ダイダンは総合設備工事を請け負う会社。オフィスビル、食品工場、医療施設などさまざまな建物に同社の技術が活かされている。CMではガラス貼りの部屋(実際にはアクリル板を使用)の中で歌うソプラノ歌手が登場する。
ベートーヴェンの「運命」を♪アハハハハ~と力強いハミングで歌い、その歌とともにダイダンの歩みや働く人々の姿が描かれていく。ソプラノ歌手は田中彩子さん。22歳でスイス・ベルンの州立歌劇場の舞台に立ち、「フィガロの結婚」でソリスト・デビューを飾った世界的なアーティストだ。
シネマトグラファーの星野尚彦さんは数多くのCMでCINEMA EOS SYSTEMで撮影を行なっている。今回の撮影では、EOS C700(4K収録)を選択。映像の撮影では白バックに白い肌の表現が最も難しいと言われている。さらにアクリル板の映り込みや合成素材のマッチングも考慮しなければならない。EOS C700で撮影した映像は収録素材としては申し分なく、女性の肌の美しさ、そして内に秘めた強さも見事に表現している。
ほしの・なおひこ
フォトグラファー/シネマトグラファー
サントリープレミアムモルツTV CF & グラフィック広告撮影・CD、ブリヂストンRun Flat Tire ワールドワイドキャンペーンを撮影、日本航空企業広告TV CF &グラフィック広告撮影多数。
hoshinocamera.com
─ CINEMA EOS SYSTEMで撮影した映像がお好きだと伺いました。
星野 何をもって画質がいいと感じるかは人それぞれです。解像度やスペックが高くてもビデオっぽい絵になってしまうシネマカメラもあります。その点、CINEMA EOS SYSTEMのスキントーンやCanon Logのフィルムっぽい仕上がりが好みなんですね。
─ EOS C700を使ってみた印象を教えてください。
星野 第一印象は大きなカメラだなと。操作性に関しては問題なかったです。現場で出力された絵を見て、スキントーンが美しいなと思いました。日本の女性の肌がきめ細かく表現されています。そこがとにかく印象的でした。肌の透明感は残しつつ、白く飛んでもいない。階調表現が素晴らしいカメラですね。4KでもRAWでもHS(ハイスピード)が収録できるのも現場としてはありがたいスペックアップです。ディレクターもハイスペックな映像に慣れてきて、4Kで撮っておいてカラーグレーディングでいじりたいというケースが多くなっています。そういう意味でも、EOS C700で4K 60Pが撮れるようになったのは選択の幅が増えましたね。
─ 星野さんは、CM撮影ではほどんどのカットをAFで撮影しているそうですね。
星野 EOS C300 Mark IIから、搭載されているAF機能がより使えるようになりました。スチルフォトグラファーとして30数年仕事をしてきた中で自動露出だとか、AFの登場など、カメラ技術のさまざまな進化を体験してきています。CINEMA EOS SYSTEMのAF機能は絶対使えると思っていたので、CINEMA EOS SYSTEMとEFレンズをメインにCM撮影していくためにシステムをすべて組み直しました。高速ワンショットAF、顔検出AFをよく使います。人物とカメラが同時に動いてもフォーカスを追尾してくれるのでCMの撮影でも70~80%がAFで対応可能です。CINEMA EOS SYSTEMのAFは使うべきだと思います。
─ 実際の撮影では、AFをどのように使っているのですか。
星野 AFのON/OFFをファンクションボタンに割り振って、カットごとにAFを切ったり入れたり。いちいちフォーカスを合わせる必要もなくなり、助手がフォーカスの仕事から解放されることで、現場がスピードアップする。仕事の精度や角度が向上します。ダイダンのCMは30数カットあるのですが、すべてAFで撮影しました。
─ そのほか、EOS C700で「これはいいな」と感じた機能などはありますか。
星野 Canon Log 2はノイズも減って良くなりました。グリーンバックもこれなら抜けます。液晶ビューファインダーもいいですね。上がりに近い絵が見えます。もっと使ってみたいカメラですね。