
※
調査結果の引用元:新型コロナウイルスによる経理財務業務への影響に関する調査(一般社団法人日本CFO協会)
-
※
図表は調査結果の数値を元にキヤノンマーケティングジャパンにて作成。
環境変化によって予想される企業の動き
同一労働同一賃金や無期雇用制度の登場に代表される環境の変化や、ITの発展にともなうBPOのさまざまな領域への活用によって、企業は従業員を中核事業に集中させる傾向がさらに強まるでしょう。また、今後は多様な分野においてBPOを積極的に活用していくことで、投資を抑えたり、より早期に結果を出そうとしたりする動きが活発になるのではないか、と予想されます。
さらに、現在は社員が行っている仕事についても、本当に社員が行うべきことなのか、アウトソーシングや人材派遣でもできるのではないか、同じく現在は外部に任せている仕事も、本来は社員が行うべきではないのかを、再検討するべきです。
紙の請求書がテレワーク導入の阻害要因になることは、いまや自社だけの問題ではありません。
なぜなら、紙の請求書を送ると相手(取引先)は必ず受け取らなければならないからです。紙で送られてきた請求書をテレワークで確認することは困難。だから、取引先もまた「出社して請求書を受け取る」必要があるのです。
実際に弊社においても、新型コロナウイルス感染症に端を発したテレワーク人口の増加を機に、取引先から「テレワークで出社しないから請求書をPDFで送ってくれないか」とのお問い合せが一段と増えています。
テレワークの普及により、請求書の電子データでの受け取りニーズは確実に増えているのです。
BPOの将来像
これまで、BPO事業者はおもに「役務+ITソリューション」を提供してきました。しかし、BPO事業者がIT分野への投資を進めてきたことや、幅広い領域の業務をITによって処理できるようになってきたことから、近年はBPO事業者によるITソリューションの提供割合が増加しています。
一方で、少子高齢化などによって労働力の確保がますます難しくなっていくことから、企業がIT・業務・労務・ファシリティといったマネジメント全般をすべて自社で行っていく、というのは現実的ではありません。今後、労働力が不足する状況において、企業はどのようにマネジメントを遂行していくのか、具体的には自社で行うのか、アウトソーサーに任せるのかが、重要なポイントとなってきます。さらに、そういった状況を受けて、BPOの重要性はますます高まっていくことでしょう。
先に述べたように、現在さまざまな業種の、さまざまな企業がBPOに参入しています。BPOの導入を検討している企業にとっては、「前提要件」(法令順守、セキュリティ、財務)、「決定要件」(品質、コスト)、「付加要件」(BCP、さらなる改善)を基準にBPO事業者を選定することが重要といえます。
そういった選定条件の中でも、もっとも重視すべき項目が「自社の業務を熟知していること」です。自社の業務について知り尽くしている事業者だからこそ、BPOを通じて業務プロセスの改善提案や、コストを下げられるオペレーションが可能になります。
BPOの導入において、もうひとつ忘れてはならないのが、「アウトソーシングによって何を実現したいかをあらかじめ決めておく」ことです。BPO導入の目的は企業によってさまざまですが、BPOによってコストを下げたいのか、納期を短縮したいのか、生産性を向上して何か別のメリットを出したいのかを、はっきりさせておくべきでしょう。
さらに、アウトソーシングする業務の品質をあらかじめ定量化し、アウトソーシングの前後で品質がどう変わったかを確かめられるようにしておくこと、BPO事業者を含む関係者の間で合意形成がなされており、目的が統一されていること、評価軸が決まっていることが、BPOを導入する際に求められるポイントとして挙げられます。
請求書のWEB配信で成果をあげた事例
-
※
このコラムは、2019年5月9日にキヤノンマーケティングジャパンが開催した、「働き方改革セミナー2019 アウトソーシングで加速する働き方改革 ~見える化×BPOが変える業務のカタチ~」における、同社のBPO統括センターBPO企画部部長である浅野潤二氏による講演「外部環境変化とBPOの未来」を元に執筆しています。
セミナー動画視聴・資料ダウンロード
コラムの元となったセミナーの動画視聴、資料ダウンロードは下記よりお申し込みいただけます。
こちらの記事もおすすめです
関連ソリューション・商品
「BPOソリューション」についてのご相談・お問い合わせ
キヤノンマーケティングジャパン株式会社 BPO企画部