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時代を突き抜ける写真館へ。フォトソリューションレポート

時代を突き抜ける写真館へ。

岡村写真工房セピア 北海道札幌市

時が経てば経つほど、お客さまにとって大切な宝物になるような写真を撮ってあげたい。だからこそ岡村写真工房セピアは、いまを生きる家族のありのままの姿を撮り続ける。そして、これからもその独自の撮影スタイルを変わることなく貫き、さらに磨いていきたいと考えている。


写真への想いを語る岡村マサルさんと拓也さん

飾らない。普段着の家族写真にこだわる理由。

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岡村写真工房セピアは、業界関係者と一般消費者の評価で選ばれる写真館のコンテスト「第2回写真スタジオアワード」でグランプリを受賞し、2017年話題になった写真館だ。代表の岡村マサルさんが大切にしているのは、写真のなかに個性や時代を映し込むということ。だから写真の背景などにその時代を感じさせるものを同時に映すことができるロケーション撮影に力を入れ、また衣装も借り物ではなくその人がいま気に入っている自分自身の服で撮ることにこだわっている。
「写真館も多様化して、お客さまの選択肢が増えている。それはいいことだと思う。そんななかでうちは、ただかっこいい、可愛いだけの写真ではなく、家族がその写真を見るたびに多くの想いや記憶がよみがえってくるような写真を撮ってあげたい。だから、自然体にこだわった撮影スタイルを変わらず貫いていきたいと思います」。写真を撮りに来たお客さまの想いを描写し、いつまでも残しておきたくなるアートな一枚として形にする。そんな撮影現場で活躍するのが、EOS-1D XをはじめとするEOSシリーズ。「いつも動きながらの撮影だから、出会った瞬間を逃さずシャッターが切れることが大事。そういう意味でキヤノンの圧倒的なスピード感と機動力はいいなと思っているところですね」と岡村さんは語る。

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自分の言葉で話す。マニュアルのない接客。

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同社は、撮影だけでなく、接客も自然体だ。「うちにはいわゆる接客マニュアル的なものはありません。マニュアルに則ったような、かしこまった喋り方や応対をする必要はない。常々、自分の言葉で話そう、と言っています。だからスタッフはそれぞれお客さまのことを考えながら、自分なりの説明の仕方で、自分が好きだと思う写真をさりげなく提案しています」と岡村さん。
また、お客さまが過ごしやすいよう店内の雰囲気づくりにもこだわる。あえて程よく散らかしているのだそうだ。「たとえば撮影後にお客さまに待っていただくスペースがありますが、あまりきちっと片付けられていると、お客さまも落ち着かないと思う。最初からちょっと散らかしておけば、子供たちも遊びやすく親もあまり気をつかわなくていいんです」。初めて来店されたお客さまもゆっくり過ごせるような親しみやすい雰囲気や関係をつくる。そんな気づかいも、写真スタジオアワードで評価された理由のひとつかもしれない。

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お客さまとの関係づくりを大切にしている岡村写真工房セピアを象徴するものがある。それが「足あと帳」。撮影の最後に、お客さまご家族とスタッフ全員で集合写真を撮り、そこにコメントを書いていただく。2010年頃から始めたこの足あと帳は、現在では約80冊にも及ぶという。「何を書いてもいいんです。お子さんだったら、自分の目標を書いたりしますね。これを書いていただくことで、お客さまといろいろ会話ができる。仲良くなれるんですよね。お客さまもコメントを書いた後には自分で写メ撮って記念にされています」と、過去の足あと帳を繰りながら語ってくれた。

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お客さまとのコミュニケーションを深める写真展企画。

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写真展『25℃』は、“何の記念でもない夏の日にロケーションで写真を撮ろう”という趣旨で2001年から始めた企画。5月から7月の間に撮影し、8月のお盆の時期の3日間に店内で写真展を開催している。「例年5月1日の9時に受付を始めるのですが、この日は予定を空けて必ず電話をかけてきてくれるお客さまがいるので、先着100組の定員も1時間半位でいっぱいになります」と岡村さん。
写真展の初日にはライブやマジックショーなど嗜好を凝らしたオープニングパーティを行っているが、今年は200人を超えるお客さまが来場し、スタジオで撮る集合写真には全員が入りきらなかったそう。単なる写真展ではなく、店と顧客の絆を深めるお祭り的なイベントとなっているのだ。
写真展やパーティの模様は一眼ムービーで撮影し、SNSにアップしている。「うちでは広告活動を一切行っていませんが、写真展『25℃』に関する情報提供は唯一の広告といえるかもしれませんね。人を集めたいわけではなく、この写真館は楽しそうだなというのが伝わればいいと思っています」。年に一度のイベントをファンづくりに役立てている。

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親の気持ちで「欲しい商品」を企画する。

生まれてから歩くまでを記録する写真集「はじめの一歩。」
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もし自分が親だったら、どんな写真やアルバムを欲しいと思うだろうか。子供にはどんなものを残してあげたら喜んでくれるだろうか。岡村さんはそんなふうに親の気持ちになって商品を企画しているそうだ。
写真集「はじめの一歩。」もそうした商品のひとつ。赤ちゃんが産声あげてからよちよちと歩き出すまでは、成長も早く、表情も豊かになる時期。だからこそ、たくさん写真を残してほしい。そんな想いから、一年間は何度でも撮影ができ、一冊の写真集にできるという商品を具体化した。「始めた当初は撮影回数を4回にしていたのですが、お客さまの都合もあるのでしょうか、うまくタイミングが合わないと来なくなってしまう方がいたんです。それなら『何回でもどうぞ』というスタイルにしようと。これまで最高で19回も撮りにきてくれたお客さまがいます」。これ以外にも、表紙に子供の年齢や結婚の年数など数字だけをタイトルとして入れた「NUMBER」や、入学した小学校へ通う様子を撮影する「通学路」など企画性に富んだ商品が多い。
また近年、写真館業界では写真集タイプやデザインアルバムを重視し台紙商品を廃止するところも少なくないが、岡村写真工房セピアは台紙タイプに注力しオリジナル商品も用意している。それが、倉敷産の高品質な和製デニム生地をカバー素材として用いている「THE DAISHI」。お客さまが台紙に入れようと思う写真は永く残したい写真。だからこそ岡村さんは触れるほどに、年を経るほどに、味わいが増してくるデニムにこだわり、自ら生地メーカーと交渉し、オリジナルの台紙を創り上げた。時代を突き抜けていく写真館をめざす岡村写真工房セピアらしい商品だ。

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写真:岡村写真工房セピア

岡村写真工房セピア
2001年創立。「より自然に、よりアートに。」をコンセプトに、今をありのままに残す家族写真を追求。その撮影スタイルや接客などが評価され、第2回写真スタジオアワード・グランプリを受賞。
URL:www.photo-sepia.jp/
(岡村写真工房セピアのサイトへ)