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テレワークで注目集まる文書管理とは? 導入メリットや、進め方、ツールについて

  • 生産性向上
  • コスト削減

いま、文書管理のニーズが高まっています。在宅勤務などのテレワークが拡大し、オフィスの働き方改革が進み、文書を紙から電子化し共有する必要があるためです。企業が扱う文書は広範囲の分野にわたるために属人化しやすく、電子化しても結局は原本の紙文書を探しているなど、文書が管理しきれていない光景もしばしば目にします。この記事では文書管理の概要やメリット、円滑に文書管理を導入するための進め方やコツをご紹介します。



文書管理とは

文書管理とはビジネス上で取り扱う文書の作成から廃棄までのライフサイクルを管理することです。具体的には作成方法やファイリング、廃棄などについて文書管理規程やガイドラインを定めて運用します。企業にとって文書管理は非常に重要で、欧米では文書管理を集約するレコードセンターという部署も存在するほどです。

文書管理といえば品質管理の国際規格であるISO9001が有名ですが、テレワークの普及で、電子化やペーパーレス化の気運が高まったこともあり、ISOを取得していない企業でも文書管理は注目を集めています。

企業の文書管理の課題

企業によっては文書の管理が属人的になっていて、管理者以外は探せないなど、管理ルールはあるものの徹底されていないことが少なくありません。また機密情報や個人情報が個々のパソコン内に保存されていることもあります。

文書管理が行き届かないことで、業務効率の悪化やコンプライアンス上のリスクを抱えることになり、個人情報の漏えいは企業の責任問題に発展しかねません。

電子化やペーパーレス化

2020年に起こった新型コロナウイルス感染症の拡大は紙の電子化、ペーパーレス化のスピードを速めました。行政側も電子契約をはじめとしたペーパーレス化を後押ししています。行政手続においても総務省が管理している電子政府e-Govの普及が進められており、さまざまな手続が電子申請できるようになっています。

文書管理を行うメリット

企業では多岐にわたる書類を扱います。これらの書類を文書管理するメリットはどのようなものでしょうか。

(1)文書を簡単に取り出せる

文書管理で重要なのは、いかに文書を手軽に取り出せるかです。ビジネス文書の多くは、個人で完結せず、複数名で共有・管理するため、共通のルールが必要です。文書のファイル名やディレクトリ名、ファイリング方法や保存場所などを明確に定め、ルール化して社内共有することで検索性が高められます。

(2)外出先からでも文書を確認・共有できる

文書を電子化すれば、クラウドサービスなどを活用し、外出先からでも文書のやり取りが可能です。請求書や契約書など、第三者の承認が必要な文書も、外部閲覧を可能にすれば滞ることが少なくなります。

製造業や建設業などは多くの書類や図面を扱うため、大きな時間短縮が見込めます。とくに建設業では、実際の現場に入ってみると設計図面どおりの施工が難しく、修正することも珍しくありません。クラウドでデータを共有することで、報告がスムーズに行え、夜遅く事務所に戻って図面を修正するといった負担も軽減できます。

(3)コスト削減につながる

文書の廃棄のルールを定めれば、余計な保管文書を削減できるため、文書保管にかかるコストを削減できます。ISOや内部統制を実施している企業では書類の保管を外部に委託している場合もあり、大きな経費削減効果が見込めるでしょう。

さらにペーパーレス化を進め、会議資料などの印刷を制限すれば、印刷コストも抑制できます。

(4)セキュリティやコンプライアンスの向上

文書を電子化して管理すれば、アクセス権限などを定めることで、セキュリティやコンプライアンスを高められます。機密情報を誰でも閲覧、持ち出しできるような状況では、漏えいのリスクが高まります。顧客データの漏えいは企業の信用問題にもなりかねません。

また、文書管理は、緊急時に損害を最小限に抑えるBCP(事業継続計画)の観点からも重要です。

文書管理の方法や進め方

文書管理の重要性はわかっていても、何から進めればよいかわからず着手できないこともあるでしょう。ここでは文書管理の方法や進め方をご紹介します。

文書管理を行う目的の策定

文書管理を推進するには、社内の理解が必要不可欠です。そのためには文書管理する目的を明確にしなければなりません。業務効率化やコスト削減、生産性向上といった目的を掲げて、トップが率先して行うことで推進しやすくなります。

目的を決めるときは、それが従業員にとってどのようなメリットがあるのかを説明すると理解が得やすいでしょう。文書管理するメリットをイメージしてもらうことでスムーズに導入が進みます。

適用範囲の決定

文書管理を進める際は、優先的に取り組むべき業務や部門を分類したうえで行いましょう。企業が取り扱うビジネス文書は、その規模や業態、あるいは部門によってもさまざまで、多岐にわたります。

すべての文書、業務のルールを一度に決めるとなると、時間もかかり成果が出るのも遅くなります。社員の業務負荷も膨らみ文書管理のメリットを感じてもらう前にマイナスイメージが先行しかねません。対象を絞り込み、成果が出やすそうな業務や部門に着目し進めていくとよいでしょう。

可能であれば、管理部門だけでなく営業など他部門の社員も交えて、導入のためのプロジェクトチームを立ち上げるとよいでしょう。自分ごととしてメリットをイメージしながら、成功体験を積んでもらうことで、全社的に展開しやすくなります。

業務の棚卸し

対象を絞り込んだ後は、業務の棚卸しを行い、業務上発生する文書を洗い出します。この際、自社で作成する文書だけでなく、取引先から送付される文書も対象とすることがポイントです。取引先からの文書には見積書や発注書、請求書など、やり取りする機会の多い書類が複数あり、文書管理するメリットを感じやすいためです。

取り扱う文書を洗い出すことで、どのようなルールを定めるべきかを明確にできます。

運用ルールの整備

文書管理のルールを整備するには文書管理規程やガイドライン、マニュアルなどを書面として整える必要があります。ルールを定める際には文書のライフサイクル、つまり「発生」「伝達」「保管」「保存」「廃棄」を意識しましょう。

たとえば「発生」においては、件名やファイル名の付け方、ひな形、バージョン管理方法、保存場所などを定めます。また、廃棄ルールを明確にすることで、不要なデータがたまることを防げます。

文書によっては法令で保存期間が定められているものもありますので、文書ごとに法定保存年数と根拠となる法令・主管部を明確にした一覧表を作成しておくとよいでしょう。

文書管理に必要なこと

実際に文書管理を行うにはどのようなことに注意すればよいのでしょうか。文書管理を行うコツやポイントをご説明します。

(1)ルールづくり

上述の通り、文書管理においては各ライフサイクルにおけるルール作りが重要です。ルールがなければ、ファイル名もフォルダ名もばらばらになってしまい、文書の検索や共有がしにくくなるからです。

ルールはガイドラインとしてドキュメント化し周知しましょう。新入社員が入った場合などは、ガイドラインを共有し、ルールが適用されるようにして運用します。

文書管理の基本は運用可能で明確なルールを定めることです。実務に則したルールであれば効率もあがりますし、導入もスムーズに進み継続して運用することもできます。

(2)タグ付けやインデックス化

文書管理においてタグ付けやインデックス化は有効です。文書管理をする際に、標準化された「タグ」や「インデックス」といったメタデータを付与しておくと管理がしやすく検索性もあがります。メタデータとは文書を定義・分類する情報で、作成日付や部門、作成者などで分類するのが一般的です。

たとえば閲覧する部門が複数ある契約書や請求書などは、どの部門をメタデータとするかでフォルダ分けがかわってきます。契約書なら営業部門を主として客先別、請求書なら経理部門を主に支払月別の取引先別といったイメージです。

(3)廃棄ルールの明確化

文書管理は文書のライフサイクル全体を適切に管理するためのものです。それには廃棄も含まれます。たとえ電子化したとしても、ファイルサーバーの容量には上限があります。ファイルサーバーが肥大化するとコストも増大し、検索にも時間がかかるようになってしまうため、ルールを明確化し不要になった文書は廃棄することが望ましいでしょう。

紙文書同様に保存はできても、適切な時期に廃棄していくのが管理上は意外に難しいもの。保存文書は誰が見ても廃棄の判断ができる状態にしておきましょう。

(4)文書の保存期間【建設業の場合】

文書の保存期間は法定の期間を満たさなければなりません。建設業を例に保存期間の考え方を確認しておきましょう。

帳簿や帳簿の添付書類

建設業法において「帳簿」と「帳簿の添付書類」の保存期間は5年と定められています。電子化も可能です。帳簿に添付する書類とは「契約書」や「施工体制台帳の一部」などが定められています。

しかし契約書は建設業法では5年保存ですが、法人税法では7年保存です。原則的に、すべての法令の保存期間を満たす必要があるため、多くの企業では7年保存しているのが現状です。

また、建設業法では引渡日を基準にしますが、法人税法では会計年度の法人税申告の申告期限を基準にします。3月決算の企業であれば7年後の6月30日まで廃棄できません。

廃棄ルールを定める場合は、法務部門などに各種の法令をクリアする期間を確認しながら進めるとよいでしょう。

営業に関する図式

「営業に関する図式」は10年の保存期間が定められており、直接請け負った場合のみ電子化も可能です。営業に関する図式とは、「工事内容に関する発注者との打合せ記録」や「完成図」などを指します。

建築基準法では、図面以外の構造計算書は15年、建築物等の台帳は永久保存などが定められており、詳しい担当者が保存時に振り分けて整理するなど、案件ごとに一式で保存されている場合もあるようです。

文書管理を行えば保存状態も可視化でき、属人的な管理業務を標準化できます。

ツールやシステムの導入

文書管理はルールを定めて終わりではなく、運用を継続しなければ意味がありません。文書管理でつまずきがちなのが、運用ルールの徹底です。運用ルールを徹底するためには、なるべく仕組み化することが重要になります。

たとえば廃棄が近づいたら自動的にアラートを出す、文書の取り込み時に自動的にインデックスが振られるシステムを導入するなどです。社員が日常業務のなかで文書管理を行わなければならないため、意識せずとも文書管理が成り立つ環境を整える必要があるでしょう。

ISOと文書管理

文書管理はISOでも重要視されており、ISO 9001やISO 14001では文書管理について言及されています。ISO 9001では7章において「文書化した情報の管理」として文書管理について定められています。具体的には文書が「必要なときに、必要なところで、入手可能かつ利用に適した状態」であることと、「文書の情報が十分に保護されている」ことが求められています。

ISO 14001でも文書の「作成および更新」や「文書化した情報の管理」を規定しています。ISOを取得する企業は、これらの規定に則り文書管理を行う必要があり、文書管理規程やガイドラインを制定する場合も意識しなければなりません。

ISOは取得後も定期的に監査があり、定められた通りの運用が求められます。場合によっては認定の取り消しもありますので注意しなければなりません。そのためISOを取得していることは、文書管理のルールを徹底するうえで、社内に対する抑制力にもなります。

文書管理システムとは

文書管理システムとは、ビジネス上で発生する文書を効率よく管理するためのソフトウェアです。最近ではクラウドサービスとして提供されているものも多く、文書の保存や、検索、管理に役立つさまざまな機能を搭載しています。

なかには複合機と連携することで、取り込んだ文書に自動的にインデックスをつけるサービスもあります。自動でインデックス付与ができれば、社員の負担は軽減でき文書管理も継続しやすくなるでしょう。

またワークフロー管理を搭載しているタイプもあります。稟議書などを紙で回覧していると、どの権限者で保留になっているかわからず、管理が大変です。ワークフローでは承認履歴が一覧で確認できるので、あわせて導入すれば業務効率アップが期待できます。

文書管理システムの活用シーン

文書管理システムはどのような場合に活用できるのでしょうか。

製造業での契約書管理

製造業では材料調達から取引まで、数多くの契約書が交わされます。月間数十から、場合によっては数百を超えるケースもあります。契約書の特性上、複数名の承認、つまりワークフローが発生することも珍しくありません。

文書管理システムを活用すれば、これらの契約書を効率的に管理できます。数百ある契約書もインデックス管理すれば検索しやすく、容易に目的の契約書を探せます。ワークフロー管理機能があるシステムならば、承認業務も効率化でき業務がスムーズに進むでしょう。

建設業での図面管理

建設業では構造図や平面図などの図面のほか、施工現場写真など大量の写真データをやり取りします。現場に臨場し情報共有する機会も多く、事務所から離れた現場の場合は、時間のロスも大きくなります。

クラウド型の文書管理システムであれば情報共有の時間も短縮可能。図面をはじめ、写真や報告書などもオンラインで手軽に共有でき、現場に臨場する担当者も業務負荷が軽減するでしょう。

営業用資料の共有

日々の営業活動において営業メンバーはさまざまなドキュメントを個別に作成しています。作成した提案資料や導入事例に日付や業種、業態などのインデックスをつけることで検索がしやすくなります。個別に作成していた営業用資料を共有することで部署全体の業務効率もアップできるでしょう。営業のナレッジやノウハウを共有することで、営業力の底上げにもつながります。

クラウド型の文書管理システムを活用すれば、商談前に外出先で関連業種の資料を確認でき、営業効率化や生産性向上もはかれます。

カメラの画質を判断する際にズーム機能もポイント。ズームについては倍率だけでなく、デジタルズームか光学ズームかで画質が変わります。デジタルズームは映像の一部を切り取り拡大しているため、粗くなるケースがあります。光学ズームの場合、レンズ自体の焦点距離を変化することで、映像を拡大しているため粗くなることはありません。

キヤノンのドキュメントソリューション

キヤノンの「uniFLOW Online Cloud Scan Advanceファイリングアシスト」は複合機の機能を拡張し、紙文書の電子ファイリングを自動化・効率化する「ファイリングアシスト」機能を搭載しています。

業務で使用する定型帳票のスキャンデータにOCR(光学文字認識)処理を行い、抽出した複数のキーワードの組み合わせをもとに、ファイル名やフォルダ名を設定し、帳票を自動振り分けできます。文書管理で大きな負担となるフォルダ指定などの管理が自動化できるため、業務負担が大幅に軽減します。

まとめ

文書管理に課題を感じている企業は少なくありません。とくに建設業など図面や契約書類などが多く発生する業種でも文書管理のメリットは大きいといえます。

文書管理をはじめる場合は結果の見えやすい分野にポイントを絞ってスタートし、範囲を拡大していくと社内の負担も比較的軽く理解を得やすいでしょう。クラウドツールやドキュメントソリューションを活用することで負担を軽減できスムーズに導入できます。

キヤノンマーケティングジャパンでは、長年培った技術とノウハウをもとに、文書管理に関するさまざまなソリューションを提供しています。文書管理にお悩みの際は、お気軽にご相談ください。



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