毎週日曜夜6時 TBS 系列で放送
TBSの「世界遺産」は2016年4月で20年を迎える人気番組。世界遺産を映像遺産としてアーカイブしていこうという主旨で、スタート当初から常に最新の映像機材で収録を行なってきた。同番組では本放送に先駆けて4K収録を開始。EOS C300 Mark IIでの撮影を行なっている。「現在、4K収録は年4本行なっています。2015年の9月中旬から10月中旬にかけて、中米のコスタリカと南米のマチュピチュを撮影しています。特にマチュピチュは20年前の第1回放送で紹介したメモリアルな場所で、当時SDで撮っていたマチュピチュを4Kで撮ろうということになりました。同じ世界遺産といっても撮影地によってはフォーカスマンがいて、クレーン移動でダイナミックな映像を撮れるものもあるのですが、自然遺産のコスタリカやマチュピチュは特に撮影条件が厳しい場所なのでEOS C300 Mark IIの機動力が役に立ちました。4Kで『世界遺産』を見たいという視聴者の期待も高いので、Canon Logで収録し、全編カラーグレーディングで仕上げています。今はハイビジョン放送ですが、いつか4Kの高画質で見てもらいたいですね」(小川直彦氏:TBSビジョン エクゼクティブプロデューサー)。
マチュピチュでの撮影の様子。右が矢口氏。
中南米の過酷な条件下でEOS C300 Mark IIでの撮影はどうだったのか。田口亮監督とムービーカメラマンの矢口信男氏に話を聞いた。
─ EOS C300 Mark IIを使ってみた感想を教えてください。
矢口 EOS C300は初期ロットの頃からずっと使っているので、EOS C300 Mark IIでも違和感を感じませんでした。EOS C300 Mark IIは4Kが撮れる上に、グレーディングのかけ方もやりやすくなっています。デュアルピクセルAFのオートフォーカス(以下AF)も良くできています。4Kはフォーカスが命なので、被写体を確実に捉えてくれるのでかなり助かっています。三脚を据えて撮るドキュメンタリーの現場で被写体を追っていく時にはAFの必要性は高いですから。
田口 EOS C300を使ったこともあったので、EOS C300と同じような使い勝手で「4Kがこんなに簡単に撮れるんだ」と驚きました。フィールド撮影で4Kは大変だというイメージがあったんですけど、EOS C300 Mark IIはこのような起伏の多い場所の撮影にも適しています。コスタリカではアリバダという世界でも珍しい海亀の大産卵を狙って、夜中から朝方まで粘って撮りました。宿泊施設もないような場所で、撮影機材も最小限で動かなきゃならないので、EOS C300 Mark IIの存在は頼もしかったです。撮影素材は毎晩VEがバックアップとコピーの作業を行なっているのですが、EOS C300 Mark IIはデータが軽いのでスタッフの負担も減りました。
「綺麗な景色にはCanon Logの柔らかいトーンが効いています」(矢口氏)。
─レンズはなにを使ったのですか。
矢口 じっくり撮りたい被写体、例えば風景、遺跡などのディテールを表現する場合はAFを使いたいのでEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMを使います。また人物や動物など動きの多い被写体の撮影でもAF を多用してEF11-24mm F4L USM、EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMと狙いによって使い分けています。
─今後、EOS C300 Mark IIで撮ってみたい被写体はありますか。
田口 機動力があるので、マチュピチュでも近くの山に登って撮影しました。これからこの機動力を活かして、今まで入り込めなかったような見たことのない映像を4Kで撮りたいなと思います。