ファームアップで劇的な進化を遂げた「瞳AF」を検証。New Photography Style
EOS Rシステム × 堀光治氏
EOS RのAF性能を大きく進化させたファームウエアVersion 1.4.0※。
瞳AFの検出精度、AF枠の表示精度、さらには被写体捕捉性能の向上など、ファームアップ前とファームアップ後ではどう変わったのか。
フォトアトリエ アディの堀氏に検証いただき、お話を伺いました。
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最新ファームウェアはVersion 1.6.0です(2019年12月26日現在)
全身写真でも、瞳をしっかり検知。その精度に驚く。
━ ファームアップ後のEOS Rはいかがですか。
最初に驚いたのが、瞳AFの検知精度です。人物の全身撮影でも、しっかり瞳を検知。AF枠の表示速度が向上し、的確に被写体を追従するようになりました。小さなお子さんの瞳もよく認識しており、多くの場合最後までしっかりと追従してくれます。ファームアップ前までは、作例1のような全身のカットは「1点AF」「ワンショットAF」で撮影していました。本来、「瞳+追尾優先AF」「サーボAF」で撮影したかったのですが、従来バージョンでは、瞳を検知せず顔検知となっており、またAF枠の追従が遅れてしまうことがありました。
さらにいったんピントを外すと、復帰までAFフレーム操作に手間取ってしまって決定的瞬間を逃すことがあり、「瞳+追尾優先AF」「サーボAF」での撮影を断念せざるを得なかったのです。しかしファームアップ後は、「瞳+追尾優先AF」「サーボAF」で、フォーカスにはほとんどストレスがありません。AFがスムーズにいくと、撮影のリズムが良くなり、被写体とのコミュニケーションが取れ、ひいては撮影全体にいい結果を及ぼします。新人のスタッフにEOS Rを持たせて撮影させたところ、ベテランカメラマンに匹敵するAF品質で撮影できています。ちょっと驚きでした。
動く被写体を捉える追尾性能が、これまでにない一枚を可能に。
━ 動きのあるシーンでも違いを実感されたそうですね。
はい、そうですね。作例3は被写体のお嬢さんが、中央から右、そして左方向へブレながら、全力でカメラに接近してくるシーンですが、しっかりと捉えていました。AFフレームを移動しつつ、素早いピント移動にも対応。被写体がフレーム上で小さな状態でもしっかりと認識して追従してくれます。AF精度も高く、連写時の収率も向上していますね。人物にピントを合わせ続けようとする粘りがあり、後ろにピントが抜けることはほとんどありません。
AF動作の遅れによる後ピンも少なく、被写体の動きを予測する動体予測のアルゴリズムも健在です。今回のファームアップで、さらにレンズの最短撮影距離近くまでAFが 追従するようになったように感じます。これは本当に凄いことですよね。作例4も動きのあるシーンです。体を大きく動かしながらアシスタントと遊んでいるお子さん。これまでのバージョンでは撮り得なかったカットです。とてもシビアな条件でも、EOS Rは素晴らしい結果をもたらしてくれました。
顧客に別次元の撮影サービスを提供できる。
━ 写真館にはどんなメリットがあると思いますか。
今回のファームアップは、「AF性能の劇的進化」をもたらすもの。EOS Rの潜在的な能力を解放し、全く違う製品となったと言っても過言ではありません。例えばこの和婚の撮影(作例5)は、背景をぼかしつつ、2人にピントを合わせるためのギリギリの被写界深度を得るため絞り値はf2.0を選択。この時の撮影シチュエーションでは絞り値f2.0は、単純に1人の瞳にAFポイントを設定しても、もう1人までピントが来るかわからないような被写界深度です。
2人の顔にピントを合わせるためには、4つの瞳のうち、カメラから見て2番目近い距離の瞳に合わせる必要があります。被写界深度が最適になる瞳をAFポイントとして選択して撮影しました。つまり、より簡単な操作で、高品質な画像を手に入れられると同時に、生産効率を高めることができるわけです。さらに、撮影者自身の撮影スタイルを含め、使用方法、運営方法を、今回のファームアップで進化した機能に順応するよう若干見直すことで、顧客に対して別次元の撮影サービスを提供することが可能になると感じました。