設備投資、どの方法が一番お得?購入か、リースか、それともレンタルか
購入・リース・レンタル、それぞれの取得方法の特徴を比較し、検討のヒントになる情報をご紹介します。
リースの会計基準が変更
3つの取得方法の特徴についてご説明する前に、まず触れておきたい内容として、2008年にリース会計基準が変更になりました。これは、企業の情報公開や国際会計基準に合わせるなどの観点から、有権移転外ファイナンス・リース取引については「賃貸借処理(オフバランス)」を原則廃止して「売買処理(オンバランス)」とすることとしたものであり、端的に言うと「これまでリース(ファイナンスリース)で取得された物件は会社の資産とはみなしませんでしたが、今後は会社の資産として処理することにします。」ということ。対象となるのは、1.上場企業およびその子会社・関連会社と2.資本金5億円以上または負債200億円以上の会社およびその子会社であり、それ以外の企業ではオフバランスのメリットは従来どおりですが、リースに関するトピックスとして一応頭に入れておいていただければと思います。
それぞれの取得方法の特徴
購入
購入の場合、購入金額がそのまま経費となるわけではなく、減価償却費すなわち、その物を使用できる期間=耐用年数に分けて経費計上していきます。減価償却費の計算方法はいろいろありますが、一般的な定率法の場合、1年目にたくさん減価償却費を計上でき、2年目以降は計上金額が徐々に減っていくしくみです。法人税は利益に対して掛かってくるため、たくさん利益が出そうなら、購入によって減価償却費を計上することで大きなメリットが得られます。一方、処理作業の面で考えると、減価償却資産として計上しなければならないため経理担当者にとっては結構手間で、償却資産税という項目にも影響があります。
リース
企業などが選んだ機械設備などをリース会社が代わりに購入し、比較的長期にわたり賃貸する取引のことで、物件の取得価額と諸費用を含んだ全額をリース期間内に支払います。法人税法において適正リース期間が定められており(仮にPCをリースした場合には2年以上が適正リース期間)、期間内の中途解約は事実上禁止です。リースの場合、毎月の金額は一般的に同額で、そのまま経費となります。例えば5年リースなら毎月同額ずつ5年間経費計上される形となり、2年目以降のことを考えるとリースの方が法人税が安くなる可能性が高そうです。また、処理作業については、初回の契約だけはちょっと手間ですが、あとはリース会社任せで楽です。ただし、リース期間が過ぎたら再リース契約もしくは返却しなければならないので注意が必要です。
レンタル
レンタル会社がすでに所持しているモノを、お客様が必要とされる期間、賃貸する取引のことであり、ほとんどが中古品になります。レンタルは自由に期間設定を行うことができ、中途解約や延長も可能なので使用期間が不確定な場合や陳腐化が心配なPCなどを調達したい場合には最適です。また、会計基準が変更になったリースに対し、こちらは企業規模によらずオフバランスでの計上が可能とあって、資産収益率の観点からも最近特に注目されている取得方法です。レンタル契約を中途解約する場合には、残レンタル料ではなく、レンタル開始から解約時までの期間での設定料金と今までの支払額の差額を清算金として支払えばOKです。
一目でわかる比較表
買ったほうが得か、それともリースやレンタルを選んだほうが得なのか。この疑問に、決まった正解はありません。大切なのは、「上手に使い分けること」。その時々で最適な方法をチョイスして、効率よく設備投資を行いましょう。
監修
吉川公認会計士事務所
代表 吉川 宏樹
http://www.yoshikawa-k.com/