Windows10サポート終了をきっかけに企業がPC買い替え時に併せて検討するべきこととは?2025年の崖vol.1:IT人材不足への解決策
公開日:2024年12月9日
企業のDX推進が叫ばれる一方、中堅・中小企業にとって「IT人材不足」が大きな課題です。人材の確保が難しいという状況のなか、企業はどのような解決策を模索すればよいのでしょうか。
2025年は、7年も前から経済産業省が警鐘を鳴らしている「2025年の崖」と、Windows10のサポート終了が間近に迫るタイミングです。IT人材が不足している企業では、これらの課題について「自社に関係があるのか分からない」、「何から手をつければいいのか」と悩んでいるところもあるでしょう。
しかしこの機会を前向きに捉えれば、セキュリティー対策や業務DXのためのITインフラ整備を進められるチャンスでもあります。
この記事では、2025年の節目に行うWindows11アップグレードのためのPC買い替えをきっかけに、同時に検討するべきポイントについて解説します。
この記事のポイント
- 2025年10月にWindows10のサポート終了
- セキュリティー対策や業務DXのためのITインフラ整備を進められるチャンス
- Windows11アップグレードのためのPC買い替えをきっかけに、同時に検討するべきポイントについて解説
「IT人材不足」は中堅・中小企業にとって大きな課題
人・モノ・カネなどのリソースに限りがある中堅・中小企業にとって、人手不足は常につきまとう重要な課題ではないでしょうか。特に、企業のDX推進が加速している昨今においては、ITまわりを管理するための「IT人材」の確保も重要となってきます。
中小企業庁が発行している「2021年版 中小企業白書」によると、中小企業のIT人材の確保状況は「デジタル化の取り組み全体を統括できる人材が確保できていない」が55.2%と高い数値となっています。また、それ以上に専門知識が必要な「ITツール・システムを企画・導入・開発できる人材が確保できていない」が57%、「ITツール・システムを保守・運用できる人材が確保できていない」が46.6%と、どれも約半数近い数値でした。企業にとって、IT人材の確保の困難さがうかがえる結果となっています。
さらに、経済産業省の調査では2030年までにIT人材が約79万人も不足するという結果も出ており、今後ますますIT人材の確保が難しい問題になっていくと考えられます。
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参考:中小企業庁「2021年版 中小企業白書」
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参考:経済産業省「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)―IT人材需給に関する調査―」
2025年10月にWindows10のサポートが終了。放置すれば情報漏洩のリスク増
そのようななか、企業の頭をさらに悩ませている問題が2025年10月に迫るWindows10のサポート終了です。
サポート終了後は定期的な更新プログラムが提供されなくなるため、セキュリティー面の脆弱性が高まり、ウイルスやマルウェアなどのサイバー攻撃と情報漏洩リスクにさらされることになります。
statcounter GlobalStats が公開している日本でのWindowsのバージョン別市場シェアによると、2024年10月時点でのWindows11シェア率は43.91%にとどまり、Windows10は54.24%と半数を占めています。未だWindows10を使い続けている企業が多いと推測できる結果です。
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statcounter GlobalStats「Desktop Windows Version Market Share Japan Oct 2023 - Oct 2024」
また、同年には「2025年の崖」の課題もあります。特に問題視されているのが、基幹システムの老朽化と、その管理者の高齢退職によるIT人材不足です。
2025年の崖については、「聞いたことはあるけれどよく分からない」、「古い基幹システムは使用していないから自社には関係ない」と身近な課題として捉えられない企業も多いかもしれません。しかし、2025年の崖は、上述したようにIT人材の不足も大きな課題となっています。
例えば、これまで「ひとり情シス」で担当していた方が高齢により退職することで、ITまわりの管理が行き届かなくなり、PCの不具合や業務システムへの対応が困難になったり、新しいIT人材の確保そのものが難しいため、業務全体に影響が出てしまったりする可能性もあります。
2025年という節目は、IT人材が不足している中堅・中小企業にとって、PC環境とITインフラまわりの整備、そして将来を見据えた業務のDXについて考えるべきタイミングとも言えます。
Windows11へのアップグレードや最新のデジタル技術に対応可能なPCの買い替え、あらゆるサイバー攻撃を防ぐための新たなセキュリティー対策、これまでアナログ管理していた業務のDXなど、検討を進めてみてはいかがでしょうか。
PC買い替えのタイミングに併せて検討したいこと
Windows10のサポート終了に伴うPCの買い替えは、費用が発生するためにデメリットと捉えられがちですが、同時にDXを進めるチャンスでもあります。DXを見据えてITインフラを整えることで、アップグレードだけにとどまらないメリットがあるからです。
セキュリティー対策
Windows11にアップグレードしたとしても、更新プログラムだけではセキュリティー面におけるすべてのリスクを取り除けるとは限りません。昨今では、AIを悪用したサイバー攻撃も登場しているため、あらゆる攻撃から機密情報を守ることが重要です。
日々巧妙化するサイバー攻撃に対し、大企業ではさまざまなセキュリティー対策が講じられていますが、「自社は標的にならないだろう」という意識から十分に対策できていない企業が少なくありません。しかし、こうした企業への不正アクセスを踏み台に、大企業の機密情報を狙うサイバー攻撃も増えています。
最新のセキュリティー対策は、自社の情報の保護だけでなく、親会社や取引先が攻撃されるリスクを防ぐことにもつながります。
クラウドストレージの活用
これまでローカル(PC)に保存していたデータをクラウドに移行することで、社内でのデータ共有やセキュリティーの向上が期待できます。
ローカル保存を続けていると、PCの破損・紛失によるデータの消失や情報漏洩、不正アクセスなどリスクが常につきまといます。クラウドストレージを活用すれば、リスクを軽減できるだけでなく、社内でのデータ共有が容易になり、リモートワークへの対応も円滑に進められます。
当社が実施した「2024年度 キヤノン複合機顧客満足度調査」にて、働き方改革や業務のデジタル化について関心のある項目を調査したところ、「デジタル化による業務改善」や「情報セキュリティー対策」、「クラウドサービスの活用」への関心が特に高まっているという結果が出ています。
「働き方改革」や「業務のデジタル化」について関心のある項目
すでにPCを買い替えた企業、これから買い替える企業、いずれもセキュリティー対策やクラウドサービスの活用という観点から見直すことでさらなるDXを進められます。
Windows10のサポート終了まで残り1年を切りました。適切なサービスの選定から実際の導入、社員への操作研修まで3~4ヶ月、最長で半年以上かかる取り組みとなります。計画的に進めるためにも、今が検討を始める絶好のタイミングです。
セキュリティー対策とクラウド化のサービス選定でおさえておきたいポイント
ここからは自社に合ったセキュリティーソフトやクラウドサービスの選定時におさえておきたいポイントを、解決したい内容別に解説します。
(1)スマホやPCを外出先でも安心して使用できるようにしたい
出張先やテレワークなど外出先からネットワークへ接続する機会が日常的になったことで、スマホやPCのセキュリティー対策が必須となりました。特にカフェやホテルなどのフリーWi-Fiの利用時は、利便性が高い一方で通信の盗聴や不正アクセスのリスクが高まり、ビジネスでの利用には懸念を抱く企業も少なくありません。
そこで重要となるのが、社員が使う一台一台の端末(エンドポイント)を、それぞれ保護する「エンドポイント保護」機能を備えたセキュリティーソフトの導入です。最新のセキュリティーソフトは、各端末でウイルスの怪しい動きを検知していち早く封じ込めたり、危険なWi-Fiへの接続を事前に警告したり、AIを活用して新種のマルウェアを見つけ出すような機能を備えています。
また、社外で使用している端末の状況をリアルタイムで確認し、問題があればすぐに対処できるような管理面でも優れているソフトがあります。
(2)サプライチェーン攻撃も防げる万全なセキュリティー対策をしたい
近年増えているのが、サプライチェーンの一部である中堅・中小企業の脆弱性を利用して内部システムに侵入し、取引先である大企業の機密情報を狙う「サプライチェーン攻撃」です。
中堅・中小企業のセキュリティー対策は自社の機密情報を守るだけではなく、サプライチェーンに含まれている大企業や取引先の情報を守ることにもつながると理解しておく必要があります。
また、セキュリティー事故が発生した場合は、初期対応が被害の大きさを左右します。しかし中堅・中小企業には、サイバー攻撃かもしれないと判断できる専門家や、感染した場合の初期対応ができる技術者が社内にいないことがほとんどです。
そこで注目したいのが、外部のセキュリティーエンジニアによる「24時間365日の監視サービス」です。不審な動きをすぐさま発見し、休日や夜間でも対応してくれるのが特長で、社内にセキュリティー人材が不足している企業でも安心して任せることができます。例えば、不審なメールを開封してしまった場合、遠隔で該当PCを直ちにネットワークから切り離し、マルウェアの感染範囲を特定。その後、駆除作業や復旧サポート、原因究明までを一貫して対応してくれるようなサービスがあります。
こうした「監視」と「対応」を一体化したサービス(MDR)を選ぶことで、「ひとり情シス」の場合や、社内に専門家がいなくても、セキュリティー事故から自社と取引先を守ることができます。
(3)大量の紙の資料を、ローカルを介さずにクラウド化したい
これまでは紙の資料をクラウドに保存する際に「複合機でスキャン→PCに一時保存→クラウドにアップロード」という3ステップの作業が必要でした。大量の請求書や納品書を処理する場合、大きな時間のロスになります。また、重要な書類をPCへ一時的にローカル保存することがセキュリティー上の課題でもありました。
この課題を解決するのが「クラウド対応複合機」です。今まで社内のサーバーや個人PCにスキャンしていた時と変わらない、シンプルな手順でクラウドストレージに保存できます。
クラウドストレージ上に保存したファイルは複合機から直接印刷できるので、作業の効率化にもつながります。
(4)Microsoft Officeをクラウドでも使えるようにしたい
従来のクラウドサービスでは、WordやExcelの機能制限や操作画面の相違などにより、慣れるまでに時間がかかりました。表計算やプレゼン資料など複雑な作業が必要なファイルは、使い慣れたMicrosoft Officeで作業したいというニーズが強くあります。
最新のクラウドサービスなら、普段使用しているローカル上のMicrosoft Officeとほぼ同じ画面で作業ができます。作成したファイルがクラウドに自動保存されるため、複数人でのリアルタイム編集や変更履歴の自動保存など、従来よりも便利な機能が使えるようになります。
DXへの第一歩に向けてキヤノンマーケティングジャパンにご相談を
2025年の崖やWindows10サポート終了に向けた対応に伴い、セキュリティー対策やクラウドストレージといった観点から業務環境を見直すことで、DXの一歩を踏み出せます。自社で抱える課題解決につながる最新のセキュリティーソフトやクラウドサービスを選ぶことが大切です。
キヤノンマーケティングジャパンでは、業務のDXやITインフラまわりの見直し手順など、企業が解決したい課題に合ったサービスを各種提供しています。また、「自社も対策を行うべきなのか」、「何から手をつけていいか分からない」といった相談にも対応可能です。以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。
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