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  • CINEMA EOS 商品情報

VOICE CINEMA EOS SYSTEMを体験した、プロフェッショナルたちの活用事例。

CINEMA EOS SYSTEM

キリン・ディアジオ JOHNNIE WALKER ショートムービー(White Screenより転載)
EOS C300/C300 PL

児玉裕一監督によるジョニーウォーカーのショートフィルム「KEEP WALKING」。CINEMA EOS SYSTEMで撮影された現場秘話に迫る!

世界中で愛されるスコッチウィスキーのトップブランド「ジョニーウォーカー」。そのジョニーウォーカーの精神「KEEP WALKING(歩き続けていこう)」をテーマに注目の映像クリエイター6人がショートフィルムを作成する映像プロジェクト「KEEP WALKING THEATRE」が2011年10月からスタートしている。
これまで10月に映画監督の山下敦弘氏、12月に映画監督の塩田明彦氏、2012年2月にアニメーションディレクターの西見祥示郎氏の作品を公開してきた。
そして第4弾として、ミュージックビデオ(MV)やCMで大活躍の児玉裕一監督のショートフィルム「KEEP WALKING」が3月30日遂に公開された。同作品のカラーグレーディングやナレーション撮りで東京都内のポストプロダクションで作業をしている児玉監督に、作品の魅力や制作過程について語ってもらった。

児玉裕一(こだまゆういち)
映像ディレクター。1975年生まれ。東北大学理学部化学系卒業。大学在学時より仙台にて映像制作の活動を開始。卒業後、広告代理店勤務を経て独立。以後フリーのディレクターとしてCM、MVなどの演出を手掛ける。2006年「CAVIAR」に所属。2007年に公開されたUNIQLOCKでは世界3大広告際(カンヌ・Clio・One Show)にてグランプリを獲得。

(最近の主な作品)
資生堂MAQuillAGE/サントリー企業/サントリーウーロン茶プレミアムクリア/サントリー NATURAi/サントリー BOSS SILKY BLACK
UNIQLOウルトラライトダウン/PARCO 2011AUTUMN/TABIO Slide Show/SHIRO Cheers System
安室奈美恵・Perfume・椎名林檎・東京事変・RIPSLYME・YUKI・Mr.ChildrenなどのMusicVideo

(賞歴)
TokyoADC2011 GrandPix)
Tabio Slide Show(カンヌ、Ad Fest、TIAA、文化庁メディア芸術祭)
"SHIRO Cheers System" 高橋酒造(TIAA、文化庁メディア芸術祭)
"UNIQLOCK" UNIQLO(カンヌ広告祭、Clio、One Show、D&AD、New Y Fes、ANDY Awards、アジアパシフィック広告祭、TIAA)
"The Beyond" SONY PLAYSTATION3(NY Fes Bronze)
第16回AMD Award 江並直美賞(新人賞)
Space Shower Music Video Awards 2008・2009・2010 BEST DIRECTOR賞

「小さくて軽い機動力に注目してEOS C300を選んだ 」

児玉監督が制作した「KEEP WALKING」は、ストーリーのあるMVに近い形の約7分間の作品だ。振付師やダンサーとして活躍する井手茂太氏演じる主人公が、眠ったまま歩くユーモラスさにどんどん惹かれ、しなやかで弾力のあるダンスに視線は釘付けになり、40年後の「そりゃ死ぬまで歩き続けたさ!」という励ましのメッセージに心を 奪われるストーリーとなっている。児玉監督は本編の見どころについてこう語る。 「KEEP WALKINGというテーマの意味は"歩き続ける"とか"生きていく"ということ。それをちょっとだけひねくれて見て、まさか寝ている時まで歩かないだろう。でも、寝ている時に歩いてみたらどうなるのだろうか? というのがアイデアの発端でした。最終的には彼自身が歩き続けていることに満足しているかどうかは他の人には分からないけれども、彼だけは知っているであ ろう、というストーリーを映像にしてみました」(児玉監督)

上海でロケが行われた今作、気になるのは制作過程だ。まずカメラ選びから語った。本編の撮影はブルーバックを使った合成部分があったり、2日間の上海ではカメラ1台で相当のシーン数をいろいろなスタイルで撮らなければいけないというプレッシャーがのしかかっていた。つまり、「次にこれを撮ろう」という時さっと準備ができる、機動力と質感の両方を兼ね備えたカメラを検討していたということだ。 「イントレと呼ばれる4~5メートルの足場を組んだ時にカメラを持ち上げて受け渡しすることに対応出来たり、寄りとか引きのところではカメラマンをドリー に乗せて撮影をしたり、ステディカムを装備したカメラマンを車椅子に乗せて引っ張ったりなど、いろいろな撮影スタイルがありました。また、足元の極端な ローアングルを撮る時には、ステディカムのアームを上下逆さまにして、上にバランサー、下にカメラを吊るすように取り付けるローモードキットというのを使用しています。こういった撮影は大型のカメラだと対応できません。そういういろいろな持ち方やスタイルで一気に撮れる、手持ちに近い形の自由さが実現でき るカメラを求めていました」(児玉監督)

このようなことを考慮した結果、選ばれたのがキヤノンのデジタルシネマカメラ「EOS C300」だ。EOS C300の魅力は話題となっているスペックばかりではない。児玉監督が注目をしたのは小型で本体の重量が1.43キロという機動性だった。また、EOS C300はキヤノンのデジタル一眼レフカメラ専用として発売されているEFレンズがそのまま使用できるというのも特長だ。撮影を担当するカメラマンの江国鼎(Jiang Guoding)氏は、既に多数のEFマウント対応のレンズを所有していて、それがそのまま使えるというのも選定の理由になったという。

カメラ横の黒い帽子をかぶっているのが、撮影監督の江国鼎氏。

「 ProResにトランスコードしてFinal Cut Pro、Colorと連携を実現 」

Canon Logやカラーグレーディング・ソフトと連携できるEOS C300を採用したとなると、気になるのがワークフローだ。
今回の作品はCanon Log収録MPEG2 50Mbpsによって収録され、マスターの収録はすべてCFカードに行われた。本編のフレームレートはすべて24.00Pで撮影した。ハイスピードが必要なダンスの一部のカットなどは、59.94iに切り替えて1秒間のフレーム数を約2.5倍に増やしている。バックアップとしてSDI出力からSoud Devicesの外部レコーダー「PIX240」を使って圧縮率の低いProRes収録も行われた。
素材はCFカードに行われたものだけを使い、最終的にはバックアップで収録した素材を使うことはなかった。撮ったその晩のうちにCFカードに収録されたデータをMacBook Pro上のFinal Cut Proで取り込み、すべての素材をProRes 4:2:2(HQ)にトランスコードを行う。変換時間はリアルタイム程度かそれよりもかからないぐらいで、1時間から2時間ぐらいといったところだ。最終的には2日間で300テイク程度の撮影をしたという。

図:ワークフロー

トランスコードしたデータはハードディスク(HDD)1つにすべてまとめて帰国。監督はFinal Cut ProとAfter Effectsでカラーグレディング以外の、編集から主人公の鼻ちょうちんやブルーバック合成といったすべての作業を行っている。ブルーバック合成は After Effectsに搭載されているKeylightを使用している。 完成したデータはポスプロに持ち込んでFinal Cut Proの関連ソフトであるAppleのカラーグレーディング・ソフトColorで色の調整が行われる。Colorは、Final Cut Proと連携できるのが特長のソフトだ。バックアップ用にHDCAMも作ったが、YouTubeへの公開はファイルの変換のみで行ったため、テープレスでコストが抑えられた。

このワークフローのポイントは、ログ収録を導入しているにもかかわらず、特別なシステムを必要とせずにそのまま慣れ親しんだFinal Cut Proの環境で作業をしていること。カメラによってはRAWで収録出来るものもあるが、カラーグレーディングの際にポストプロダクション間の受け渡しで一回テープに落とさなければならない場合があったり、そのためにポストプロダクションの費用や時間も掛かってしまうことがある。それから考えれば、すべてのファイルを一つのHDDに入れてやり取りができるという良好なワークフローではないかということだ。児玉監督自身もいつも通りの感覚で作業が可能で、特に 問題や不便は感じかなったという。「EOS C300だからといって、編集に特別な意識をする必要はありませんでした。いつもと同じ加工がしやすい素材として扱えるのが素晴らしいですね」(児玉監督)

「高感度とCanon Log収録が悪条件をカバー」

街の引き画も美しさとダイナミズムが表現されている。

ほぼ完成間近の「KEEP WALKING」試写時でも、EOS C300で撮った映像は、深度の深さや抜けのダイナミックな美しさに目を奪われる。また、雨が降る手前の、ぼんやりと霧がかかった天気も雰囲気を醸し出す結果となったようだ。撮影は上海のオープンセットのスタジオ「上海影視楽園」で行われたのだが、その建物の汚れやちょっとした凸凹もきれいに表現されている。デジタル一眼レフカメラの映像と比べていうならば、トーンがきれいに残っている、圧縮ノイズ感じられない、と言ったところだろうか。
「本当に引き絵が全部気持ちいいので、今後機会があれば引き画をまた撮ってみたいですね。ロケの2日とも曇りだったのが残念でしたが、それでも白い建物の濃淡とか階調が細かく出そうだなと、撮りながら思いました。あと、女の子の肌とか全然肌修正していませんが、きれいなスキントーンが再現出来ていました」 (児玉監督)

主人公が着ているストライプのガウンだが、デジタル一眼レフカメラで多数の動画撮影を経験されている方ならば、この衣装はモアレが出るだろうと思うはずだ。児玉監督たちもモアレが出てしまうことを想定して、スタイリストの方にいろいろな衣装を用意していもらったそうだが、結果的にこのストライプ模様でもモアレは出なかったというのには驚きだ。このほかにも、背景のレンガや床の模様も通常のデジタル一眼レフではモアレや偽色が出るのではないかと恐れられそうなところが多数あったが、EOS C300はモアレや偽色に悩まされることはなかったという。

カメラを横に移動させながらの撮影も挑戦的ではないだろうか。
児玉監督は歩くということを象徴的に見せるために、主人公の徒歩を真横からひたすら追って撮ることにこだわった。ロケーションとセットのちょうど中間のような撮り方をしたかったのだという。しかし、従来のデジタル一眼レフカメラで横に移動する撮影を行うと、ローリングシャッターと呼ばれる画像に歪みが発生するような現象が起こる可能性がある。EOS C300ではローリングシャッター歪みを低減しているので、スピードのついた横移動や走行撮影を行っても歪むことはなかったとのことだ。
「従来のデジタル一眼レフでは、手持ちで振るみたいな撮影は歪んでしまってできませんでしたが、EOS C300ではそういった制限からも解放されるんじゃないでしょうか」(児玉監督)

撮影現場の様子についても詳しく語ってくれた。撮影期間は2日間と限られていたので、朝の6時の日の出と同時に撮影をスタートして、日の入りの18時までの12時間をフルに使ったハードな撮影が行われた。しかも、オープンセットのため、時間によっては日の向きも明るさも大幅に異なってくる。
しかし、EOS C300の高感度が、悪条件をカバーしてくれたという。多くのカットはログの階調性が最大で保てるISO850で撮影しているが、夕方17時に日が落ちかけて薄暗くなり始めた状態で撮影をする際は、感度を2000や2500ぐらいに上げることで明るく撮れようになる。しかも、感度を上げてもノイズがほとんど出ないのだという。 「日が落ちて周りは暗いのに、ファインダーやモニタの中は全然明るいというのには驚きました。"まだ撮影ができる"みたいな感じでした。しかも、感度を上げても粒子がメチャクチャ出るということもなくて、安定した質感を保っていました」(児玉監督)

EOS C300にはポスト処理での自由度を最大限に残すCanon Logが搭載されているのも特長。映像素子の特性を十分に引き出してワイドダイナミックレンジを確保したポストプロダクション処理を行うためのガンマで、グレーディングの幅を広げられる機能だ。屋外で自然光の撮影のため、同じシーンでも明るさは変化する。そこで、当初からCanan Log収録を行い、カラーグレーディング時に作品全体の色を揃えることを予定していた。
実際の撮影では、やはり色味のバランスを調節して収録する時間の余裕はなく、収録後のカラーグレーディングで明るさの調節やログ独特のコントラストの低い映像をそのまま活かしつつ、赤黄色っぽい色味になるように全体のカットを統一したという。
「ロケは時間との戦いでした。撮影現場では、色味が多少統一されていなくても、"ある程度このままいこう"みたいな雰囲気がありました。グレーディングで は、古めかしいトーンを狙ったコントラストを抑えてふわっとさせた方向に行いまして、結果的に各カットを統一することは出来たと思います」(児玉監督)

「映像の美しさも注目の作品 」

最後に児玉監督はEOS C300とEOS 5D Mark II、EOS 7Dとの違いや差別化についてもこう語ってくれた。
「EOS 5D Mark IIやEOS 7Dはちょっとこってりしている感じの質感があります。それはそれで、"あのトーンはいいよね"みたいな感じで選ばれることがあると思います。例えば、海外ドラマのようなトーンにしたい時は最適だと思います。 EOS C300は高級感のある画が特長で、フィルムで勢い良く撮っている気持ちになります。EOS 5D Mark IIやEOS 7Dと異なる、もう一つのスタンダードなムービーのカメラになっていくと思います」(児玉監督)

「KEEP WALKING」はYouTubeだけで公開される作品だが、今後もし大画面、高解像度で視聴する機会があるならば、ぜひ映像の美しさに注目して見てほしい。児玉監督ならではの独特な世界観とともに、映像の美しさというところでも強く印象に残る作品である。

「キリン・ディアジオ  JOHNNIE WALKER ショートムービー 」

dir=児玉裕一 cd=鷲尾和彦 pr=熊谷重彦 ca=Jiang Guoding l=Wei Changqing CG=REDHILL sty=匂阪真人 hm=Amy coordinator=関口紳六
m prod=GRAND FUNK INC. song=Jhameel cast=井手茂太 narrator=Peter von Gomm ma=HACスタジオ pm=右田朋広 a/prod=博報堂、博報堂プロダクツ

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