EOS 5D Mark Ⅳの進化した基本性能を体感。New Photography Style
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EOS 5D Mark Ⅳ× 岡本豊氏
EOS 5D Mark Ⅳは高画素・高速連写・高感度などの基本性能をバランス良く向上。
進化を遂げたフルサイズ一眼レフは、プロの撮影業務にどう貢献するのか。
岡本豊氏(岡本寫眞館)のインプレッションと作例を紹介します。
守備範囲の広い、使えるカメラ。
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━ お使いになった印象を教えてください。
私は、ブライダルポートレートをはじめ、自動車のパーツや建築、旅客機など様々なジャンルの撮影をするため、機材はEOS 5D Mark Ⅲ、EOS 5Ds、EOS-1D X Mark Ⅱを場面に応じて使い分けています。EOS 5D Mark Ⅳは約3040万画素という高画素を実現しながら、高感度性能やAF性能も向上させたと聞いて、非常に興味深い一台だなと思っていました。早速、EOS 5D Mark Ⅳを持って関西国際空港で飛行機を撮影しました。
夕暮れの時間帯、太陽が沈む寸前に雲の隙間から強い光の筋が見えた時、タイミング良く飛行機がプッシュバックしました。飛行機のディテールは残しつつ空の表情は出したい。カメラにとって厳しい撮影条件でしたが、液晶モニターを見て驚きました。空のハイライト部分は飛ばず、シャドウ部の機体もしっかりと表現されていたからです(♯1)。ダイナミックレンジが広く、特にハイライトに強く、色乗りが良い。プロの撮影意欲をかき立ててくれる、「使える機材」が出てきたなと思いました。
約3040万画素。その解像力に、驚く。
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━ 画像の精細さは、いかがでしょうか。
写真を始めた頃、先輩にノートリミングで撮影するよう教えられたのが染み付いているのですが、空港での撮影は制限区域が多いためやむを得ず被写体を遠くから撮影して意図的にPC 上でトリミングすることがあります。このような場合に約3040万画素を実現したEOS 5D Mark Ⅳは威力を発揮してくれます。
例えば、この飛行機の画像(♯2)を見ても、元の画像の半分近くトリミングしたものとは誰もわからないと思います。大きく伸ばしても耐えられるくらい、機体の文字などもカチッと描写できている。また、下の写真(♯3)は六甲山から大阪の街を撮影したものです。高層ビル群までの距離は50kmはあると思いますが、この解像感にはただ驚くばかりでしたね。
いちばん綺麗な時間をいちばん綺麗に撮れる。
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━ 感度についての感想をお聞かせください。
この写真(♯4)は伊丹空港で着陸する飛行機を撮ったもの。写真で見るより、肉眼ではもっと暗く感じる時間です。着陸直前とはいえ時速200kmはある飛行機をしっかり止めるためにISO感度を1000~3200にあげて撮影しています。従来はこの時間帯でEOS 5DsからEOS 1D X Mark Ⅱに替えていましたが、今回はEOS 5D Mark Ⅳで撮影したわけです。正直、約3040万画素という高画素機でどのくらいノイズに耐えられるか心配でしたが、モニターを見て杞憂だとわかりました。ISO2500とは思えないノイズ感、雲の部分は通常ノイズがよく見えてしまうのですが、目立ったつぶつぶ感がなく、EOS 5D Mark Ⅲと同等、それ以上だと感じました。
ISO3200からさらに高感度設定にした場合のノイズ感は比較にならないほど向上しており、ISO8000で撮影した場合でも、驚くほどノイズが少なく、また機体のディテールもしっかりしているので、現像でノイズ処理した際もかっちりした作品に仕上げることができました。夕日が沈み残照になる美しい時間帯を撮れる。それはつまり、一日中このカメラで飛行機を撮影できるということを意味します。また、この高感度性能はブライダルスナップでも力を発揮してくれました。手持ちで、ストロボは使わず会場の灯りのみで撮影するシーンではISO2000まで上げて使用(♯5)しましたが、ノイズは全く問題なく、ブライダルスナップのメイン機として問題なく使うことができると思います。
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ピントを気にせず、フレームだけに集中できる。

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━ 動体の捕捉性能はいかがでしたか?
富士スピードウェイを時速150kmで疾走する一般車両を撮影。レンズはEF500㎜ F4L IS Ⅱ USM+1.4×Ⅲを装着。カメラのAF設定はAIサーボ、自動選択AF、特性はCase4の被写体が急加速・急減速に。一般の走行会は走行ラインがバラバラで意外と難しいのですが、約20分間連続して撮影し、ほぼ全てのカットにピントがきていました(♯6)。車を追いかけ追従し、ググッと掴んで離さない感覚はEOS-1D X に似たような感覚です。
ピントを気にせず、冷静に構図だけに集中して撮影できるのは有り難いですね。またAFの合致速度や高速連写はEOS 5D Mark Ⅲから飛躍的に向上しており、自動車のパーツ材質など細部に至る再現性の高さは仕事に活かせると思います。もう一点、走行会の撮影では様々な色の車がランダムに混走します。白色、黒色が交互に通過することなど多々ありますが、このようなケースでもハイライトが飛んだりや黒潰れすることもなく安定して撮影できるのは嬉しかったです。
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岡本豊(おかもとゆたか)氏
1972年生まれ。大阪芸術大学卒業後、ポートレートを中心に撮影。有名タレント、スポーツ選手のブライダルスナップや世界各国のVIPなど数多くの貴重な撮影を経験。最近では大手企業の広告、百貨店のカタログ撮影、また航空機撮影などに活躍の場を拡げる。現在、月刊エアライン誌にて「Go!Go!787」を連載中。2016年12月よりEOS学園オンライン「飛行機写真」講師を担当。