検針員の負担を軽減するために、キヤノン製を継続採用
大分ガス株式会社
業種:サービス | 従業員規模:100~299名 | 成果:安全・安心、業務効率の向上
大分ガスは2015年3月末に検針用ハンディターミナルを更新、キヤノンの最新機種「PRea(プレア)GT-3」の初ユーザーとなった。更新に当たっては堅牢性や操作性を重視。さらに検針員の負担軽減も図ることができるGT-3を選択した。大分ガスのハンディターミナルに対する考えや、検針員負担軽減の取り組み、実際にハンディターミナルを使用している検針員の声を紹介する。
検針員の負担を軽減、キヤノン製を継続採用
大分ガスは簡易ガス事業も行っており、その検針用ハンディターミナルにキヤノン製「BT-1」を採用したのが、都市ガス用にもキヤノン製を導入するきっかけとなった。BT-1はコンパクト性が特長で、現場での使い勝手向上を目的に選択したという。
BT-1を数年間使用したところ、現場の評判が良かったことから、都市ガス検針用のハンディターミナルも前回の更新時に他社製から、当時のキヤノン製最新機種「GT-1」に入れ替えた。
大分ガスはGT-1採用以前に使用していた他社製ハンディターミナルから、検針員の負担軽減のため、検針データの無線での送受信に取り組んでいた。
それ以前は、検針員は業務が終了すると事務所に戻り、システムとハンディターミナルを接続して、検針データをやり取りする必要があった。ハンディターミナルから検針データを送受信することで、検針員は事務所に行く必要がなくなり、現場への直行直帰が可能になった。業務負担の軽減と業務効率化を実現した。
しかし、当時使用していた他社製のハンディターミナルは、検針票を印字するプリンターとの一体型で、本体にロール紙を収めたプリンターが付属しており、サイズが大きかった。先端にデータ通信用のカードのスロットが設けられており、そこが検針作業で狭い場所を通過する際、壁などに接触して破損し、故障の原因となっていた。
GT-1は腰に装着したモバイルプリンターにデータを送り、検針票を印字する。プリンターが別になったため無線機能搭載にもかかわらず機器本体がコンパクトだ。狭い場所での使い勝手が向上した上に持ち運びの際、破損する可能性が少なくなった。
「GT-1の内部情報へのアクセスやデータ入力には赤外線通信で個人認証を行うセキュリティーペンダントとパスワードが必要であり、非常にセキュリティー性が高い点も評価しました」と大分ガスの戸高利恒取締役営業部長は当時を振り返る。
(写真:大分瓦斯株式会社 取締役 戸高 利恒氏)
大分ガスは検針用ハンディターミナルを約5年周期で更新している。GT-1の更新時期が近づいた際、後継機のGT-3は商品化されていなかった。他社製に入れ替えることもできたが、大分ガスはGT-1の保守契約を1年延長して、後継機の発売を待つことを選択した。
戸高取締役はキヤノン製の継続採用を決めた理由を「GT-1に対する検針員の評判が良かったので、使い勝手を重視しました。キヤノン製ハンディターミナルはセキュリティー性や堅牢性が高い点を評価しています。また、他社製を導入した場合、検針システムの大幅な改修が必要になりました。キヤノン製の後継機ならシステム改修が最小限で済むため、費用的なメリットもありました」と話す。
GT-1は使用開始から5年を経過して、故障の発生があったが、予備機の使用などで対応したという。それ以前の機器よりコンパクトになっているものの、先端にある通信用カードスロットが壁など接触したことによる破損もあった。GT-3は通信用カードスロットが本体側面になっているため破損の心配はより少なくなった。
「更新後、問題は全くありません。検針員の評判も良く、満足しています」と戸高取締役は話している。
大分ガスは検針用ハンディターミナルを約5年周期で更新している。GT-1の更新時期が近づいた際、後継機のGT-3は商品化されていなかった。他社製に入れ替えることもできたが、大分ガスはGT-1の保守契約を1年延長して、後継機の発売を待つことを選択した。
戸高取締役はキヤノン製の継続採用を決めた理由を「GT-1に対する検針員の評判が良かったので、使い勝手を重視しました。キヤノン製ハンディターミナルはセキュリティー性や堅牢性が高い点を評価しています。また、他社製を導入した場合、検針システムの大幅な改修が必要になりました。キヤノン製の後継機ならシステム改修が最小限で済むため、費用的なメリットもありました」と話す。
GT-1は使用開始から5年を経過して、故障の発生があったが、予備機の使用などで対応したという。それ以前の機器よりコンパクトになっているものの、先端にある通信用カードスロットが壁など接触したことによる破損もあった。GT-3は通信用カードスロットが本体側面になっているため破損の心配はより少なくなった。
「更新後、問題は全くありません。検針員の評判も良く、満足しています」と戸高取締役は話している。
グループ会社を活用、大分ガスの検針・料金業務
大分ガスの検針業務は、グループ会社の大分ガス料金センター大分コレクトに全面委託している。同社は基本的に1カ月のうち4日から28日までに、大分ガスの全供給区域の顧客を訪問するスケージュルで検針業務を行っている。
大分ガスの供給区域は大分地区と別府地区の2地区に分かれている。大分ガス料金センター大分コレクトの河野建取締役統括部長は「別府地区の検針業務は当社の検針員が担当しています。大分地区は当社がサービスショップに再委託しており、各サービスショップの検針員が検針します」と検針体制を話す。
検針員は大分ガス料金センター大分コレクトに10人、各サービスショップには約30人が所属している。別府が25区、大分が100数区の検針区に細分化されており、それを検針員に割り振っている。検針員は個人で勤務日数が異なり、平均月10日、最大で18日間検針業務を行う。
ハンディターミナルをGT-1からGT-3に更新する際は、別府は1カ所、大分が4カ所で検針員向けの説明会を開催し、事前教育した。
「講習会は1日で終了しました。予備の講習会も検討していましたが、操作方法などをスムーズに理解してもらったので必要ありませんでした」(河野取締役)。
検針員は1日の担当分の検針が終了すると、GT-3の通信機能を使って、検針データを大分ガスのサーバーに無線送信する。毎日午後5時半までに検針データの収集が完了する。
大分ガスグループのシステム関連会社であるオーガスは受け取ったデータを当日中に処理する。
「大半のお客さまは銀行口座からの自動引き落としを利用されていますので、引き落とし日に合わせ引き落とし用のデータを銀行に送信します。銀行や郵便局、コンビニエンスストアなどでの払い込みを利用するお客さま用の払込票は、基本的に翌日に印刷して、大分ガス料金センター大分コレクト様に発送します」とオーガスソリューションビジネス部の谷口泰生開発二課長は説明する。
オーガスはキヤノンとパートナー契約を結び大分ガスへのハンディターミナルの納入やメンテナンス業務なども担当している。
同課の芳崎覚係長は「GT-3への更新に先立ち、供給エリアの各所でGT-1とGT-3の通信比較を実施したところ、すべての場所でGT-3の通信の安定性と速度はGT-1を上回っていることを確認しました」と話す。
通信方式は変わっていないため、GT-3本体に内蔵されている通信モジュールや中央処理装置(CPU)などの電子回路の性能を向上した効果だ。
GT-3への更新に伴うシステム変更は軽微で、スムーズに完了。更新後も問題はまったく発生せず順調に稼働しているという。
通信速度が向上、ケース付きで便利に
糸永千賀子さんは大分ガス料金センター大分コレクトに所属する勤続23年目の検針員だ。1カ月間のうち9日間、検針業務に従事する勤務形態で働いている。
出勤日、糸永さんの朝は早い。「お客さまが不在の時に、門に鍵を掛けられるとメーターを見ることができない家が多いので、お客さまがいらっしゃる時間を聞いておき、それに合わせて訪問します。早いお宅の場合、午前8時台に行くこともあります」と説明する。 まず自宅でハンディターミナルに、その日の担当分のデータを取り込む。1日平均250件を検針する。データ取り込みは3Gの無線通信で行うため、事務所に出社する必要はない。
GT-3に変わってから、前モデルのGT-1に比べデータ取得速度が1分弱程度速くなったように感じるという。さらに以前は自宅の中で通信が不安定な場所があり、場所を選んでデータを取り込んでいたが、GT-3になってからは自宅のどの場所からもスムーズに取得できるようになった。
検針現場までバイクで出向く。検針を開始する時、セキュリティーペンダントとGT-3へのパスワード打ち込みでデータの閲覧や入力が可能になる。機器を起動させて、バイクと徒歩で検針と移動を繰り返す。検針作業と検針票の印字は、GT-3とモバイルプリンターで行う。モバイルプリンター「BP-100」もGT-3と同じタイミングで更新した。GT-3とブルートゥースで接続(赤外線接続やUSB接続も可能)し、入力した検針データを印字して出力する。
GT-1用のバッテリーは、モバイルプリンター用のバッテリーと異なる形状のため、2種類の予備バッテリーを用意していく必要があった。GT-3とBP-100のバッテリーは同じ「HB-400」で統一されたため、予備バッテリーの数を削減できた上に、充電管理の手間も軽減した。
さらに、GT-3はHB-400の容量が増加しているため、バッテリー交換の頻度が少なくなった。糸永さんは検針作業の際、GT-1ではバッテリーを使っているうちに劣化が進み、1日持たないこともあった。GT-3は使用開始から半年経過しているが交換せずに終日、稼働できている。
検針業務にはGT-3とBP-100のほかに予備バッテリー、印字用のロール紙、懐中電灯など多くのものを身に付ける必要がある。携帯するものは少ない方が負担が軽減するので通常、予備バッテリーはバイクに積んでいる。
しかし、大規模集合住宅などの検針の際は、途中でバッテリーの残量がなくなった場合、バイクまで取りに戻らなければならないため、予備バッテリーを携帯していた。GT-3への更新後は携帯の必要がなくなって助かっているという。
糸永さんはGT-3に更新されて、最も便利になった点はソフトケースだと感じている。GT-1は液晶画面だけを保護するタッチパネルプロテクターが取り付けられていた。大分ガスはGT-3更新に合わせて、本体ごと収納するキャリングケースを導入した。 「GT-1のタッチパネルプロテクターは板状の開閉式で、引っかかって外れることや、雨の日に曇ることもありました。検針の時は狭い場所に入ることも多いのですが、本体がむき出しだったので、ぶつけないように非常に気を使っていました。GT-3のキャリングケースは雨の日でもまったく曇らない上に、ケースが本体全体をカバーしているので取り扱いが楽になりました」と糸永さんはケースの効果を話す。 検針作業中はバイクや徒歩で移動する。カバーの効果とともにGT-3はボタンのタッチが弾力のあるソフトなものに変更されたことで、移動中の誤入力が減った。
特にバイクの移動の際、GT-1では移動中にボタンが携帯電話や懐中電灯などのほかの機器に触れて勝手に数字が入力されていることがあったが、GT-3では、ほとんどなくなった。検針値の入力ミスはあってはならないことなので、見やすくなった画面と合わせて現場のニーズを反映した改良だ。
モバイルプリンターの装着方法の変更も業務を楽にした。以前の商品は、腰のベルトに付属のクリップを引っかけているだけだったので、しゃがんだ際に外れることがあった。BP-100は付属のマジックテープで、ベルトに強固に装着するため外れにくくなった。
BP-100は腰に付けたままでの用紙の交換が簡単にできるようになり、雨の際でも用紙交換が手軽になった。さらに厚みが多少、薄くなったほか表面がスムーズなデザインになり、狭いところを通過する際に以前より気を使わなく済むという。
1日分の検針が終わると、現場から事務所に検針データを無線で送信して業務は終了する。
「バイクなどで移動しながらの送信は、中断する恐れがあり、その場で送信終了するまで待っています。送信速度も速くなって、待ち時間が短くなってうれしいです」と糸永さんは笑った。
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ガスエネルギー新聞 2015年12月7日掲載
大分瓦斯株式会社
事業内容:都市ガスの製造・供給、ガス器具の販売、ガス設備工事、ガス冷暖房工事、その他関連事業
創業:1911年(明治44年)2月11日
所在地:大分県別府市北的ヶ浜町5番25号
※本記事は取材時(2015年)のものです
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