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MS-500|特長

肉眼では認識困難な闇夜を数Km遠方から監視する高度な撮影が可能

港湾や沿岸の警備や事故の監視、国境付近での異常の監視、公共インフラ設備や重要施設の事故や災害時の監視などにおいては、昼夜を問わず緊急の対応を迫られ、撮影が困難なシーンを非常な遠方から捉えることが求められます。
このようなシーンでは、既存の一般的な監視カメラでは、暗所や遠方を鮮明に捉えるための低照度の撮影性能や、レンズの望遠側の撮影性能が不足する事態が想定されます。
MS-500は、新規開発されたSPADセンサーの超高感度と、キヤノン放送用レンズの豊富な高倍率超望遠ズームレンズのラインナップにより、このような極めて困難な撮影を可能にしました。

湾岸・沿岸
国境
インフラ

革新的な超高感度SPADセンサー搭載

革新的な超高感度SPADセンサーは、画素に入ってきた光の粒子(光子=フォトン)を数える「フォトンカウンティング」という仕組みを採用しています。入射した光子が電荷に変換される際、瞬時に約100万倍に増倍して大きな信号として取り出すことができるため、微量の光でも検出が可能です。また、これら光子一つひとつをデジタルに数えるため、読み出しの際にノイズが発生しないことも大きな特長です。これにより、0.001luxの低照度環境下でもカラーで鮮明なフルHD撮影を実現します。
夜間、肉眼では認識困難な闇夜のような非常に暗い場所でも被写体を鮮やかに撮影することが可能です。

  • 超高感度SPADセンサー詳細についてはこちらをご参照ください。
  • カラー(ナイトモード)、蓄積なし、F1.4換算、シャッタースピード1/30、50IRE、最大ゲイン時の条件下にて測定。
SPAD SENSOR 約320万画素1.0型SPADセンサー
約5km先の夜間の実写画像 *使用レンズ:CJ45e×13.6B IASE-V H
SPADセンサー : フォトンカウンティング方式 CMOSセンサー:電荷蓄積方式
センサーの構造と光検出の原理
増幅率~100万倍
光子1個の入射でも電荷の雪崩増倍により正確に検出できる
増幅率~1倍
ノイズの影響により光子1個の入射を正確に検出できず精度が低下する場合がある
光量検出方式
光子の入射をパルス信号として検出し1つずつ数えることにより、光の量を直接デジタルな信号として捉える
光の入射で発生する電荷をアナログ信号として蓄積した上で、デジタルに変換して読み出すため、ノイズが混入してしまう

圧倒的な望遠撮影性能

MS-500のレンズマウントには、放送用レンズの汎用マウントであるバヨネットマウント(BTA S-1005B 規格準拠)を採用しています。
キヤノンの放送用レンズは、高倍率超望遠で最大口径比(Fナンバー)の小さい明るいズームレンズ を幅広くラインナップしています。そのためMS-500では、遠方の暗い被写体を撮影する高度な監視の用途に最適なレンズを選択することができます。
また、MS-500と放送用レンズの組合せでは、ME20F-SHとEFレンズの組合せと比べて、より小型のレンズで非常に遠方の監視対象をはるかに大きく撮影することができます。これはSPADセンサーがME20F-SHの35mmフルサイズCMOSセンサーに比べ、はるかに小型で、より高感度に撮影できるため、MS-500と放送用レンズの組合せにより実現出来ております。

図:圧倒的な望遠撮影性能

10km先の10mの大きさの船舶の撮影サイズと画素数の比較

図:10km先の10mの大きさの船舶の撮影サイズと画素数の比較
  • ※1
    35mm版換算焦点距離(2/3型と35mmフルサイズのイメージサークルの比率 11mm対43.3mm=約3.93倍による換算値)

監視用途に最適化した画像補正機能

夜間監視や遠方監視では、暗所特有のノイズ発生や大気の揺れの影響による解像感が低下しやすくなります。これに対して、用途に応じて画質設定の調整・保存が可能なカスタムピクチャー機能に、シャープネス・ガンマカーブ・ノイズリダクションの設定を監視用途に最適化した「CrispImg2(クリスプイメージ2)」を標準搭載することで、昼夜を問わずに視認性の高い映像撮影が可能です。また、かすみ・もやの影響を軽減し、適正なコントラストに自動で調整する「かすみ補正」にも対応するなど、映像品質を向上する画像補正機能の搭載により、被写体を鮮明に捉えます。

図:監視用途に最適化した画像補正機能
図:監視用途に最適化した画像補正機能

外部制御システムからのカメラ/レンズ制御

放送用レンズとMS-500を組み合せたシステムでは、パン・チルト可能な雲台に搭載する使い方が想定されます。
MS-500には、2つのシリアル通信プロトコルNUプロトコル及びPelco-Dを搭載しております。これらのプロトコルに対応した雲台などの機器のシリアル通信端子と、 MS-500背面のリモート端子とをケーブルで繋ぎ、通信コマンドを送信することにより、外部システムからレンズ、カメラや雲台のリモート制御、操作が可能になります。
また、映像は3G/HD-SDI端子から雲台を経由して出力することが可能です。

  • キヤノン独自プロトコル
図:外部制御システムからのカメラ/レンズ制御