eシールとは?電子署名との違いから見る業務活用ポイント
eシール(Electronic seal)は、組織が発行する電子データの信頼性を高め、企業間取引や行政手続きなどでの電子データの信頼性と安全な流通を支える重要な技術として注目されています。
本記事では、eシール(Electronic seal)の基本的な概念から、日本の制度における位置づけ、電子署名やタイムスタンプとの違い、ビジネスプロセスの効率化に貢献する具体的な活用シーン、導入方法までを詳しく解説します。
公開日:2026年1月29日
eシール(Electronic seal)とは?
組織が発行した電子文書の信頼性を担保する仕組み
eシール(Electronic seal)とは、組織が発行する電子データの「発行元の真正性」と「内容の完全性」を保証する、電子版の社印に相当するものです。電子データに対し、発行元が特定の組織であることを証明し、かつeシールが付与された後に文書が改ざんされていないことを技術的に保証します。
eシールの総務省の指針と背景
日本におけるeシールは、総務省が民間事業者によるeシールの利用を促進するためのガイドラインを策定しています。この指針は、eシールが「誰が」「何を」証明するのか、またその証明が「いつ」行われたのかを明確にし、利用者が安心して電子データを取り扱える環境を整備することを目的としています。
その背景には、行政手続きのオンライン化や民間取引のデジタル化があります。紙の文書であれば、社印によって発行元や内容の真正性を確認できましたが、電子データではそれが困難でした。そこで総務省は、電子データの信頼性確保を重要な課題と位置づけ、eシールの導入を促進しています。
総務省が定める認定制度と保証レベル
eシールの信頼性確保のため、総務省は「eシールに係る特定認証業務の認定制度」を創設し、電子署名と同様に厳格な基準を満たす事業者を認定します。これにより、利用者は国の認定を受けた高い信頼性が担保されたサービスを選ぶことができます。さらに、eシールの保証レベルは総務省指針にて設定され、民間レベル(レベル1)と総務大臣認定レベル(レベル2)を文書の重要度や用途に応じて適切な信頼度により選択可能になります。これらの認定制度と保証レベルの導入は、eシールが単なる技術的手段を超え、国が管理する信頼性の高い社会インフラとして、デジタル社会の確かな信頼基盤を提供することに繋がります。
eシールの法的効力と推定効力
eシールが付与された電子データは、総務省令案では「eシール名義人である特定法人などにより作成されたものと推定する」と明記される見込みです。
この推定効力により、eシール付き電子データは裁判などの法的な場面で発行元の真正性を証明する有力な証拠となり、改ざんや否認の主張に対しても発行元の信頼性を強く裏付けます。結果として、電子データの信頼性と法的安定性が向上し、企業が電子取引を進める上での大きな安心材料となります。
eシールの制度化はいつから始まるのか?
eシールの法的基盤は、2020年9月施行のデジタル手続法によって整備されました。総務省は2025年3月にeシールの新認定制度を創設し、2025年度中に本格運用が開始される予定です。
eシールと電子署名、タイムスタンプの違い

eシール、電子署名、タイムスタンプは、いずれも電子データの信頼性を高める技術です。
- eシール:組織が電子データの作成元であることを証明し、その文書が改ざんされていないことを保証します。
- 電子署名:個人が電子データに署名したことを証明し、本人の意思表示と非改ざん性を保証します。
- タイムスタンプ:ある時点において電子データが存在し、その内容がその時点から改ざんされていないことを証明します。
eシールと電子署名の違いは?
| 比較項目 | eシール | 電子署名 |
|---|---|---|
| 主体 | 組織 | 個人 |
| 目的 | 文書の発行元が正当であること(特定の法人による作成)を証明 | 署名した個人の意思表示や同意を証明 |
| 個人の契約内容への同意、承認 | 企業が発行する契約書、請求書などの発行元証明 | 個人の契約内容への同意、承認 |
eシールとタイムスタンプの違いは?
| 比較項目 | eシール | タイムスタンプ |
|---|---|---|
| 証明する内容 | 発行元の真正性(誰が作成したか) | 特定の時刻にその電子文書が存在したこと(存在証明)と、それ以降改ざんされていないこと(非改ざん証明) |
| 主な機能 | 文書の発行元証明、起源保証 | 存在証明、非改ざん証明、完全性保証 |
デジタル文書の信頼性を高めるために
これらの技術を組み合せて利用することで、より強固な信頼性を持つ電子データを作成することが可能です。例えば、組織がeシールで文書を作成し、その文書に個人の電子署名が加えられ、さらにタイムスタンプが付与されることで、発行元組織の真正性、個人の意思表示、そして発行時点の非改ざん性のすべてが保証されます。
eシールの活用シーン
eシールは、組織が発行する電子データの信頼性を担保する仕組みとして、日常的に発生する大量の定型業務から、企業統治に関わる重要な情報公開、さらには法制度への対応まで、その用途は広範囲におよびます。
請求書や領収書などの大量発行書類
企業が日常的に発行する請求書、領収書、納品書、見積書といった大量の定型書類にeシールを付与することで、発行元の真正性と非改ざん性を確保し、経理処理の効率化と信頼性向上に貢献します。
IR関連文書や各種証明書
投資家向けのIR情報(決算短信、有価証券報告書など)や、卒業証明書、在籍証明書、成績証明書、建設業許可通知書といった公的な証明書にeシールを付与することで、情報の信頼性を高め、ステークホルダーへの透明性を確保します。
例えば、企業HPが発行するPDF形式のIR情報にeシールを付与することで、投資家やステークホルダーは、その情報が改ざんされておらず、間違いなく企業が発表した公式文書であることを容易に確認できます。同様に、教育機関が発行する各種証明書にeシールを付与すれば、受け取った側は、その証明書が偽造されたものではなく、正式な教育機関から発行された真正なものであると確信できます。
電子インボイス制度への対応
eシールを付与された電子インボイスは、受領側が発行元の正規性や内容の改ざんの有無を容易に検証でき、不正なインボイスの流通を防ぎ、適格請求書としての信頼性を高めます。
製造メーカーが発行する文書:ミルシート
製造メーカーが製品の品質保証として発行するミルシート(材料証明書)にeシールを付与することで、ミルシートがメーカーによって正式に発行され、内容が改ざんされていないことをデジタル的に証明できます。これにより、紙媒体での送付や保管、偽造のリスクを減らし、サプライチェーン全体での信頼性を向上させます。
保険医療機関が発行する文書:健康診断結果証明書
健康診断結果証明書や診療情報提供書など、医療機関が発行する機密性の高い文書にeシールを付与することで、発行元の医療機関の真正性と内容の非改ざん性を保証し、患者や連携機関への安全な情報提供を可能にします。
eシールの導入方法
eシールを企業に導入するプロセスは、計画的なステップを踏むことでスムーズに進められます。
STEP1eシールを適用したい電子データの種類を特定
請求書、契約書、各種証明書など、企業が発行する電子データの中から、eシールによる発行元証明が必要なものを洗い出します。これにより、導入の目的と範囲が明確になります。
STEP2eシール対応サービスの選定
総務省「eシールに係る指針」に準拠したeシール用電子証明書、秘密鍵鍵管理や署名方式のeシール対応サービスを利用することで信頼性が担保されます。また、自社の既存システムとの連携性や、提供されるAPIの充実度も重要な検討事項となります。
STEP3eシールを利用した運用ルールを策定・関係部署への周知徹底
誰が、どの文書に、どの条件下でeシールを付与するのか、また付与された電子データの確認方法などを明確に定め、運用の透明性と安全性を確保し、リスクを最小限に抑えた運用設計が必要です。
単なる技術導入だけでなく、組織全体の準備とルール整備やサービス提供事業者との密な連携が不可欠です。組織の規模や電子データの種類に応じた最適な導入計画を策定することが重要です。
DigitalWork Acceleratorのeシール付与とは?
DigitalWork Accelerator 電子取引管理サービスは、紙文書・電子文書を一元管理し、高い検索性を持つ長期保存に特化したクラウドサービスです。

特長①取引先に信頼性と真正性を担保した文書を提供
書類をアップロードするだけで自動的にeシールが付与※されます。既存の出力・保管オペレーションを変更する必要はありません。受領側はAdobe Reader※を開くだけでeシールを付与した組織名、有効期限、文書の改ざんの有無(完全性)といった詳細情報を視覚的に確認でき、発行元の正当性と内容の信頼性を手軽に検証できます。
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Adobe Readerは、Adobe Inc.の商標または登録商標です。
特長②外部システムとAPIでシームレスに連携
既存の基幹・業務システムの帳票出力フローに「DigitalWork Accelerator」のAPIを組み込むことで、eシール付与とドキュメント管理をシームレスに実現できます。
特長③クラウド型リモート署名で容易に開始でき効率的に運用可能
eシール付与に必要な署名鍵の保護や署名の実行は、すべてクラウド側で安全に処理されるため、お客さま自身で管理する必要はありません。
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DigitalWork Accelerator 電子取引管理サービスは、サイバートラスト社が提供するJIPDECの「JIPDECトラステッド・サービス登録(認証局)」および「JIPDECトラステッド・サービス登録(リモート署名サービス)」を取得した「iTrust eシール用証明書」と「iTrust リモート署名サービス」を使用しています。
まとめ
eシールは、デジタル社会における電子データの信頼性を根底から支える重要な技術です。電子署名やタイムスタンプなどトラストサービスの活用が加速し、総務省による指針や認定制度の整備が進む中、eシールの活用は今後ますます広がりを見せると予想されます。
電子データの真正性を保証することで、信頼性の高い取引環境が構築され、受領者の確認作業の負担を軽減し、企業間取引の透明性向上と業務の効率化に寄与します。さらに、①業務のデジタル化とコスト削減②文書の信頼性向上とコンプライアンス強化③DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にも寄与し、企業が持続的に成長し、競争力を高めていく上で不可欠な要素となるでしょう。
ぜひこの機会に、電子データの真正性を保証するeシール導入をご検討ください。
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