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第一回 株式会社Olive Union

専用アプリを通じて一人ひとりの“耳の聞こえ”を最適にサポート。補聴器とも、集音器とも違う革新的イヤーデバイス「オリーブスマートイヤー」。この全く新しいコンセプトの製品を、メーカーである株式会社Olive Union(オリーブユニオン)様とキヤノンMJはどのように日本市場で展開したのか、ご紹介します。

[対談メンバー]
株式会社Olive Union
ディレクター オブ グローバルコミュニケーション
坪井 様(写真左、以下敬称略)

韓国で創業されたオリーブユニオンが本社を日本移転したタイミングで入社し、現在は法人営業とカスタマーサポートの責任者を務める。自社ECサイトでの顧客対応など、人手が足りない際は何でも率先して行う、ご本人曰く「なんでも屋さん」。

株式会社Olive Union
セールス
金井 様(写真右、以下敬称略)

オリーブユニオンのメインセールス担当を務める。キヤノンMJ者と共に、主に家電量販店に向けて製品導入や企画販促といった活動を行っている。

キヤノンマーケティングジャパン担当者(写真右 以下、キヤノンMJ)
オリーブユニオンのディストリビューション担当。

●出会った時から感じた、オリーブスマートイヤーの可能性。
もともと自社ECサイトを中心にオリーブスマートイヤーを展開していたオリーブユニオン様。まずはキヤノンMJとタッグを組むことになった経緯、そして現在の関係性について伺いました。

キヤノンMJ:私が以前お付き合いのあった取引先の方が転職をして、オリーブユニオン様にいた時期があって。そのご縁で当社をディストリビューターにご指名いただいたことが始まりです。現在はキヤノンMJでマーケティング、ロジスティクス、売上データの収集や分析など、幅広く担当させていただいています。

坪井:韓国から日本への移転が2019年5月末くらいで、一緒に動き出したのが6月頃でしたね。キヤノンMJさんを紹介してくれたその方から、日本でやっていくんだったらぜひキヤノンMJさんと組んで家電業界にアプローチした方がいいよ、とアドバイスしてもらって。

キヤノンMJ:ECサイト以外の店頭での販売は弊社に一任してもらっていたので、日本発売当初からの関係です。オリーブスマートイヤーに出会った時の印象は、補聴器市場が年間50万台くらいある中で、新たにライトユーザーの層を狙っていくというコンセプトが非常に面白いと感じました。オリーブユニオン様という新しいブランドをいかに認知してもらうかという課題はありましたが、まずWeb広告を中心にマーケティング投資をしていくという手法が明確に見えていたので、不安はなかったです。

金井:もう2年のお付き合いですが、弊社の法人営業の売り上げを作ってくれたのはキヤノンMJさんなので、頼りにしています。オリーブスマートイヤーには、聞こえの課題を公にしたくないというユーザー心理が働く「コンプレックス商材」的な側面があり、マイナーなカテゴリだと思うのですが、そんな中で「頑張って一緒に売っていきましょう!」と言っていただいて。二人三脚で店頭実績を構築してきたという関係です。

●キーとなる家電量販店からステップアップしていった取り扱い店舗。
どうすればオリーブスマートイヤーを店頭に並べてもらえるか。共に考え、チャレンジしながら販路の拡大に取り組んでいきました。

キヤノンMJ:メイン顧客になるであろう、いわゆる都市型の家電量販店様に製品を置いてもらうことがファーストステップで、ここで実績を作れてから全国に大きな店舗網を持つ郊外型の家電量販店様などにもチャレンジしていきました。先方にとっても未知の商品だったわけですが、市場性の高さとデザイン・コスパ・操作性といった製品メリットをしっかりプレゼンして、納得していただけたのが大きかったですね。

―現在、オンラインとオフラインでの購買比率は6:4で自社ECサイトの方が多いそうですが、実店舗の存在は非常に大きいといいます。

金井:使用感やサイズ感など、ぜひ実際に触れて試していただきたい製品なので、どれだけ取り扱い店舗を増やしてお客さまとのリアルなタッチポイントを作れるかという部分は、弊社も常に意識していますし、注力しています。今、取り扱いはトータル1100店舗ほどですかね。1年間で1000店舗に到達して、販売台数はおよそ2万台まで到達しました。

坪井:オリーブスマートイヤーは1台約3万円しますし、決して安い買い物ではないため、対面でしっかり説明を聞いて購入したいという希望を持つお客さまは多いですね。弊社としても自社ECサイトだけに売り上げが偏ってしまうとすぐ頭打ちになると思いますし、やはり実店舗での販売は大切です。あと、キヤノンMJさんの店舗巡回のスタッフが売り場に行ってくれて、「こういう販促品があると売りやすい」といった具体的なフィードバックがあるのも大きいですね。

キヤノンMJ:どの販売店様でも、補聴器・集音器類のコーナーは売り場の奥まったところにあって、そこで目に触れて買ってくださるお客さまはほとんどいない状況です。ですから、送客の手法としてWeb広告は不可欠。ターゲティング広告などを活用いただいてから送客して、店頭で説明してもらって購買につなげるというのが一連の流れなので、オンライン・オフラインともに重要です。店頭においては、成約率アップのために店舗スタッフの継続的な教育など、まだまだやれることはあると思っています。

●両社が描く、サスティナブルな社会に貢献する未来。
認知向上と販売拡大に挑戦し続けるのは、ビジネスであると同時に、目標とする未来があるため。それぞれどんなビジョンを持っているのでしょうか。

坪井:日本にはおよそ1500万人の難聴の方がいらっしゃる一方で、その14%くらいの方しか耳をサポートするデバイスを着けていないという統計があります。ご本人が無理や我慢をしてしまうことで、周りへの影響もあると思います。私たちの目標は、メガネのように手軽に、聞こえの課題を解決するイヤホンデバイスを身に着けられる社会です。聞こえに課題のある方用のデバイスを誰が着けていてもいいんだというスタンダードを作ることで、社会がすごく豊かになるんじゃないかなと思っています。

―例えば「メガネ」も、昔は似た存在だったのではないか。今では誰もが自分の視力に合ったメガネを安価で購入でき、ファッションアイテムにもなっている。そんな当たり前の存在を目指したいといいます。

坪井:デザインにこだわることと、購入しやすい価格で提供することで、心理的にも、経済的にもハードルを下げてカジュアルに着けられる製品を目指したいですね。

金井:もちろんビジネスですから会社の成長も重要なのですが、それと同じぐらい大切にしたいのがこうしたコンセプトや未来へのビジョンなので、実現のために日々頑張っています。

キヤノンMJ:弊社としてもサスティナブルな社会の実現はキーミッションです。聞こえに課題を感じる方はこれから増えていく可能性が高いと思うのですが、そうした社会課題に対して、オリーブユニオン様のように社会に役立つ革新的な製品を生み出す企業様をサポートしていくことが弊社の役割のひとつなのかなと感じています。

●2年の関係性を経て、互いに実感した価値とは。
感じた成長や、パートナーとして期待していること、両社のこれからの展望について聞きました。

坪井:先ほどお話しした目標は、単に良いプロダクトを作るだけでは解決できないこと。ですから、これまで誰もやっていないやり方、新しいコミュニケーションで製品の普及や市場開拓をしていきたいです。これまで以上に無茶なお願いをするかもしれませんが、キヤノンMJさんはきっと優しく聞いてくださるので(笑)。一方、現時的で厳しいフィードバックもいただきたいので、これからも一緒にいいものを作り上げていきたいです。

金井:新しい売り方を考えていきましょうという話は常にさせていただいていて。難しい相談でいつもキヤノンMJさんは困っていると思いますが(笑)。ただそれはキヤノンMJさんとだからこそできるやり方ですし、これからもリレーションを深めながら新たな市場を広げていきましょう。

キヤノンMJ:今はまだこのジャンルの製品は特定の限られた方が購入するものですが、ライト層の需要を満たす製品はきっと生まれると思います。どこかでゲームチェンジが起きて、その潜在需要が一気に跳ね上がったとき、ぜひオリーブユニオン様にその最前線にいて欲しいというのが私の願いですね。

坪井:最後に個人的な話ですが、半年、一年先を想像しながら進むというより、ぶつかったら方向転換するという私のやり方に付き合い、柔軟に乗り越えていってくれたことに感謝しています。

金井:前職では日常にありふれたものを売ることがテーマだったのですが、キヤノンMJさんと仕事をして、コンプレックス商材や高額商材を売るセールスとしての自信がついてきたのを感じます。弊社を大切に考えてくれているのが分かるので、自分たちもその気持ちに応えたいという気持ちを、私も坪井も持っています。

キヤノンMJ:全く認知がないものを売るにはマーケティングが重要ですが、オリーブユニオン様はそれをしっかりやられていて、私自身もこの2年間はとても勉強になりました。今後ともよろしくお願いします。

今まで世になかったものをどう社会に発信し、広めていくか。その熱意を共にすることで育まれた信頼。近い将来、このリレーションから新しい社会の「当たり前」が生まれることに期待が高まります。