働き方改革コロナ禍で電子化が再注目!? メリットや事例、できない書類まで総まとめ

イメージ:コロナ禍で電子化が再注目!? メリットや事例、できない書類まで総まとめ

企業の書類の電子化、ペーパーレス化が加速しています。規制緩和が進み、文書を電子化しやすい環境が整う中、働き方改革や新型コロナウイルス感染症拡大による労働環境の変化が後押しとなり、導入を急ぐ企業が増えているようです。この記事では、電子化の概要から、方法、ソリューション、成功事例などを詳しく解説していきます。



書類の電子化とは

イメージ:書類の電子化
書類の電子化には、ふたつの意味があります。
ひとつは、すでに紙で作成されている書類や資料をスキャナーなどで取り込み電子化すること。
もうひとつは、これまで紙で行われていたやり取りそのものを電子化することです。

電子文書と電子化文書の違い

電子文書と電子化文書は混同されがちですが異なります。
電子文書とは、はじめからパソコンなどのソフトウェアで作成された文書、電子化文書とは紙の文書をスキャナーなどで取り込み電子化した文書です

電子化が注目を浴びる背景

これまでも、「電子帳簿保存法」(1998年7月施行)や、「e-文書法」(2005年4月施行)などの法整備により、電子化は推奨されてきました。ここにきて大きな注目を浴びる背景には、働き方改革の推進や、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でテレワークが急速に広まったことなどがあげられます。

アドビシステムズ社がテレワーク勤務経験者に対して行った調査では、「紙書類の確認や捺印などでやむなく出社」した経験をもつ人が64.2%もいることが判明しています。
新しい働き方を推進するうえで、書類の電子化はますます重要になるでしょう。

テレワークで働いているときに、判子の捺印や書類へのサイン、オフィスに保存してある紙書類の確認など、出社しなければならないタスクが発生してしまい、出社した経験がありますか?(n=500/単一回答方式)

頻繁にある21.4%、ときどきある42.8%、ほとんどない21.6%、全くない14.2%

電子化するメリット

電子化のメリット、デメリットを把握することで、推進もしやすくなります。まずはメリットから見ていきましょう。

コスト削減

書類を電子化することは、印刷コストなどの削減につながります。A4サイズの資料を白黒でプリントした場合のコストは一般的に3~5円程度といわれていますが、従業員100名の会社でひとり1日20枚印刷すると、1日あたり6,000円~10,000円、年間では1,470,000円~2,450,000円のコストがかかる計算です。

書類を電子化すれば印刷コストを削減できるうえに、キャビネットのコストなども押さえられます。また、保存場所自体も不要になるためオフィス家賃の節約になる場合もあります。

業務の効率化

書類の電子化は、業務の効率化につながります。経費精算や受発注などのワークフローを電子化することで、業務そのものを効率化できるのはもちろん、紙の帳票をシステムに手入力する手間やミスを減らす効果も期待できます。

検索性の向上

書類の電子化によって、検索性が向上します。紙の書類を探すには、キャビネットからバインダーを取り出し、ページをめくって書類を見つけ出すといった手間が必要です。書類を電子化し、ファイルサーバーやクラウドストレージなどを導入すれば、検索機能で簡単に書類を見つけられます。

テレワークへの対応

書類を電子化すれば社外からでもデータにアクセスしやすくなります。VPNで社内のファイルサーバーにアクセスしたり、クラウドストレージを使用するなどの方法があります。あわせてチャットツールやグループウェアを活用すれば、さらにスムーズなやり取りが可能です。

  • VPN(Virtual Private Network)「仮想専用線」と訳されます。通信を暗号化する方法で、社外から社内のネットワークへ安全にアクセスする目的で活用されます。

セキュリティ対策

紙の書類には紛失や持ち出し、消失や劣化といったリスクがあります。電子化することでバックアップが可能になり、アクセス権限を設定したり、ログを管理することでセキュリティも高められます。

電子化するデメリット

メリットに続き、電子化するデメリットについて解説します。

システム導入などのコスト

電子化する際にはスキャナーやファイルサーバーなど機器の導入、OCRやクラウドサーバーなどサービスの契約といったコストが発生するため、躊躇する企業も少なくないようです。電子化にあたっては、コスト削減や業務効率化などの費用対効果を算出するとよいでしょう。

オペレーションの変化

電子化することで既存の業務オペレーションが変化します。従業員によっては、業務オペレーションの変化に難色を示す可能性もありますので、電子化にあたっては、意義や目標などを明確にして理解を得ることが必要です。

機器の障害などのリスク

電子化されたデータはファイルサーバーやHDD(ハードディスクドライブ)などに保存されますが、これらの機器に障害が発生する可能性はゼロではなく、大手クラウドストレージであっても例外ではありません。機器やクラウドサービスに障害が生じた場合は業務が中断してしまう可能性を考慮しておく必要があります。

資料の閲覧性が落ちる

電子化するデータによっては、紙の書類よりも見づらくなる可能性があります。とくにモバイル端末などはディスプレイサイズに限りがあるので、図面のような大きい書類は、スクロールを必要としたり、文字が小さすぎて読みにくかったりする場合も多いものです。そのため結局は紙に出力した方が使いやすいこともあります。

書類を電子化するためのステップ

イメージ:書類を電子化するためのステップ

膨大な書類を電子化するには、計画的に効率よく作業を進めることが重要です。
そのための工程やポイント、注意点などを解説します。

STEPー1 電子化の目的と目標を決める

書類の電子化にあたっては、事前に目的と目標を設定し、可能であれば部門ごとの目標などに落としこみ、周知するとよいでしょう。

STEPー2 電子化する書類を特定する

すべての書類を一律に電子化するとコストや業務負荷が大きくなります。そのため、経理部門や営業部門など、どの部門のどの書類を電子化すべきかを選別し、優先順位をつけるとスムーズに電子化を進めることが可能です。その際、電子化によるコスト削減や業務効率化の見込み、電子化のしやすさといった複数の観点から選定することをお奨めします。

STEPー3 電子化したデータの保管、運用ルールを決める

電子化したデータの保管場所やファイル名、アクセス権限などのルールを定める必要もあります。ファイルサーバーなどの容量には上限があるため、廃棄ルールなども事前に決めておくとよいでしょう。なお契約書の保管期間は、会社法関連は10年、経理関連なら7年など法律で定められています。

STEPー4 電子化する方法を決める

電子化する方法には後述するように複数の方法があります。自社で行うのか、代行サービスに依頼するのか、システムを導入するのかなど、電子化による費用対効果や業務負荷などを比較しながら自社の現状にあった方法を選ぶことが重要です。

STEPー5 電子化を行なう

方法が決まれば、いよいよ実際に電子化していきます。企業によっては過去の書類を電子化するだけで数年がかりになるケースもあるようです。新しくオペレーションが変わる場合は、研修やマニュアル整備などもあわせて実施するとスムーズに運用できます。

書類の電子化と法律

書類の電子化に関わる法律には「e-文書法」と「電子帳簿保存法」があり、従来は紙での保存を義務付けられていた文書の多くを、電子化して保存できるようになっています。それぞれで電子化の要件などが定められていますので解説します。

e-文書法の要件

2005年に施行されたe-文書法では文書ごとに保存時に求められる要件を定めています。要件は各府省の府省令などによって異なりますが、経済産業省が定める以下の4つの技術的基本要件が前提となっています。

  • 見読性 : 電子化されたデータがパソコンなどの画面上で正しく閲覧可能であること
  • 完全性 : 電子化されたデータが改ざんや消去などされていない事実を確認できること
  • 機密性 : 電子化されたデータに対し、許可された人間しかアクセスできないなどの措置をとっていること
  • 検索性 : 電子化されたデータを検索しすぐに抽出できること

必ずしも4つの要件すべてを満たす必要はなく、「見読性」以外は対象文書の種類によって変わります。たとえば商法で定められている帳簿、資料などは「見読性」のみが技術要件です。どんな書類でどの要件が必要か、下記の内閣官房のサイトに表でまとめられています。 

電子帳簿保存法の要件

1998年に施行され、e-文書法の施行に伴って改正された電子帳簿保存法の要件は以下の2点です。

真実性の確保

  • データの訂正や削除を行った場合にその事実を確認できること
  • 入力履歴を確認できること、関連する帳簿との関係性を確認できること
  • システム関係書類(システム仕様書など)を備え付けること

可視性の確保

  • 電子化されたデータを明瞭かつ速やかに出力できること
  • 取引年月日や勘定科目など主要な項目で速やかに検索できること

電子帳簿保存法とタイムスタンプ

電子化されたデータは容易に改ざんできるため、「タイムスタンプ」という仕組みを用いて改ざんされていないことを証明する必要があります。「タイムスタンプ」を施せる事業者は認可制です。また、近年増えているクラウド会計やクラウド経理などのサービスは、多くが「タイムスタンプ」に対応しています。

  • 総務省の指針に基づき、一般財団法人日本データ通信協会が認定した第三者機関の事業者が提供。2020年10月現在、日本では7つのサービスがあります。

電子化できない書類

電子化が進む一方で、法令によって書面化、紙による保存が必要な書類も一部存在します。たとえば不動産取引における重要事項説明書などです。労働条件通知書や派遣労働者への就業条件明示書なども紙の書面によって相手の承諾を得る必要があります。ただし、政府は電子化を推進しており、今後これらの書類も規制緩和される可能性があります。

  • 労働条件通知書は2019年の法改正により、同意が得られれば電子化可能となっています。

電子化する方法やソリューション

イメージ:電子化する方法やソリューション

電子化する方法はいくつかあります。
費用対効果や業務負荷などを考慮しながら、比較検討することをお奨めします。

複合機でのスキャニング

電子化するスタンダードな方法は複合機でのスキャニングです。現在の複合機はコピーをするのと同じように複数の書類を一度にスキャンし、指定フォルダに保存できます。またスキャンだけでなく、その場で後述のOCR(Optical Character Recognition/Reader、光学的文字認識)で文字をデータ化できるタイプもあり、より効率的に作業できます。

電子化代行サービス

書類の電子化を代行してくれるサービスもあります。書類の量が膨大な場合や、サイズが大きく、社内リソースでは対応しきれない場合などに有効です。スキャニングだけでなく、データ入力を代行してくれるサービスもあります。

インターネットFAX

インターネットFAXを導入することで、パソコン上からFAXの送受信が可能になります。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響でテレワークが普及したものの、「FAX」を確認するために出社を余儀なくされるケースも少なくありません。FAXを電子化することで、テレワークでも滞りなく業務を遂行できます。

各種クラウドサービス

経理や会計、労務管理など、さまざまなクラウドサービスがあります。クラウドサービスを利用することで、ワークフロー上の書類を電子化できますが、オペレーションへの影響もあるため、マニュアルの整備や研修などの対策も必要です。

OCR

OCRは活字や手書きの紙書類を光学的に分析し、データ化する仕組みです。スキャンしたデータは画像やPDF形式で保存されますが、OCR処理をすることで文字データとして保存が可能になります。最近ではRPAと組み合わせ、業務を自動化するソリューションも提供されています。

  • RPA(Robotic Process Automation)PC上で行われる業務プロセスや作業を人に代わり自動化する技術です。

電子化の成功事例

すでに電子化を導入している企業は、どのような方法で課題を克服し、成果をあげているのでしょうか?
3社の事例をご紹介します。

2つのソリューションでコスト削減、代理店満足度の向上を実現|岩崎電気株式会社

あらゆるシーンでの光を使った機器の製造に柔軟に対応し、最先端の技術を提供する岩崎電気株式会社。「FAXサーバー」と「インターネット EDI システム」という2つのソリューションで通信コストを低く抑え、処理業務の効率化を実現しました。ひとつずつ見ていきます。

FAXサーバーによるペーパーレス化で業務効率アップ

生産関連データを取引先やグループ会社へ送信する仕組みの一部にFAXサーバーを導入。FAXサーバーとは紙出力を介さず、システムから文書を直接FAX送受信する仕組みです。

(課題)
膨大な数の取引先やグループ会社への印刷・郵送による生産関連データ送付の手間
紙の印刷コストや通信コストが多く発生
(効果)
年間 40,000 件以上の FAX 送信を自動化・ペーパーレス化。コスト削減を実現
送信結果の管理をブラウザからでも行えるようカスタマイズし業務も効率化

インターネット EDI システムで通信コストを抑制

代理店に販売関連データを送信する仕組みにインターネット EDI システムを導入。EDIはElectronic Data Exchangeの略で、商取引に関する情報を企業間で電子的に送受信する仕組みです。毎日営業部門で入力される受注データをもとに、メインフレームによって売上データを生成し、夜間に転送しています。

(課題)
データが大きくなるほど通信コストも増加
VAN を利用していたため、相手にもコスト負担などが発生
(効果)
代理店側の負担を最小限に抑え、業務効率化を実現。代理店満足度も向上
通信コストもVAN利用時に比べ、約3分の1に圧縮

会計システムを刷新し、決算処理日数を短縮|小池酸素工業株式会社

ガス関連機器事業や溶材商品事業を展開する小池酸素工業株式会社。利用していた会計パッケージ製品のサポート終了に伴い、新会計システムを導入。そのワークフローを活用することで、大量に発生していた紙の伝票の大幅削減に成功しました。

(課題)
月次決算期間の短縮、早期化
大量の紙伝票による経理部門や各事業所担当者の業務負荷
旧システムはデータ連携が難しく二重入力などの手間が発生
(効果)
Excelを使ったセグメント別の配賦処理をなくし、決算処理日数が改善
データ連携により入金情報などを可視化。消込業務の工数も約3分の1に
ワークフローの活用による、紙の伝票の大幅な削減

受注データ入力と納期回答を自動化。業務効率も向上|パッケージソフトメーカー A社

企業向けのパッケージソフトウェアを販売しているA社。全国の販売代理店を通しての間接販売で売上を伸ばしてきましたが、FAX受注の処理にかかる作業、中でもデータ入力や納期回答の記入・返送などの手作業が大きな負担となっていました。そこで注文書のOCR化と関連システムへの連携を実施。現在では複合機が受注業務の要として活躍しています。

(課題)
納期回答の記入やFAX返信などの手作業を自動化し、生産性を高めたい
日々の正確な受注数をリアルタイムに把握したい
基幹システムとの連携に必要な受注データを自動生成したい
(効果)
納期回答書の自動生成とシステムからのFAX送信により、手作業を削減
一度の入力で複数のシステムにデータ連携し、入力業務を軽減
自動FAX受信+OCR処理で受注状況の可視化を実現

AI OCRとは

AIの技術とOCRを組み合わせたソリューションがAI OCRです。受発注伝票や申込書類など、「手書き」でやり取りされている書類はまだまだ多く、従来のOCRは、活字は高精度に読み取れても、手書きの文字認識率が低いという問題がありました。AI OCRによって、手書きの文字認識率が大きく向上しています。

AI OCRとRPAで書類の電子化と業務効率アップを実現|横浜銀行

神奈川県、東京都を中心に地域経済の担い手として手厚い金融サービスを展開する横浜銀行。マイナス金利の長期化で銀行をとりまく経営環境が厳しさを増す中、顧客基盤の強化のため、よりいっそう営業面に力を注いでいくことが急務でした。

そこで、コストを抑えながら、営業面の人材を捻出するために、さまざまな選択肢の中から、RPAの導入を決定。デジタル処理が前提となるため、紙からのインプットをよりスムーズに実施できる「手書きAI OCR」システムを導入しました。

(課題)
本部事務の効率化と行員の生産性向上による営業面の強化
900業務のうち約半数が紙を介在しており、自動化のボトルネックに
(効果)
AI OCRを活用して諸々の処理をRPAの対象とし自動化を実現
点検済契約書など付随する業務にも自動化を拡大、業務効率化の見通しを立てられた

AI OCRソリューション
CaptureBrain

イメージ:クラウド型AI OCRソリューション CaptureBrain

「CaptureBrain」はキヤノンが長年培った独自の画像処理技術と、AIエンジンを組み合わせたAI OCRです。手書き帳票などをクラウドへアップロードすることで、自動的に帳票種別を判断、OCR処理を実行します。キヤノン独自の画像処理技術で、OCRで読み取りやすい画像に自動的に補正し高い文字認識を実現。APIでRPAなどとの連携も可能です。

まとめ

多様化する働き方に対応するため、企業が取り組むべき課題は多くあります。
「電子化」もそのひとつで、重要性や優先順位も高まりつつあります。
「電子化」を効率よく推進するポイントは、自社に最適な方法やソリューションを取り入れることです。

キヤノンマーケティングジャパンでは、長年培った技術とノウハウでお客様の課題やニーズにあった最適なソリューションをご提案しています。
書類の電子化をご検討の折には、ぜひご相談ください。



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