Canon Log 3は、初代EOS C300に実装されたCanon Logを進化させた新たなLogカーブです。Canon Logは、フィルム時代からのLogとは多少異なり、色調整幅は限られますが、誰もが簡単に従来のビデオ映像では実現出来なかった色補正による豊かな映像表現が可能になるなど、ユーザー層を問わずに使いこなせるユニークなLogとして普及してきました。今回新たに追加された、Canon Log 3は、そのCanon Logをそのまま進化させて、使いやすさはそのままに、ハイライト部分を延長させたのが特長です。
EOS C300 Mark II、Canon Log 3について
Canon Log 3の特長とは?
- ※ 画像はすべてLogのままで、LUT(Look Up Table)不使用、カラーコレクション(グレーディング)なし。
Logについて
一般的に、Log撮影が向いている条件とは、晴天時に自然の背景をバックにした人物撮影などで、最終仕上がりの画像にダイナミックレンジが必要とされるような場合が多いですが、特に屋外ロケ撮影の際には、天候や機材条件などで毎回理想的な環境で撮影ができる訳ではありません。また特にドキュメンタリーなどの変化の激しい、忙しい撮影現場だったり、正確なモニタリング環境が整っていない場合、また光の環境が変化しやすい現場では、特にLog撮影が有効です。
Canon Logラインアップ | Canon Log | Canon Log 2 | Canon Log 3 |
---|---|---|---|
CEOS C300 Mark II ダイナミックレンジ |
800% | 1600% | 1600% |
増感マージン | なし | 2ストップ | なし |
暗部特性 | 暗部の傾きが緩く、 ノイズが目立ちにくい。 |
暗部の傾きが急で、暗部階調表現が豊かだが、ノイズ、ストリーキング(=縞ノイズ)が目立ちやすい。 | 暗部の傾きが緩く、ノイズ、ストリーキング(縞ノイズ)が目立ちにくい。 |
フィルム特性、 ITU-R BT.709との親和性 |
ITU-R BT.709に近い画で、 Logのままでも視認性がよい。 |
フィルム特性に近く、画像全体が眠い画になる。片対数グラフでリニア領域が広く、色・輝度の階調を保ったままの露出操作が可能。 | Canon Log同様ITU-R BT.709に近い画で、Canon Logよりもハイライト部が延長。 |
ポスト処理 | 比較的容易 | 自由度が大きい反面、必要に応じて色補正、NR処理などグレーディング作業が必要。 | 比較的容易 |
適正露出/2ストップオーバー
Canon Log 2とCanon Log 3の違い
Canon Log 3と色域の関係
同じCanon Log 2で撮影された画像でも色域の設定が違うと、見た目にもこのような大きな違いが出ます。
従来機のEOS C300では、色域選択はITU-R BT.709のみでしたが、EOS C300 Mark IIからはCinema Gamut、DCI-P3、ITU-R BT.2020 など、多種の色域を選択出来るようになりました。ただし、ITU-R BT.709以外の色域選択は、必ずカラーグレーディングなどの色調整の後処理が必要になります。単に「色域が広く撮れる」という理由で撮影時にCinema GumatやITU-R BT.2020などで撮っておくケースもありますが、Cinema Gumatなどの色域では、必ずカラーコレクション(グレーディング)が必要となります。
- ※ 今回のサンプル映像はBT.709で撮影されており、すべて色域を統一して撮影しています。