4Kディスプレイ導入事例
エフエフ東放4K・HDハイブリッド編集室にDP-V3010を導入情報・報道番組の編集用マスターモニターとして活用
4K・HD・リニア・ノンリニア さまざまな要望にマッチする編集環境を実現
エフエフ東放はTBSグループの総合プロダクションで、主に報道・情報系の制作全般を担当している。今回お話を伺ったポストプロダクションの分野では、TBS放送センター内の編集室3室と外部の1室を合わせた4室の編集室が稼働している。
現在4K制作への移行が進められる中、TBSでは同時進行でファイルベースワークフローを構築。さらに編集室の1つである「EED3」内ではHDスイッチャーが更新のタイミングを迎えたため、これらのさまざまな要望に合わせた形で設備の全体的なリニューアルが行われることとなった。4K・HDハイブリッド編集室として生まれ変わった「EED3」では、マスターモニターにDP-V3010を採用。スイッチ一つで解像度を切り替えることができるように工夫が施されている。
同社の番組編集部 専任部長 大浦高之氏、同副部長の松本通武氏に、DP-V3010を導入した経緯とその効果についてお話を伺った。
黒の締まりが心地よい4K映像の再現力
−DP-V3010が導入された「EED3」について、リニューアルの概要をお聞かせください。
大浦「「EED3」はもともとリニアの編集室で、2003年当時に最新のHDスイッチャーを導入したのですが、経年劣化のため更新時期を迎えていたのが背景としてありました。また2017年の段階でTBSがファイルベース化し、それに伴ってEDIUSを導入して放送センター内の3つの編集室のどの部屋からでも使えるようにしたところ、リニアとノンリニアのハイブリッド化がとても便利だということがわかりました。」
「 リニューアルに際しては、テープレス化が済んだとはいえ現場でまだリニアによる完パケ納品もあるため、その部分でのハイブリッドを実現しつつ、さらに先を見据えた時に2Kだけでなく4Kも対応していくという会社の意向も踏まえて、リニア・ノンリニアと2K・4Kの2つの面で両立できるハイブリッド編集室としてリニューアルすることになったのです。」
松本「導入した機材の中でマスターモニターはキヤノンのDP-V3010を採用し、2Kと4Kを瞬時に切り変えられるように設定してもらいました。」
−DP-V3010は他のシステムと組み合せて、
どのように稼働しているのでしょうか。
松本「ノンリニア編集用にはグラスバレーのEDIUS8を搭載した4KターンキーシステムHDWS-4K2を導入し、リニア用にはソニーのスイッチャーMVS-7000Xを設置しています。現状多くを占めるHD制作ではVTRエミュレーション機能を活かして、従来の編集方法に近いリニア編集を行っています。4Kの場合もEDIUSで編集したものをリニアに取り込んでVTRエミュレーションします。一部加工したものをテープへ直に出すことができるので便利ですね。」
大浦「EDIUSの中にはプラグインのテロッパーが入っていて4Kにも対応しています。 以前HD用に大きいモニターを設置した時があったのですが、他の部屋とあまり差があるとスーパーのサイズの共有イメージがずれてしまうため、モニターのサイズは他の部屋との統一感を重視して選んでいます。」
−マスターモニターとしてDP-V3010に求めた機能を教えてください。
松本「導入を決めたポイントで一番気に入ってるのは4K映像の再現度ですね。先を見据えた上での4K・HDハイブリッド化なので、モニターにおいても4K映像の再現性が重要でした。 これは好みだと思いますが、山登りや地球の絶景に行くような番組で色補正をかける場合に、奥行きのある景色をよりきれいに表現できているように感じています。特に黒の中のグラデーションの再現性が高いように感じます。また、4Kだと周辺部が滲んでしまうモニターも多いですが、周辺解像度がきれいに出ているという印象です。」
−視野角や視認性についてはいかがですか?
大浦「HDへの移行の時はブラウン管が液晶に更新されていって、最後に更新が残った編集室には有機ELのモニターを入れたのですが、有機ELは横から見にくく、色も変わって見える印象があったので今回は液晶モニターを採用しました。 助手が斜めから見たりしますので、横からの視認性が優れているのはポイントですね。あとは他のモニターと比較しても、やはり黒の締まりが心地よく輪郭がはっきりしていると感じます。」
情報・報道系の編集でも安定稼働を実現
−DP-V3010を半年ほど使ってみて、気になる点はありますか。
大浦「その逆で何も気にならないんですよね。どんな機械でも現場で問題が起きた時には、すぐに報告が飛んでくるようになっているのですが、DP-V3010は何も指摘されないので、今まで通り違和感なく以前と同じスタンスで使えています。それが情報・報道系の編集ではとても大事なことなんですよね。」
−今回リニューアルした「EED3」では、現在どんな番組編集が行われていますか?
大浦「じつはポスプロには向かない生番組の対応が多いです。TBSの場合は少し特殊で生放送でも完パケにして出しています。日々の運用からすると「はやドキ!」「ビビット」「ニュースキャスター」の作業が多いですね。」
−4K制作を見据えた、今後の展望をお聞かせください。
大浦「今回はスイッチャーの更新時期に4Kへの移行も重なったことで、機材のリニューアルによって色々と新しいことが経験できました。今後もステップアップするためには、キヤノンさんのおすすめで新しい取り組みにもトライしていきたいと思っています。」
松本「すでにファイルベース化は済んだので、今後はHDではなく4Kをスタンダードにするべく現場も変わっていかなければと思っています。今はまだHDが主流ですが来年からはBSで4K放送が始まりますし、コンテンツもこれから増えると思いますよ。」
「 今後、4K制作が急加速するかどうかしっかり見据えていきたいと思います。」
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キヤノンマーケティングジャパン株式会社 放送映像営業部