事業拡大・販路拡大営業組織のDX推進のゴールはセールスイネーブルメント

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ワンマーケティング株式会社 代表取締役 垣内 良太氏に「営業組織のDX推進」をテーマに語っていただく企画の最終回。

これまでBtoB営業にDXが必要な背景や組織が抱える課題からなマーケティングオートメーションやデータの一元管理について実践的な活用法についてお話をうかがってきました。

最終回は、これまでの集大成となります。これまでの知識や活用法を踏まえたうえで、実現できるセールスイネーブルメントについてお聞きしました。



リード獲得から売上目標の達成までを一気通貫で行う

最終回は、営業組織のDX推進のゴールについて伺います。

垣内氏(以下、敬称略)「まずは売上目標の立て方の話から始めたいと思います。たとえば、前年度に100億円を売上げた企業の目標が本年度は120億円だとします。当たり前ですが、企業は成長しつづけないとダメなので前年より上がります。そのために、多くの会社がやっているその目標の実現方法は、A事業で10%アップ、B事業で20%アップ・・・。となりがちです。でも、顧客視点で売上目標を立てるケースが少ないですよね」

確かに市場の成長率や多角的な要素があって決まっているとは言え、あまり顧客視点で、というのは聞きません。

垣内「前回までの話で、データを一元管理してアカウントベースで営業プロセスを管理して、アクションを起こすという話をしました。
売上目標も、アカウントベースの裏づけがないといけない。たとえば今期にA社から3000万円の売上があった。でも、A社のからの受注シェアは30%程度。まだ残り70%の見込み要素があるのなら、来期はA社から50%の5000万円の受注目標をたて、それが実現できるかどうかということになります。そのためにはどういう社内体制やサービスが必要なのか、そう考える。
現在ある顧客やリードベースで、受注の確度や支払い能力を含めて売上目標を構築していくのです。そういうロジックを抜きにして前期から110%の売上目標が立てられ、どこに対してどのように売るのか?と聞くと、気合いだなんて一時代前の発想です」

売上目標もアカウントベースで積み上げていくんですね。

垣内「まず見えている数字、計算しやすい数字から積み上げるのが正しい。どの企業にどのくらい売れるのか。ここをまずは見極めていかなくてはいけない。残りが新規獲得になる。いわゆる精神論や財源的に120%という売上目標を立てるのは問題ありません。しかしその目標を最初に立ててもいいのですが、必ず次にアカウントベースで考えないといけない」

でないと、新規開拓でどれだけの数字を取ればいいのかの目安もありません。

垣内「そのためSFAもMAも顧客の定義づけをする必要があります。Bという顧客の確度はAで、予算はどれだけある、までデータベースにあるとベスト。その積み上げが固い数字になります。
たとえば、目標が100億円。そのうち固い数字は80億円。つまり20億円が新規や休眠で獲得しなければならない数字です。そこで年間の商談案件の平均売上が1000万円だとします。20億円を1000万円で割ると、約200案件。つまり新規を200件受注することが目標となります」

なるほど。そこにリード獲得から商談へとつながる確率や商談からの受注率を計算すると、年間で獲得すべき新規リードも導き出せますね。

垣内「そうなると展示会でどのくらいのリードを獲得するのか、オウンドメディアでは何件のリードが必要なのか、マルチチャネルでの目標も見えていきます。その必要なリード数を獲得するためにはマーケティング予算はいくらか、なども分解できる。つまり営業のDXとはここまで一気通貫でできるのです」

営業組織のDX化のメリットを最大化する

垣内「これまではBtoB営業のDX推進ということで、マーケティング活動の必要性やマーケティングオートメーション(以下MA)の活用法について話してきましたが、最終的には“セールスイネーブルメント”も見据えていけると、営業組織の強化・平準化にも直結すると思います。強化・平準化を実現するためのキーワードが“プロセスとプロミス”です」

プロセスは第1〜4回までにご説明いただいたリードライフサイクル、ステージ管理。データクレンジングで導きだされる各フェーズの打ち手という認識で問題ないですか?

垣内「その通りです。MAを活用できるようになると、このステージのこのリードにはこういうアクションをするといった営業プロセスや勝ちパターンが見えてきます。そのプロセスを営業組織は約束(プロミス)しなくてはいけない。」

ルールの周知と徹底と表現してもいいですか?

垣内「どちらかと言うと、“管理と徹底”ですね。営業組織の数字を上げていくにはそうするしかないと思います。一方でマーケティングの人たちは、マーケティングだけを見ている。インサイドセールスはインサイドセールスの領域でアポをとる。となると、営業組織全体をトータルで見ている人がいない。そこで海外で注目を集めているCRO(チーフ・レベニュー・オフィサー)という役職があると機能する」

馴染みのない言葉です。

垣内「要は、収益を筆頭としたあらゆる指標を担保する役割です。企業という組織を分断化しないで、横串で管理する。組織を効率化していこうとしたら、必ず職能によって分断されていく。これは必然です。効率化のために分業するというのはある意味で打開策としては正解。そうなると連携が難しくなる。デジタル化すればするほど、組織単位でそれぞれが好きなことをやってしまって連携が取れなくなる。その間に入り、指標をコントロールできる役職が必要とされてきています」

その役割は個人ではなく、チームで担ってもいいものですか?

垣内「もちろんです。一元管理をしながら、課題を抽出して、PDCAを回せる人、もしくはチームですね。経営者がそこまで見るとベストではありますが。そして、最後にはセールスイネーブルメントという考え方になります」

セールスイネーブルメントの実現に向けて

改めてセールスイネーブルメントについて教えてください

垣内「要は、営業組織全体の強化を目的に、課題を解決して改善していく仕組みです。プロセスの改善でもありますし、ツールの整備、トークの整備も含めて営業組織に関わることは一元管理して改善していきます。外資系のITベンダには、専門のセールスイネーブルメント部隊がいます。このステージのこの企業にはこのトークを使う方がベストとか、このタイミングならこのツールを利用するとか、を日々研究している。所属している人たちはトップセールスマンだった人たちばかりです」

セールスイネーブルメント は、計5回の連載の集大成のような概念ですね。

垣内「デジタルマーケティングや営業組織のDXを進めていくと、その分だけ齟齬が生まれる。では、そのデメリットをなくしてメリットを最大限に生かすにはどうすればいいのか? という発想で生まれたのがセールスイネーブルメント ですよね。どうしても数字ばかり見るので、人と人のつながりが見落とされがちになる。そこも含めて体系化していく」

営業資料は中身もクオリティもかなりバラつきがあります。

垣内「大きい企業こそ顕著ですね。個人の営業力はめちゃくちゃ優秀なんです。でも、体系化した営業ができているかというとそうでもないですし、デジタル化した場合、もう戦うフィールドが変わってしまう。すでにとある外資系企業では、AIが営業の次のアクションを指示しているなんて例もあります。そこまでいかなくても営業手法を自動化している企業はすでに多くあります」 

これまでの営業手法ではすでに競争優位に立てないですね。

垣内「僕がいままで話してきた内容は、営業を助けるというよりも企業を助けるための手法です。企業が生き残るために、営業はとても重要な仕事です。だからこそ時代に適した変革が必要で、現在でいえば営業組織のDXをいち早く推進し、失敗も成功も体験していかなくてはいけない。次の世代に企業を存続していくためにも喫緊の経営判断が経営者には迫られています」

5回にわたる営業組織のDX推進についてのお話、非常に参考になりました。ありがとうございます。

(本コンテンツは、2020年1月のインタビューを元に作成しています。)

垣内 良太氏

ワンマーケティング株式会社 代表取締役

  • 2002年より大阪にある実父が起業した印刷会社に入社。印刷をベースに展示会やWEBなど販促支援に従事。
  • 2010年より、BtoB企業にもマーケティングの重要性を感じ、BtoB企業に特化したマーケティングサービスの提供を開始。
  • 2018年1月に同社の代表取締役に就任。BtoB企業の顧客創造に貢献するためのマーケティングコンサルタントとして西へ東へ奔走中。


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