人の魅力を写しきる。EOS R3で。新製品を先撮り体験
長谷川正之 氏(写真館ハセガワ/青森県弘前市)
異才のフルサイズミラーレスで撮る。
映像表現の可能性をどこまでも拡張するために、静止画と動画の性能を徹底的に突き詰めたフルサイズミラーレス。EOSの系譜に新たにその名を刻むEOS R3は、写真館の業務にどう貢献するのか。「写真館ハセガワ」の長谷川正之氏に伺いました。
EOS R3
高速読み出しを可能とするEOS初フルサイズ裏面照射積層CMOSセンサー搭載し、電子シャッター最高30コマ/秒でAFAE追従撮影が可能。高速・高感度・高信頼性を目指した、動体撮影に優れたフルサイズミラーレスカメラ。
その高画質で、ポートレートの質をさらに深める。
━ まずEOS R3の画質について教えてください。
R systemならではのピントの良さに加え、解像感もいい。深度の浅いRF85mm F1.2 L USMのレンズでも手前側の目にピントが来て、しかも解像感よく撮れていることに満足しています。色味もナチュラルで綺麗ですね。DPP4(Digital Photo Professional 4)でピクチャースタイルを活用してRAW現像すれば、「ポートレート」スタイルでは綺麗な肌色の表現ができ、ピクチャースタイルの作り込みの良さも伺えます。DPP4以外の現像ソフトを使う場合でも、色味はナチュラルで作りやすい色なのではないかと感じました。またノイズも通常撮影では粗く感じることもなく、高感度撮影時でも今までよりも粒状感が良く綺麗に仕上がっています。そのため、暗い背景での撮影の幅が広がり、ローキーでの表現がしやすくなりました。
一瞬の美しさを捉える。進化したAFシステム。
━ 性能を高めた「瞳」検出や「視線入力」についてはいかがでしょうか。
瞳検出は、EOS Rよりも良くなっています。被写体の顔が斜め横のアングルではEOS Rでは左右の目に行ったり来たりすることがありましたが、EOS R3ではこの現象が少なくなり、しかもズレてもスマートコントローラーですぐに戻せるので、連携して使うことで、より高精度な瞳検出を快適に行うことができるようになりました。
視線入力に関しては、私が遠近両用の眼鏡をかけているということもあり眼鏡をはずして試してみました。視線入力を使うと、しっかりと「見たところ」「狙ったところ」にピントが来てくれますので、ピントの位置を気にせずに構図を決めて、ピント合わせをする場所を見た瞬間に素早く撮影できるメリットがあります。スタジオで三脚につけた状態での撮影ではファインダーを見ながらの撮影より、モニターで確認しながらの撮影になることが多いので、視線入力にはあまりこだわっていませんが、ロケや定常光での手持ち撮影で威力を発揮してくれそうですね。
光学ファインダーに近い自然な見え方。OVFビューアシスト。
━ 電子ビューファインダーなどの使用感について教えてください。
実際の撮影での使用感はいい感じです。電子ビューファインダーは綺麗ですし、各種ボタンの配置も気に入っています。電子ビューファインダ―ですが、スタジオでストロボ撮影の時はOVFビューアシストを使っています。ストロボ撮影では撮影条件が一定しているので、一眼レフカメラを覗いた時のように見えるOVFビューアシストがいいですね。スタジオ内の定常光での撮影やロケでは露出のシミュレーションが必要なので、電子ビューファインダ―やモニターでしっかりと露出と絞りの確認をした上で撮影しています。表示Simulationでは、[露出+絞り]でレンズのボケ味が確認できるようになり、これも有効な機能だと思います。
私は、スタジオ撮影時には10mのLANケーブルをボディに直挿ししてPCと直結した状態で撮影しています。USB-C接続時に比べ、挿し込み口でケーブルのロックができるので安心して使え、また撮影からPC転送のタイムラグが少なくなりました。そしてCFexpressにRAW+Jpeg、PCにもRAW+Jpegが同時に記録でき、EOS Utilityを介してのPCモニターへの表示がWi-Fiでの無線LAN接続時よりも速く表示できるようになり通常の写真館業務での使用ではほとんど時差もロスもなく保存・表示できるので非常に便利に使っています。
写真館業務に大きく貢献する、フルサイズミラーレス。
━ プロの仕事にEOS R3のどのような点が役立つと思いますか。
R systemのピントの良さを生かしながら高感度に対応できて高画質なEOS R3は写真館の業務に大きく貢献してくれると思います。それに加えて、やはり、ボタンやダイヤルのカスタマイズ、マイメニュー設定など、自分が使いやすい機能・項目を使いやすくカスタマイズができるのは有効だと思います。一度決めた機能がそのままということもあれば、結構な頻度で変えながら使うということもあるので、これらのカスタマイズは一見地味な機能ですが、とても有用です。また、カスタム設定を3つ登録できてボタン操作一つで切り替えができるのもいいですね。ストロボ、LED、自然光など、一瞬で設定を変更できるのは大変便利です。
私はEOS-1D X markⅡも使っていますが、やはりスペックにおいてフラッグシップ的なモデルを使うということは、その時のキヤノンの最善の画質を使うということにもなるのでしょうし、お客さまへのアピールにもなります。EOS R3の性能、機能を生かして、スタジオやロケーション撮影でしっかりとした美しい写真を撮っていきたいと思います。
長谷川正之 氏(写真館ハセガワ)
1964年12月9日生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科を卒業後、菅原廉緒氏に師事しホテルニューオータニ写真室へ入社。1988年に青森県弘前市へ帰省し長谷川写真館(現写真館ハセガワ)へ入社、現在に至る。東北六県写真師会連合会写真コンテスト自由作品の部ゴールド作家賞、文部大臣奨励賞、日本写真館賞優秀賞、PPAローンコレクション、ゼネラルコレクション、WPC日本代表選抜など受賞歴多数。
写真館ハセガワのサイトへ
https://www.hasegawa-ps.com