「RFマウントで進化した超広角ズームと標準ズーム」で撮る。(第1回)New Photography Style
RFレンズ × 原田辰之氏
今回、上通写真館の原田辰之氏にご使用いただいたのは、RFマウントのもと光学設計を一新して登場した「RF15-35mm F2.8 L IS USM」、「RF24-70mm F2.8 L IS USM」、そして「RF70-200mmF2.8 L IS USM」。広角・標準・望遠からなるRFレンズの「F2.8 L ISシリーズ」は、プロフォトグラファーの撮影表現の幅をどう広げるのか。第1回は広角ズームのRF15-35mmと標準ズームのRF24-70mm。
2回にわたって原田辰之氏のインプレッションをお届けします。
RF15-35mmは、表現の幅を広げる超広角ズームレンズ。
━ EFレンズと比べてどんな違いを感じましたか。
従来のEFレンズの16-35mmから広角側が15mmになって、そんなに変わらないだろうと思ってましたが、成人ロケーションで使った時の感想は「わっ広い!!」。狭い神社での撮影、高い銀杏の木を大胆に入れたかったのですが思い通りに入れることができました(作例1)。不安を感じていたのは、周辺の落ち込みや開放で撮影したときの歪みや画像周辺の流れ。でもRF15-35mmはその辺りもよく開発されている。開放15mmで撮影しても画像の隅々までちゃんと解像されていますし、質感もしっかりとしています。
歪みに関しても、ほぼ解消されてるので、樽型や枡形は、特殊な使い方をしない限り気になることはないと思います。自分は、成人、ブライダル、学校写真など、主にロケーションで使いたいと思います。表現の幅を広げることができるからです。35mmも使いやすく開放で撮影したときのボケ味も良い。Lレンズならではの色ノリの良さと、シャープな切れ味の解像感、それでいて柔らかく表現してくれる。RF15-35mm F2.8 L広角ズームレンズはプロの要求にしっかりと応えて結果を出してくれるレンズです。
RF24-70mmは、多様な撮影シーンで使える標準ズームレンズ。
━ 使用された印象を教えてください。
50mmの単レンズに近づけるように工夫されたレンズで、そのクオリティで24mmまでの広角が使え、また50mmで少し物足りない中望遠の70mmまで望遠できる。その使い勝手の良さは常時つけておくレンズと認識しました。EFレンズも素晴らしいレンズですが、解像感が増したRFレンズはキヤノンの標準ズームレンズを大きく成長させたボケ味も良いレンズになっています。色ノリも自然で綺麗。スタジオで必ずカラーチャートを使って色補正をしていますが、無彩色に色の濁りがないのが素晴らしい。
24-70mm F 2.8 Lという標準ズームレンズなので、オールマイティーに使えますね。スタジオはもとより、ロケーションやブライダルスナップ、学校撮影では必需品になります。開放2. 8と明るいレンズだから、暗い中での撮影もストレスなく撮影できますし、EOS Rのファインダー内で露出シミュレーション表示ができ、尚かつ[顔+追尾優先AF]にしておけば、ローソクだけのシチュエーションでも適正な光量での撮影が即可能です。
構えたときに、しっくりとくるバランスがある。
━ EFレンズより約105g重くなりましたが?
重量はあまり気にしないです。ボディとの組み合わせで総重量は変わってきますし。5Dや1DXにEF24-70mmを付けた時より、EOS RにRF24-70mm付けた時の方が軽いのでレンズが105g重くなったというのは問題ないと思います。ボディにレンズを付けるというより、レンズにボディを付けるという感覚の存在感はありますね。
造りもしっかりしているので、環境が悪い撮影でも耐えてくれる安心感があります。重量バランスも良いです。EFレンズに比べ、ワイド端での最短撮影距離が38cmから21cmに短縮されたそうですが、ポートレート撮影、特にスタジオではワイド端での近接撮影はあまりしません。ただ寄れることにおける恩恵は、必ずあるはずですよ。物撮りなどには有効だと思います。
5段分の手ブレ補正で撮影は快適。しかもズーム全域で高画質。
━ 原田さんの撮影スタイルに影響はありましたか?
撮影のとき、私は気持ちは熱く、しかし頭の中は非常にクールにして撮影に挑んでいきますが、EOS RとRFレンズは、逆光やピント位置、露出などの煩わしい計算をせずに被写体に向き合うことを可能にしてくれます。EOS Rの露出シミュレーションと瞳AFを使用しての撮影。そのうえ開放2.8をズーム全域で躊躇なく使えるレンズは頼れるところが沢山あります。
例えば七五三でも、5段分の手ブレ補正の機能で、動かれるお子さんの撮影でもブレにくく、開放2.8を使えるのは嬉しいですね。RF15-35mm、RF24-70mmともに言えることですが、色表現に関してもスキッと抜けた感じなのに、色ノリが良い。逆光などの厳しい条件での撮影でも抜けの良い写真が撮影できる。素晴らしく解像されているので、今後出てくるミラーレスの高画素機を楽しみにさせてくれるレンズだと思います。
原田辰之(はらだ たつゆき)氏
1964年生まれ。東京工芸大学写真技術科を卒業後、東京・自由が丘の藤原写真場で修行。その後、熊本に戻り原田写真場に入社。2003年に独立開業。2014年、熊本市中心商店街の上通において上通写真館をオープン。九州写真師会連盟 文部科学大臣賞、日本写真文化協会 ハイテクニカルフォトコンテスト1部金賞等、受賞歴多数。日芸写真館セミナ-、Canonブースセミナー等、講演も多数務めている。
URL:https://www.shashin-kan-harada.com
(上通写真館のサイトへ)