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防災カメラとは?設置による効果と注意点・必要になる設備を解説

自然災害が増える中、地域の安全を高めるために「どの場所が危ないのか」「避難の判断をどうすべきか」を即時に把握できる環境づくりが求められています。

本記事では、防災カメラの基本から設置で得られる効果、注意点、導入に必要な設備、具体的な活用シーンまで網羅的に解説。自治体、防災担当者、企業の安全管理を強化したい方にとって、防災カメラの導入判断に役立つ情報をまとめます。

公開日:2026年2月20日

目次

防災カメラとは

防災カメラとは、災害の兆候や発生状況を遠隔から確認するために設置される監視カメラのことです。ネットワークを通じて映像を配信できるため、現地に赴かなくても「今どんな危険が起きているのか」を把握できます。言い換えると、“災害現場の様子をライブで見られる仕組み” です。

防災カメラが使われる主な場面
  • 河川の増水や氾濫の監視
  • 土砂災害の前兆確認(斜面の亀裂・崩落の兆しなど)
  • 浸水状況や道路冠水状況の把握
  • 避難所周辺の混雑状況の確認
  • 夜間災害時の視界補助

住民・自治体・企業が危険を判断する材料として使えるため、「迅速な避難判断」や「情報の正確な共有」に役立つ重要な防災ツールです。

防災カメラを設置する目的

防災カメラを設置する目的は次のとおりです。

  • ライブ映像を住民が確認できる
  • 周辺環境を広範にわたって監視できる
  • 現地のライブ映像を大勢で共有でき、適切な避難誘導を実施できる
  • 被害を最小化に抑えられる

これらに共通するのは、「判断を早め、誤りを減らす」という点です。情報が届くまで時間がかかるほど被害は拡大しやすく、現場の状況を誤認したまま指示を出すと避難行動の遅れにもつながります。

防災カメラはこの“情報の遅れ”を補い、現地の状況をそのまま把握できる環境を整えるために活用されます。

ライブ映像を住民が確認できる

防災カメラの映像を住民が確認できるようにすることで、地域の危険度を自分で判断しやすくなります。

文字情報だけでは状況が伝わりにくく、降雨量の数字や警報だけでは「本当に危ないのか」が掴みにくい場面があるでしょう。ライブ映像があれば、河川の水位、道路の冠水、土砂の流れ方などがひと目で分かり、自分の避難タイミングを早める判断材料となります。

たとえば、普段から見慣れた河川の映像があれば、いつもとの違いに気付きやすくなります。
住民が自ら状況を把握しやすい環境を整えることは、自治体の避難情報や呼びかけを補完し、結果として安全な避難行動につなげていくための大切な取り組みの一つといえるでしょう。

周辺環境を広範にわたって監視できる

災害は一点だけで起きるものではなく、河川、道路、斜面、住宅地など複数箇所が同時に危険を抱えることがあります。加えて、現地スタッフを複数配置するのは難しいため、カメラによる広域監視が効果を発揮します。防災カメラは広角レンズやパン・チルト機能を備えることで、周辺一帯を広範囲に監視できます。

上流の増水を早く把握できれば、下流の住民に早めの避難行動を促せますし、斜面の変形が確認できれば、通行止めの判断も迷わなくなります。広さをカバーできる監視体制があることで、災害の連鎖を読み取りやすくなります。

現地の映像を関係機関で共有し、連携した避難対応を支える

ライブ映像をクラウドで共有すれば、自治体の庁舎、防災センター、避難所、警察・消防など複数の機関が同時に状況を把握できます。各機関の判断が揃えやすくなり、統一した避難誘導を行いやすくなるでしょう。現場の職員が言葉で説明しづらい状況であっても、映像があれば意思疎通が滑らかになります。

たとえば、避難所が混雑し始めた場合、その様子を共有して別の避難先を早めに開放する判断が可能になります。多くの関係者が同じ映像を共有できることは、混乱を抑え、安全な避難行動へ導くための有効な手段となります。

被害を最小化に抑えられる

防災カメラによる早期把握は、災害発生時の被害を抑えるために欠かせません。被害が大きくなるのは、「危険が迫っていることに気づくのが遅れる」ことが主な原因です。カメラで状況が分かれば、避難指示の判断、道路封鎖、消防の出動調整などを前倒しで行えます。

河川の水位が急激に上がっている様子を確認できれば、周辺区域の住民に早めの移動を促せます。危険の兆候をいち早くつかむことで、人的被害・物的被害の両面で損失を抑えられる仕組みが実現します。

防災カメラを設置する際の注意点

一方で、防災カメラの導入では次の点に注意が必要です。

  • 個人情報保護やプライバシーの遵守
  • 情報漏えいのリスク
  • 運用体制・責任の明確化

いずれも、設置後のトラブルや住民の不信感につながりやすいため、事前に明確なルールを整える必要があります。特にクラウド型カメラを利用する場合は、情報管理のあり方やアクセス権限を慎重に検討することが重要です。

個人情報保護やプライバシーの遵守

防災カメラは街中や生活道路に設置されることがあり、人の顔や車両ナンバーが映る可能性があります。そのため、個人情報の取り扱いに注意しない運用は、住民の不安や苦情につながりかねません。映像の公開範囲を限定し、災害時のみ一般公開する運用にするなど、目的に合わせた公開ポリシーを決める必要があります。

また、撮影範囲に家庭の玄関や私有地が入り込まないように設置位置を調整することも重要です。適切に配慮しながら、住民の理解を得ながら安全対策を進めないといけません。

情報漏えいのリスク

防災カメラがクラウド通信を行う場合、第三者の不正アクセスによる映像流出のリスクを考慮しなければなりません。アクセス権限の管理や通信の暗号化、パスワードの定期変更など運用上の安全対策が欠かせないでしょう。

たとえば、庁舎や公共施設から視聴する場合でも、アクセス権を厳格に管理し、利用者認証やログ記録を徹底することで不正利用を防げます。災害時の重要情報が外部に漏れれば、二次被害につながる恐れもあるため、機器選定から運用ルールの整備まで一貫して取り組む必要があります。

運用体制・責任の明確化

防災カメラは設置して終わりではなく、日常的な管理やトラブル対応が欠かせません。映像の保存期間や公開範囲、故障時の対応、アクセス権限の管理など、運用ルールを明確にし、誰がどの範囲を担当するかを決めておかないと、災害時に混乱を招く恐れがあります。

災害発生時に庁舎と現場のどちらが情報を発信するのかが曖昧なままだと、判断が遅れ、情報の重複が発生します。運用ルールが整っていれば、カメラの役割を最大限発揮でき、安全対策として機能します。

防災カメラの設置に必要な設備

防災カメラの設置には次の設備が必要です。

  • ネットワークカメラ
  • 携帯電話などの屋外通信網

これらは、遠隔地から現地の映像を送信するために必要な要素です。ネットワークカメラは撮影とデータ圧縮を行い、携帯通信網を介してクラウドへ映像を送ります。わかりやすくイメージすると、カメラが「目」として状況を捉え、通信が「道」として映像を届ける仕組みとなっています。

防災カメラの活用例とおすすめ機種

防災カメラは、設置場所や目的によって選ぶべき機種が異なります。

河川や道路の定点監視では長期運用に適した堅牢なタイプが役立ち、避難所や仮設エリアのように状況が変わりやすい場所では、電源を入れてすぐ使える可搬型が向いています。また、夜間災害に備える場合は高感度モデルが有効です。

ここでは、それぞれの現場でどのように活用できるかを踏まえ、用途別のおすすめ防災カメラを紹介します。

電源を入れるだけで使えるモバイル防災カメラ

現場の状況が刻々と変わる災害対応では、「すぐ使える」機材かどうかが重要になります。モバイル型の防災カメラは、設置工事を必要とせず、電源を入れた瞬間から撮影と通信が始まるため、仮設避難所や緊急的な交通規制区域、増水が見込まれる河川付近などに迅速に展開できます。

『Safie GO』(レンタルタイプ)や『VisualStage GO』(買い切りタイプ)は、携帯回線のみで映像配信できる構成が特長で、有線ネットワークが途絶する非常時でも運用を継続できます。さらに、現場で撮影した映像は自動的にクラウドへ送信され、管理拠点から録画・配信・共有を一括で扱える屋外対応のオールインワンクラウド録画ソリューションです。
可搬性の高さにより、必要な場所へ柔軟に移動でき、状況の変化に合わせた監視ポイントの設定も容易です。庁舎側では複数カメラを同時に監視し、関係機関へ即座に映像を共有できるため、緊急時の判断材料を迅速にそろえたい場面に最適です。現場を「機動力」で支えつつ、管理側の連携も強化できるのがモバイル型の魅力です。

河川や道路など固定監視に向くクラウド連携カメラ

河川・道路・ダムなど、継続的な観測が求められる場所では、耐久性と安定稼働を重視した据え置き型カメラが適しています。

『VisualStage Type-S』は、河川やダムに最適な防災カメラで、増水や土砂崩れの兆候を確実に捉えるための設計がされています。映像はクラウド上で保存・管理されるため、離れた拠点からも継続して状況を確認でき、災害発生時の判断を迅速化できます。

河川の状況を地域住民が自ら確認できるため、避難のタイミングを早める声かけにつながり、防災意識の醸成にも役立ちます。自治体側の監視体制を強化しつつ、地域と危険の“見える化”を共有できる点が、固定監視向けクラウドカメラの大きな価値といえます。

暗所・夜間でも映像を確保できる高感度カメラ

夜間に災害が発生した場合、視界が確保できないことが大きなリスクになります。街灯が少ない山間部や河川敷では、肉眼では状況を把握しにくく、現場へ向かう判断そのものが遅れかねません。

『高感度監視カメラシリーズ』は、こうした暗所での視認性を確保することを目的に設計されており、照度が極めて低い環境でも鮮明な映像を取得できます。

災害対応の現場では、夜間における被災状況を把握することで、救助や安全確保の優先順位を検討したり、危険が広がる可能性を見極めたりする必要があります。高感度カメラによって暗所の状況変化を視覚的に確認できることは、消防や自治体が状況を整理し、次の対応を検討するうえでの重要な情報の一つとなります。

夜間の状況を無理なく確認できる体制を整えることは、防災カメラに求められる役割の中でも、安心・安全な対応を支える大切な要素といえるでしょう。

夜間でも河川対岸を鮮明に遠隔確認できることを実証

キヤノンマーケティングジャパン株式会社と国土交通省関東地方整備局との共同検証では、夜間の視認性や河川監視の精度を高めるうえで、映像ソリューションが有効であることが確認されています。特に暗所での見え方、増水検知の速度、離れた拠点から映像を確認できる利便性が評価されました。

技術名 昼夜問わず数km先を鮮明なカラー映像で確認可能な超高感度カメラ「MS-500」および「映像鮮明化ソフトウエア」
技術概要 本技術は、新技術SPADセンサー搭載の超高感度カメラおよび映像鮮明化ソフトウエアを利用し、夜間の監視を行うことで、従来巡視員が現場で直接目視確認していた作業を遠隔で行う仕組みである。その結果、作業員数の削減や業務の効率化が期待できる。
  • 超高感度カメラ「MS-500」特長・革新的な超高感度SPADセンサー搭載・高い光学性能をもつキヤノン放送用ズームレンズに対応するレンズマウントを採用
  • 映像鮮明化ソフトウエア特長・AI(ディープラーニング)を用いたノイズリダクション技術・キヤノン製超高感度センサーの特性情報を活かしたノイズ除去
実証結果 浮間地区荒川防災ステーションの屋上に超高感度カメラ「MS-500」および「映像鮮明化ソフトウエア」を設置し、3月6日19時30分(日没17時40分)に河川対岸(610m先)や三領水門(1.3km先)を撮影。既設の浮間地区荒川防災ステーション横に設置してあるカメラ映像と比較した結果、夜間の河川や水門、対岸の状況(自転車の通行等)を鮮明なカラー映像で確認できた。今後は、夜間監視で活用するため、ハウジング・雲台・制御システムの検討を進める。

災害対応においては、夜間という視認性の限られた状況下で、現地の様子を正確に把握することが難しい場面も少なくありません。そうした課題に対して、超高感度カメラやクラウドによる映像共有は、状況理解を支える有効な手段として活用されてきました。
映像による情報が加わることで、現場や関係機関が検討できる判断材料が増え、避難対応や安全確保に向けた検討をより丁寧に行えるようになります。

まとめ

防災カメラは、災害時の判断を早め、被害を抑えるために欠かせない仕組みです。住民が映像を確認できる環境づくりから、自治体が複数拠点で状況を共有する体制づくりまで、幅広い用途で活用できます。

設置における注意点を理解し、適切な設備を揃えたうえで運用すれば、地域全体の安全性を高められるでしょう。

キヤノンマーケティングジャパンの映像ソリューションを導入すれば、現場の可視化と判断精度を高め、災害リスクに備えた防災体制を構築できます。

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