BtoB新規顧客の獲得における
“デジタルを活用した集客施策”の
メリット・デメリットとは?
企業の成長にとって新規顧客獲得は重要なテーマです。近年はあらゆる業界でDX化が進み、BtoBをメインとする企業においても新規顧客の獲得にデジタルの活用が欠かせないものになっています。
今回は、デジタルを活用した代表的な集客施策のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
それらをご理解いただいたうえで、自社に合った集客施策に取り組みましょう。
BtoB新規顧客の集客施策に欠かせないデジタル活用
BtoB新規顧客の獲得施策実施における課題
BtoBマーケティングの担当者としては、新規顧客獲得に向けて成果につながる施策を実施したいところです。しかし、次のような課題を感じている方も少なくないでしょう。
- そもそも何から始めればいいのかわからない
- 施策は実施してみたものの思うような結果が得られなかった
- 施策を継続的に行うことが難しい
またコロナ禍によって、これまで実施していたイベントなどの施策が行えない、人が集まらないといった問題も出てきました。そこで注目され始めたのが「デジタル」を活用した施策です。
課題解決のために有効なデジタル活用
課題を解決するためには、デジタルの十分な活用が欠かせません。社内外のリソース(資源)を活かし、継続的にデジタルを活用することで、以下のような効果が得られます。
- 施策の効率や持続性がアップする
- リード(見込み客)獲得に向けて効率的なアプローチが行える
- プロセスや効果を可視化できる
そこで次からは、新規顧客獲得のための3つの施策について詳しく紹介していきます。
ぜひ今後の「デジタル」を活用した施策を検討する際の参考にしていただければと思います。
〈施策1〉幅広い集客に欠かせない「ウェビナー」
3つの配信方式(ライブ配信・オンデマンド配信・疑似ライブ配信)
新型コロナウイルスの感染拡大によって対面機会が激減し、イベントも中止せざるを得ない期間が長らく続きました。イベントはBtoB企業にとって多くの集客が見込める絶好の機会であったため、まったくの中止となると企業にとっては大きな痛手です。
そこで代替案として登場したのがウェビナーという手法です。
ウェビナーとは、「ウェブ」と「セミナー」を組み合わせた造語で、簡単に言えばオンラインで実施するセミナーを指します。従来のイベントを「オフラインセミナー」と呼ぶのに対して、「オンラインセミナー」という言い方をすることもあります。ひと口にウェビナーと言っても、その配信形式は「ライブ配信」「オンデマンド配信」「疑似ライブ配信」と3つに分けられます。
ライブ配信
あらかじめ決めておいた日時にリアルタイムで配信する形式です。参加者からの質問に応じたり、その場でアンケートを実施したり、といったインタラクティブ(双方向型)なやりとりが可能です。
オンデマンド配信
オンデマンドは「必要に応じて」という意味です。つまり、視聴者が好きなときに閲覧できる録画配信のことです。テロップを入れるなど動画の加工や編集もできるため、ウェビナーの質が高まります。
疑似ライブ配信
ライブ配信とオンデマンド配信のハイブリッド型として登場したのが、疑似ライブ配信です。録画した動画を配信しながら、チャットなどリアルタイムでコミュニケーションをとることができます。
ウェビナーマーケティングとは
ウェビナーを活用して行うマーケティングを「ウェビナーマーケティング」と呼びます。ウェビナーを通して多くのユーザーとつながることで、ビジネスを推し進めます。ウェビナーの最終目標は新規顧客の獲得です。リード(見込み客)の購買意欲を高めるにはどうすればいいのか、どんな情報をほしがっているのか、しっかり考えて発信することが大事です。
そのためにはまず、ターゲットの属性を明確にしておくことも忘れてはなりません。年齢、性別など、具体的なペルソナ(モデルユーザー)の設定は、マーケティングの基本と言えます。
ウェビナーのメリットとデメリット
ウェビナーは場所を問わず参加が可能なため、大人数で集まるのが難しいコロナ禍の中で急速にニーズが高まり、新たなマーケティング手法として定着しました。それは、ただ単に人と接触しないからというだけでなく、ウェビナーならではのさまざまなメリットがあることが理由だと考えられます。
メリット1場所や人数に制約がない
ウェビナーは開催場所や参加する定員数を問わないため、従来のイベントに比べて集客力が高いのが特色です。今まで接触することのなかった幅広い見込み客の参加が期待でき、実際ウェビナーによって集客が倍増したケースは多々あります。
メリット2低コストで開催できる
従来のイベントでは会場費や人件費など、多くのコストと手間がかかっていました。しかしウェビナーはインターネット環境が整っていれば、いつでもどこでも開催できます。参加する側にとっても移動や交通費が必要ないためハードルが低く、参加しやすいというメリットがあります。
メリット3正確な情報が伝えられる
オンデマンド配信の場合、撮り直しやミスのチェックも事前にできるため、より正確な情報を伝えられます。また自社の資産として残し、今後の営業活動にも活用することができます。参加者にとっては、気になったところを後で見直すことができるというメリットもあります。
このようにメリットの多いウェビナーですが、半面、何事にもデメリットはあります。ウェビナーの場合その最たるものは「インターネット環境が整っていなければならない」ということでしょう。このほか、いくつか注意しておきたい点を挙げてみます。
デメリット1キャンセルや離脱者が多い
気軽に参加しやすいということは、キャンセルや途中退出も気軽にされてしまうという面があります。せっかく多くの人が参加しているにもかかわらず、案件化率は低いということにもなりかねません。見せ方、話の内容など、飽きさせない工夫が求められます。
デメリット2相手の反応がわかりづらい
多くのウェビナーでは参加者のカメラはオフになっており、企業側には相手の顔が見えていない状態です。この場合、どうしても従来のイベントに比べると相手の反応がわかりにくくなります。要所でチャットなどを活用し、積極的なコミュニケーションをとることが大切です。
デメリット3準備に時間がかかる
従来のイベントであれば社内で積み重ねてきた実績があるでしょうが、新しい試みであるウェビナーの場合は、社内に知見がないため手間取ってしまうことも考えられます。専門家と連携するにしても、ノウハウが蓄積されるまでには少し時間がかかることは否めません。
ウェビナーを成功に導くためのポイント
次に、ウェビナーを成功させるためのポイントを紹介します。導入検討に際して参考にしていただければと思います。
企画/魅力的なコンテンツを用意
どのような企画内容にするか、まずは準備することからスタートします。先ほども述べたように、ウェビナーには参加者の集中力が切れやすいという側面があるため、対面のイベントとは違ったコンテンツが求められます。「ウェビナーを開催したことはあるが、思うような結果が出なかった」という場合は、企画やコンテンツを見直すことが必要になります。
開催/インターネット環境を確認
準備が整ったら、いよいよウェビナーの開催です。ライブ配信は余裕をもってスタンバイし、オンデマンド配信でもリアルタイムで質問を受け付けられるよう備えておきましょう。事前にインターネット環境が安定しているかどうかを確認しておくことは非常に重要です。画面がフリーズしてしまうなど配信が不安定だと、離脱者が多く出てしまいます。
分析/アンケート結果から効果測定
配信が終了したら、アンケートを実施してその結果を分析し、今後の企画内容に活かすなど次につなげます。また、参加者数や成約率を出すことでウェビナーの効果が数字として明確になります。費用対効果を見極めて、ウェビナーを続けるかどうかを判断する材料にしましょう。
〈施策2〉キーワード検索でアクセスを集める
「オンライン広告(リスティング広告)」
リスティング広告の仕組み
インターネットの普及によって広がったマーケティング手法として、オンライン広告もますますその重要度を高めています。中でも主流を占めているのが、リスティング広告(検索連動型広告)です。リスティング広告はオンライン広告の代名詞として、さまざまな企業に利用されています。
私たちは日常的にGoogleなどの検索エンジンでさまざまなワードを検索します。その検索結果ページにおいて「広告」と表示されたものが上位に出てきますが、これがリスティング広告です。簡単に仕組みを紹介しましょう。
キーワードを登録し、入札価格を決める
まず、広告を出稿したい企業がキーワードを登録します。あわせて1クリックごとに発生する単価を設定します。これは入札方式になっており、金額によって掲載順位が決定します。
オークションで広告枠を落札
ユーザーがあるキーワードを検索すると、そのキーワードが設定された広告がすべて検出されます。ここでオークションが発生し、広告枠を落札できたものが表示されます。
こうして表示された広告には、多くのユーザーがアクセスします。つまりクリックされた分だけ(アクセスを集めた分だけ)広告費が発生するのが、リスティング広告です。新聞や雑誌の広告枠を買うという従来の広告の考え方とは違って、キーワードに入札するというWebならではの独特な方式と言えます。
リスティング広告のメリットとデメリット
すぐに掲載されるため即効性がある、検索エンジンの上部に表示されるためユーザーの目に留まりやすいなど、リスティング広告には多くのメリットがあります。そのほかにもどのようなメリットがあるのか紹介していきましょう。
メリット1自由度の高さが魅力
リスティング広告は自由度が高いことが魅力です。導入時にアカウントと呼ばれる管理画面が発行され、それを使って広告配信に関することを自分たちで自由に決めることができます。掲載停止はもちろん、キーワードや入札単価なども変更が可能です。さらに対象ユーザーを絞って広告配信することもできます。
メリット2ターゲットにピンポイントで配信
検索するということは、購買意欲の高い人であることは間違いありません。今すぐ何らかのソリューション(解決策)がほしい人をピンポイントで狙えることは、リスティング広告の最大のメリットです。また1クリックごとに課金されるため、高い広告料を出したのにアクセスが全然ないということはありません。
メリット3スムーズな検証と改善が可能
管理画面では、広告に関する情報をリアルタイムで把握できます。つまり広告効果のデータを取得することができ、これらを検証することでスムーズにPDCAサイクルを回せるということです。効果検証を重ねることにより、費用対効果を高めていくことができるのもリスティング広告の特色です。
もちろん、リスティング広告にもデメリットはあります。入札なのでキーワードによってはクリック単価が高くなり、競合に埋もれてしまうことも考えられます。そのほかにもいくつかのデメリットを見てみましょう。
デメリット1検索ボリュームが少ない
検索ボリュームとは、キーワードが検索される回数のことです。BtoBターゲットの場合、そもそもこの検索ボリュームが少ない場合も考えられます。このような場合には、検索されやすいキーワードを再検討し、変更を行う必要があります。
デメリット2運用には経験とノウハウが必要
自分たちで自由に管理できるというメリットがある一方で、運用には経験とノウハウが必要になります。専門的な知識がないまま運用しても、必用最低限の運用にとどまり、成果の最大化を図ることは困難と言えるでしょう。効果を上げるためのノウハウの蓄積は、日々のブラッシュアップが欠かせません。
デメリット3広告を避けるユーザーもいる
「広告」ということがはっきりと表示されることから、上位の表示を避けるというユーザーが一定数いることは確かです。そのため広告のクリック率が下がっているという指摘もあります。
リスティング広告成功のポイント
こうしたデメリットは、メリットを最大化することで解消することができます。そのためには「なぜリスティング広告を実施するのか」ということをしっかりと検討する必要があります。もし過去にやってみたけれど失敗したという方がいたら、それは「思っていたのと違っていた」ということではないでしょうか。
リスティング広告は、あくまで集客のための施策です。そこでの集客が新たな顧客になるかどうかは、製品力や誘導先のWebサイトにかかっています。逆に言えば、魅力的な製品とWebサイトがあってこそ、リスティング広告は大きな効果を発揮します。
テストマーケティングへの応用
それでは、製品やサービスがある程度売れる状態になるまでリスティング広告はしないほうがいいのかと言えば、そうではありません。リスティング広告にはさまざまなデータが蓄積され、また効果検証がすぐにできるという特性があるため、テストマーケティングに活用するという方法があります。
広告の文言を変えながらさまざまな手法を試すなど、リスティング広告でテストを繰り返すことにより、製品やWebサイト自体をよりよいものに改善するためのヒントになるということもあります。リスティング広告は比較的小さな予算ですぐに結果が出るため、仮説の検証にも向いているのです。こうしてビジネスにおけるアドバンテージを得ることができます。
〈施策3〉潜在層にリーチ可能な「コンテンツマーケティング」
コンテンツマーケティングとは
最後に、コンテンツマーケティングについて紹介します。なんとなく聞いたことはあるという方も多いのではないでしょうか。
コンテンツとは直訳すれば「中身」という意味ですが、つまりは「価値ある情報」や「魅力的な内容」といったものを指します。コンテンツマーケティングとは、価値ある情報(コンテンツ)を使ってユーザーとコミュニケーションを図るマーケティング手法です。
アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティング
コンテンツマーケティングが注目され始めたことには、デジタルの普及が大きく関わっています。従来の営業手法は、以下のようなアウトバウンドマーケティングと呼ばれるものが主流でした。
- 訪問営業
- ダイレクトメール
- テレマーケティング(電話営業)
- 新聞・雑誌広告 など
こうした積極的な売り込みこそが営業活動と考えられていたわけです。これに対して、ユーザーに魅力的な情報を「見つけてもらう」営業手法として注目されるようになったのが、インバウンドマーケティングです。
- ソーシャルメディア(SNS)
- メールマガジン
- 動画配信
- SEO(検索エンジン最適化) など
これらを見てもわかるように、インバウンドマーケティングはインターネットの普及と無縁ではありません。ユーザーが製品を購入する際の情報源としてインターネットを活用することが圧倒的に多くなってきたため、魅力あるコンテンツをWeb上に公開すれば確実に集客につなげることができるようになってきました。
そこでコンテンツというものの重要性が脚光を浴びるようになったのです。コンテンツを活用して何かをやるということから、コンテンツマーケティングはインバウンドマーケティングの手法のひとつともとらえることができます。
コンテンツマーケティングのメリットとデメリット
コンテンツマーケティングの最大の特徴は「実施しやすい」ということです。SNSやブログなら、初期費用はほとんどかからないと言っていいでしょう。ここでは、ほかにもさまざまなコンテンツマーケティングのメリットを紹介します。
メリット1ターゲットを絞ったアプローチが可能
コンテンツマーケティングは、情報がほしいユーザーに効果的な配信ができるため、集客効果が高く、狙い撃ちができるということが言えます。アウトバウンドマーケティングのような売り込み要素が低いため、ユーザーに抵抗感なく受け入れられます。
メリット2潜在層へのリーチ拡大
顧客になるかもしれない潜在層へのリーチを拡大する手法としても、コンテンツマーケティングは有効です。有益な情報を丁寧にコンテンツ化すれば、潜在層は必ずそこにたどり着きます。時間はかかりますが、検索順位を上げるSEO対策などにじっくり取り組む必要があります。
メリット3蓄積されたコンテンツは社内資産
制作したコンテンツは、すべて情報資産として社内に蓄積されていきます。またダイレクトメールのように一過性のものではなく、削除しない限りWeb上に残り、情報を求めるユーザーによって活用され続けます。さらにコンテンツを継続的に制作・更新していくことでブランディング効果も期待できます。
一方で、コンテンツマーケティングのデメリットにはどんなものがあるでしょうか。
デメリット1コンテンツ制作に時間がかかる
コンテンツは一朝一夕にできるものではありません。質の高いコンテンツほど労力も時間もかかります。コンテンツマーケティングは、長期的な施策と考えましょう。
デメリット2コンテンツを継続的に発信する必要がある
コンテンツ配信の間隔が空き過ぎたり、不定期になったりすると、興味を持ったユーザーが離れていくおそれもあります。定期的にコンテンツを配信し、情報発信し続けることが重要です。
デメリット3短期間では効果が出ない
短期的な効果が出ないのもまた、コンテンツマーケティングの特性です。検索エンジンで上位表示されるには、質の高いコンテンツであっても数か月程度かかることもあります。焦らず、じっくりと取り組むことが大切です。
コンテンツマーケティング成功のポイント
コンテンツマーケティングは手軽に実施できる施策ですが、成功させるにはいくつかのポイントがあります。
長期プロジェクトとして取り組む
コンテンツマーケティングの要である「ユーザーとの長期的な信頼関係の構築」を正しく理解し、必要な情報をターゲットに届ける必要があります。そのためにKPI(目標達成度合いを測る指標)を設定し、PDCAサイクルを回すことが重要です。曖昧なままスタートしてしまうと、時間と労力を無駄に消費し、効果が出ないということも起こります。コンテンツマーケティングは長期プロジェクトとして取り組みましょう。
社外のリソースをうまく活用する
優良なコンテンツを配信し続け、マネタイズ(収益化)につなげるには時間を要します。社員に任せるとしても、ノウハウがなくては業務負担が増えかねません。と言って専任の人材を採用するのも難しい。そんな場合は、社外のリソース(資源)を活用することをおすすめします。プロに任せることでコンテンツ制作にかかる時間や手間を省き、効率的に施策を実行することができます。
「コンテンツマーケティングを始めたい」「より詳しいことを知りたい」という方は、
こちらの資料をご確認ください。
外部業者活用(アウトソース)に関して詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。
まとめ
今回は、BtoB新規顧客を獲得するための“デジタルを活用した集客施策”について解説してきました。ウェビナー、オンライン広告(リスティング広告)、コンテンツマーケティングと代表的なものを3つ取り上げましたが、それぞれにメリット、デメリットがあることをご理解いただけたのではないでしょうか。「自社に最適な集客施策が知りたい」「社内のリソースだけでは難しい」という方は、ぜひキヤノンマーケティングジャパンにご相談ください。
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