EOS Rは日常の撮影スタイルにどんな影響をもたらすのか。New Photography Style
EOS Rシステム × 堀光治氏
フルサイズミラーレスカメラEOS RのAFに関心を持っていた堀光治氏。
EOS R に、RFマウント専用レンズであるRF50mm F1.2 L USMとRF24-105mm F4 L IS USM、そしてスタジオやロケーション撮影で普段使用しているEFレンズを装着して、実際のお客さまの撮影現場に投入。EOS Rシステムは、堀氏のいつもの撮影スタイルの中でどう機能し、どんな影響をもたらしたのか。お話を伺いました。
シャッターを押したくなるEVF(電子ビューファインダー)。
━ EOS R、お使いになっていかがでしたか。
評価用のEOS Rが届き、まずはカメラに最低限の設定をして使ってみました。操作系は、ミラーレスゆえの違いはありますが、小一時間も試し撮りを行えば、これまでのEOSと同様に操作できるようになり、翌日には実際のお客さまの撮影現場に投入することができました。気になっていたのはEOS RのEVF。私は、他社のミラーレス一眼のEVFに違和感を覚えていたからです。
私の撮影スタイルは、ライブビュー撮影をほとんど行わず、OVF(光学ファインダー)越しにシーンを観察してシャッターチャンスを探ります。シャッターを押す動機は、あくまでファインダーの中にシャッターを押したくなるだけの感動があるかないか。おそらく多くの写真館フォトグラファーの皆さんもそうだと思います。その点で、EOS RのEVFは、かなり良くできているよう思いました。EVF越しでも、シャッターチャンスをつかめます。
AFが高精度だから、コミュニケーションに集中できる。
━ 撮影業務にどんな影響をもたらしましたか?
EOS Rはファインダー画面の周辺部(横約88% 縦100%)でAFが可能で、かつどのエリアでも高精度のAFができています。したがって、構図を決めたうえで人物にAFすることができます。また顔認識や追従、さらには人物の瞳を検出してAFする機能まで実装されている。これまでの撮影業務では、フォーカスに集中していなければいけませんでしたが、EOS Rではさほどフォーカス作業に集中しなくてもよくなり、構図やライティング、お客さまとのコミュニケーションに集中できるようになります。
さらに助かるのは、EVF上で撮影した画像を確認できる点です。最近急に老眼が進んだ私にとって、カメラ背面の液晶モニターで確認したり、カメラ本体の小さなダイヤルを操作するのは大変なこと。EOS Rでは、EVF上で撮影した画像の拡大表示はもちろん、ヒストグラムや水準器の表示、その他撮影に必要な各種設定も行うことができる。当面は老眼鏡なしで撮影ができそうです。また、EVFを覗き込んで撮影画像を確認している間も、お客さまからは撮影を継続しているように見えるようで、撮影のテンポを乱すことなくスムーズに撮影できると感じました。
EFレンズの性能をさらに引き出すマウントアダプター。
━ レンズについてはいかがですか。
EOS RとRFレンズの組み合わせは、期待を裏切らないフォーカス性能を見せてくれました。ただ、RFレンズは現時点で4本。すべての撮影業務には対応することはできない。そこで、EFレンズを装着可能にするマウントアダプターを試してみました。コントロールリングマウントアダプターEF-EOS Rを使って装着したのは、スタジオで常用するレンズの1本であるEF85mm F1.2L II USM。この手のマウントアダプターは「なんとか旧タイプのレンズを使うことができるが性能はイマイチ」というものが多いと思っていましたが、それは私の思い込みでしたね。
EOS RとEF85mm F1.2L II USMは素晴らしい結果を出してくれました。最新のRF50mm F1.2 L USMと比べても遜色ないAF精度。開放でもしっかりピントが合います。またAF速度もスピードアップしたように感じました。さらにJPEG画像はよりシャープで鮮明に。EOS Rでは、現像時に行っていたDLO(Digital Lens Optimiser)処理がカメラ内でデフォルトで処理され、JPEG撮影時にも高画質データが得られるようです。資産である手持ちのEFレンズが、そのまま、いや今よりグレードアップして使うことができる。キヤノンユーザーなら、EOS Rシステムの導入は大きなメリットとなりそうです。
EOS R+EFレンズは、ロケでも使い心地抜群。
━ ロケーション撮影ではいかがでしたか。
ロケ撮影でいつも使うのはEF70-200mm F2.8L IS II USM。マウントアダプターでEOS Rに装着して撮影に臨みましたが、この組み合わせも「ピントが合う!速い!」と感じました。AF精度は大幅に向上し収率が上がります。また、ミラーレス一眼のEVFには「露出シミュレーション」という機能があり、実際の露出に応じた明るさをファインダーに表示。シャッターを切る前に撮影結果を見ることができ、あらかじめ適正な露出を設定できるため、無駄なシャッターを切る必要がありません。
この機能、ストロボを使用するスタジオ撮影では、あまり恩恵がありませんが定常光撮影ではとても効率的です。さらにEOS Rでは、新しい撮影モード「Fv」がサポートされました。P(プログラムオート)/Av(絞り優先)/Tv(シャッタースピード優先)/M(マニュアル)の全てを一括して操作できるので、最初の1ショットをプログラムオートの状態からはじめ、露出を適正に保ちつつ、希望するシャッター速度と絞り値にスムーズに合わせる事ができ、撮影場所が変わって、露出が大きく変わっても、もたつかずに撮影作業に入れそうです。
堀光治(ほりみつはる)氏
1964年石川県能美市生まれ。1987年千葉大学工学部画像工学科卒業。イメージスキャナの開発に従事する。1996年ホリ写真館入社。2000年同社代表取締役となる。2013年キヤノンギャラリー銀座・梅田・名古屋にて個展開催。経済産業省IT経営百選 優秀賞、日本写真館賞理事長賞等受賞歴多数。各地で開催されるセミナー、研究会に招かれ講師も務めている。
URL:https://happy-aday.com
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