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医療DXによる業務の効率化と品質向上で健診現場の新しい未来を拓く山口県予防保健協会

業種:医療|従業員数:234名|成果:業務効率の向上・安定稼働、コスト削減、顧客/従業員満足度向上

県民の健やかな毎日と生活環境を確かな技術で支える山口県予防保健協会
健康の保持増進や生活環境の保全、公衆衛生の向上を図るため、がんをはじめとした各種健康診断、生活習慣に関する保健指導、生活環境の調査・分析、食品・飲料水の検査などを行っている公益財団法人。新生児から齢者まで、あらゆる人がそれぞれのライフステージに応じて健康で、安心して暮らせる社会の実現をめざして力を尽くしています。同協会では、中核事業である巡回健診の現場で起きる、検査項目の実施漏れや受診票の記入漏れといった人的ミスが長年の課題となっていました。そこでDXによる業務効率化と医療サービスの品質向上を図るため、キヤノンITSメディカル(以下、キヤノンIM)の「ハンディ健診」を活用し、確かな成果を挙げています。保健部の金子氏、長岡氏、松田氏、安全管理室の宮崎氏に導入の背景や選定理由、運用の効果などについて詳しく伺いました。

01 導入背景目視や手入力に頼ってきた健診業務における人的ミスの発生ゼロをめざして

紙の問診票や受診票を使用し、長年にわたって手書きによる記入や属人的な検査業務が行われてきた健診現場。そうした状況の中で、同協会では具体的にどういった課題があったのでしょうか。

問診表の記入漏れや検査の実施漏れが発生

当協会では山口県内の住民の皆様をはじめ、企業や各団体、学校などを対象とした検診車による巡回健診を実施しています。受付時にご自宅などで事前に書いてもらった問診票を提出していただきますが、なかには書き忘れの欄があったり、字が読みづらかったりするケースも。検査項目は、体重や身長、血圧の測定から始まり、血液採取、医師による問診など複数あります。基本的には順路に沿って順番にご案内し、各ブースの担当者が検査後に受診票にレ点を記入するという流れです。
どうしても目視や人の手に頼った業務となるので、検査結果の記入漏れや検査項目の実施漏れといったヒューマンエラーがしばしば発生していました。こうした不備やミスはその場で気づけないことがほとんどですので、後日に受診者へ電話連絡して問題解決の対応を行うなど、さらなる手間が掛かってしまう実態がありました。

健診現場の業務負荷が長年の課題に

また、一般の検査項目とは別に、希望者には胸部や胃部のレントゲン、乳がん検査を実施します。この際、妊娠中の方やペースメーカーを使っている方への実施は禁忌となっているため、細心の注意を払う必要がありますが、これが業務負担となり、健診現場の流れを滞らせる要因の一つにもなっていました。そこで医療DXの推進に着手し、検討を重ねるなかでご提案いただいたのが、キヤノンIMの「ハンディ健診」でした。

保健部 安全管理室 室長補佐
宮﨑 修一 氏
保健部 健診第2グループ 係長
金子 ミツエ 氏
保健部 健診第2グループ 主任
松田 咲貴 氏
保健部 健診第2グループ
長岡 亜美 氏

02 選定理由煩雑になりやすい健診現場の業務を劇的に改善する多彩な機能

健診現場の業務効率化を実現する画期的な方法として、キヤノンIMのハンディ健診を選択した理由はどこにあったのでしょう。提案内容や導入の決め手となったポイントなどを伺いました。

選定の3つのポイント POINT1 基幹システムとの連携 POINT2 優れた通過管理と操作性 POINT3 OCRによる問診票のデータ化

新しい基幹システムとの柔軟な連携

キヤノンIMさんからご提案いただく以前から、もともと当協会では長年にわたって活用してきた健診システムの刷新を図るためにすでに動き出していました。各メーカーの製品を検討するなかで、ある基幹システムに目星をつけていましたが、必須条件はこれと連携できること。
ハンディ健診は問題なく対応できるとの説明を受けたので、まずはひと安心というのが第一印象です。加えて、多くの受診者が訪れて業務が煩雑になりやすい健診現場で検査結果を手書きで記入するのではなく、デジタルデータで協会に持ち帰り、印刷してスピーディに結果票が作成できるという業務フローの簡素化と効率化の提案に率直に魅力を感じました。

通過管理体制の実現とシンプルな操作性

導入の後押しとなったのは、キヤノンIMさんが他県の保健協会の健診現場で行ったデモンストレーションへの参加。この時、ICカードによる「通過管理」という概念を初めて知り、検査の実施漏れや結果の記入漏れを防ぐ方法として非常に有効だと感じました。さらに、ハンディ健診の操作画面を直に見て、UI (ユーザインターフェース)デザインのわかりやすさや見やすさ、シンプルな操作性をリアルに体感。当協会で採用を予定していた新しい基幹システムとの連携も確認でき、実際の健診業務にマッチした形でより良く進化させられるとイメージできたことが大きなポイントです。

OCRによるスピーディな問診票のデータ化

もう一つ注目したのがOCRオプションを活用した健診現場での入力作業。通常は手書きの問診票を目視で確認しますが、ハンディ健診は問診票をスキャニングして、その場でデジタルデータ化してPCに取り込めます。この機能により入力漏れがあった場合は警告画面に表示されて即座にミスに気づけるので、人の目に頼った属人的な確認作業からの脱却を図れ、健診現場の業務改善につながると実感できたことも導入の決め手となりました。

03 導入後の成果健診業務の効率化と品質向上、年間約500万円のコスト削減にも成功

タブレット端末で連携している健診車内の胃部X線
 

正確な通過管理で、検査漏れなどのミスを抑制

健診現場では、20代~60代まで幅広い世代のメンバーが業務にあたっていますが、普段から直感的に操作するスマートフォンのように、すべての職員がハンディ健診を簡単に使いこなせています。検査状況は、各ブースに設置しているタブレット端末で随時確認が可能です。受診者様ごとの各検査項目が「受診済」「未受診」という形で一つの画面内で表示されるので瞬時に把握でき、スムーズな誘導と正確な通過管理を徹底できています。例えば、バリウム検査を受ける方が直前の別の検査が未受診だった場合、警告表示が出て検査漏れを防止できるなど、業務の品質が格段に向上しました。
さらに、有効なのが個人ごとの注意事項を登録できる機能。ベッドに横たわった安静な状態での臥床採血が必要な方や、注射時のアルコールにアレルギーがある方など、システム上で事前に把握しておくことで迅速に対応できるほか、処置を施す際の人的ミスも防ぐことができています。

情報処理の後作業と外注費を大幅カット

手書きの受診票を使っていた頃は、その日の健診終了後に、人の手で1枚ずつ数えて集計していました。受診者が多い日は、数百枚におよぶことも珍しくありません。ハンディ健診導入後は、自動で集計されるので、この作業が一切ゼロに。今回のIT化により健診業務の全体的な効率化・省力化が実現でき、残業時間も大幅に削減できました。
また、問診票・受診票の内容や検査結果は健診現場でデジタルデータ化されるため、以前は2~3日程度掛かっていた情報処理の後作業がなくなったことも大きなメリットです。この業務改善により検査結果の提供納期が短縮できたほか、データ入力の外注費用を約500万円削減でき、経営面への貢献に対しても高く評価しています。

図:情報処理の後作業と外注費を大幅カット

04 今後の展開現場業務を最適化する先進のソリューションで、品質の高い健診サービスの提供をめざす

ハンディ健診の導入によって、長年の課題となっていた健診現場の画期的な業務改善を図った同協会。最後に、今後の取り組みや展望について伺いました。

医療DXの拡充にチャレンジし続ける

当協会では定期健康診断、有機溶剤健康診断やじん肺健康診断、鉛健康診断をはじめ、有害物質を取り扱う方やリスクの高い作業を行う方などを対象とした特殊健康診断や住民健診を行っており、ほとんどの健診でハンディ健診の運用を開始しています。
今後は、属性情報や収集した問診情報と胸部や胃部などの検査機器の連携や、Web問診の導入などキヤノンIMさんにご協力いただきながら、より品質の高い健診サービスの実現をできたらと期待しています。
人々の健康維持・増進は、取り組み続けるべき永遠のテーマ。その役割を担う公益財団法人として、時代をリードする先進の健診サービスを提供できるよう挑戦していきます。

  • 本記事は取材時(2025年6月)のものです。

山口県予防保健協会

事業内容:健康診断・環境検査事業等
従業員数:234名
所在地:山口県山口市吉敷下東三丁目1番1号
設立:1986年3月

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