そのメール見られていますか?事例から見る、一歩先を行くためのマーケティングオートメーション
マーケティングオートメーションのありがちな課題に対して、デジタルとアナログの融合による解決のヒントを事例も含めてご紹介致します。
マーケティングオートメーションの現状とトレンド
近年、注目を集めている「マーケティングオートメーション」とは何でしょうか?一言でいうと、マーケティングオートメーションとは、オンライン/オフラインのマーケティング活動全般を統合管理して、顧客(新規顧客と既存顧客)に最適なコミュニケーションを自動化する取り組みや手法、およびそれを可能にするプラットフォームのことです。ここで注意したいのは、マーケティングオートメーションの対象はデジタル領域だけでなく、アナログ領域も含んでいることです。ホームページ、メール、SNS、オンライン/オフライン広告、リアル店舗、展示会、セミナー、ダイレクトメール(DM)など、顧客接点がますます複雑・多様化する中、各チャネルで得られた顧客のさまざまな情報を統合管理した上で、成果を上げるための効果的な施策の実施を実現するマーケティングオートメーションに注目が集まってきています。
マーケティングオートメーション発祥の地・アメリカでは、2015年現在で“フォーチュン500”の70%以上の企業が導入済みまたは検討中という状況にあり、サービス提供ベンダーの増加と利用料金の低下が相まって普及が進んでいます。一方日本でも年率120%近い市場成長が見込まれ、右肩上がりの状況です。また、(株)シャノン調べでは、日本国内の導入企業の約6割が効果を感じており、その内訳は図表の通りです。
マーケティングオートメーションで直面しがちな課題とは
マーケティングオートメーションの一番の課題は、その効果に関するものです。導入前であれば、まずその目的を明確化することが重要です。前表の通り、導入企業が感じている効果にはさまざまなものがあり、マーケティング業務の効率化やリード(見込み客)の増加だけがその目的ではありません。「なんのために導入するのか?」をあらかじめ検討しておくことが重要です。
導入後に課題となるのは「リードを増加させたい、そして商談に結び付けたい」でしょう。日経BPコンサルティング調べ「デジタル・アナログ領域のマーケティング施策実態調査」によると、デジタルとアナログを組み合わせた施策に取り組むことで効果を実感する企業が7割に迫る一方で、デジタルとアナログを組み合わせた施策に取り組んでいない企業は、効果実感が大変低いことが分かります。
これは、認知~興味・関心~比較・検討という購買プロセスにおいて、購買者自身が情報収集を行う際、実際はデジタルとアナログの両領域にまたがって行動しているということを踏まえずに施策を行うことが原因です。特にマーケティングオートメーションはデジタルの領域にあるという思い込みが、デジタル施策に偏ってしまう理由の一つと言えるでしょう。
デジタル×アナログ施策の力
マーケティングオートメーションでよく用いられる施策に、「メールマガジン・ニュースレター配信」があります。しかし、総務省の「平成28年 情報通信メディア利用時間と情報行動に関する調査」によると、特に今の若い世代はあまりメールを見ないことが分かっています。また、あるレポートによれば企業の顧客データベースにメールアドレスがある人で、メール送付を許可するのは全顧客中の30%、そのうち実際にメールを開封するのが20%前後、つまり、メールマーケティングでリーチできる顧客は全顧客中の6%に過ぎないという報告もあります。
一方、アナログマーケティングの力を示すデータとして、「郵送DMを見た人がブランド(会社名)を認識する割合は、デジタル広告を見た人のそれより70%高い」というカナダでの研究結果があります。また、反応率においてもDMは全てのデジタルチャネルを大きく上回っており、特に顧客ごとに異なるコンテンツを提供するOne-to-Oneパーソナライズを行った場合には、その反応率は約3倍にもなると言われています。
デジタル施策には「低コストで広い接点を持てるが、顧客体験の大きな変更は難しい」、アナログ施策には「情動的なアプローチで深い顧客接点が持てるが、自動化が難しい」など、それぞれに特性があります。ですので、その特性を理解した上で、顧客がどのような体験をするべきかに焦点を合わせ、デジタルとアナログを組み合わせてマーケティング設計をすることが望まれます。顧客接点を点から線、線から面、面から立体的にとつなげることで効果を最大化するとき、マーケティングオートメーションが威力を発揮します。
ところが実は、このように効果的な「デジタル施策とアナログ施策の組み合わせ」はあまり実施されていないことが、先の日経BPコンサルティングの最新の調査で明らかになっています。つまり、やるのなら他社がまだ手をつけていない今が、競合の一歩先を行くチャンスなのです。
ここまでのポイント
マーケティングオートメーションを導入する企業の数は右肩上がり
- 導入にあたってはその目的を明確化することが重要
- デジタル施策とアナログ施策の組み合わせは、効果があるがあまり実施されていない
事例に学ぶ、実践的マーケティングオートメーション
事例1 ECサイトのコンサルティング企業の場合…
アナログ接点:セミナー
1.既存顧客を分析し、ペルソナ(ターゲット像)を設定
具体的には、顧客の成長フェーズに合わせて下記のようにペルソナを設定。
- 「事業を始めた人」
- 「事業がうまくいかない人」
- 「これから通販をはじめたい人」
- 「通販がうまくいっていない人」
2.マーケティングの設計
1で設定したペルソナごとに、それぞれの顧客接点において「どう接するか」「タイミング」を意識してマーケティングを設計。様々なメールマーケティングを行い、顧客の興味度をスコアリング。一定のスコアに達した段階で架電を開始。
3.営業への引き継ぎ
中間のKPIを「セミナーの誘導」に設定。セミナーを開催し、セミナー後には必ず懇親会を開き、リアルで参加者との関係構築を行う(懇親会参加者は受注率が高い)。その後、Webなどのデジタル接点、セミナー・懇親会参加などのアナログ接点のすべての顧客データを統合し、スコアを付けた上で営業へ引き継ぎ。
ポイント
「デジタル施策とアナログ施策(セミナー)の組み合わせ」を実現し、顧客接点を最大化
事例2 某高級宿泊施設の場合…
アナログ接点:DM
1.リピートを狙った継続的なコミュニケーション
宿泊いただいた顧客に対し、お礼のハガキや季節のご挨拶、記念日に絵ハガキを送るなど、情動的なコミュニケーションを継続的に適切なタイミングで行う。
2.DMのパーソナライズを駆使した顧客ごとのコミュニケーション
特別プランのご案内など、顧客ごとにカスタマイズされたDMを作成することで反応率を高めたコミュニケーションを行う。
ポイント
DMという一見アナログなコミュニケーションの裏でマーケティングオートメーションツールを活用し、反応率を高めたコミュニケーションをしている
マーケティングオートメーション×バリアブルプリントで、販促効果を最大限に!
上記の某高級宿泊施設の事例でも活用されていた通り、マーケティングオートメーションと非常に親和性の高いソリューションにバリアブルプリントがあります。統合された顧客データを活用し、顧客ごとに紙面を可変(パーソナライズ)することで、非常に効果の高いOne to One マーケティングが可能になります。具体的には、DMの宛先住所に合わせて最寄り店舗の情報を変えたり、顧客の属性・嗜好に合わせておすすめ品やプレゼントオファーをカスタマイズしたり、お誕生日などのパーソナルメッセージを差し込むなどすることで、劇的な反応率アップを望むことができます。
いかがでしたでしょうか?マーケティングオートメーションは、あくまでも事業の成長をサポートする方法論の一つですが、うまく使えば非常に有効なツールになり得ます。この記事が、導入を検討されている方の参考になれば幸いです。
監修
株式会社シャノン 取締役 事業担当 東野 誠
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