ポカよけにハンディターミナルを活用するメリットと事例を解説
製造業において、品質の向上と効率化の両立は顧客満足度を高めるうえで重要です。しかし、人が作業に介入する限り、不良品や欠品などの人的ミス「ポカミス」を避けては通れないのが実情でしょう。企業は未然にミスを防ぐため、またミス発生時の原因の追及として、ハンディターミナルを活用したポカよけ(照合)を実施しています。ハンディターミナルによるポカよけは人的ミスの原因となる誤作業を軽減し、業務改善に不可欠な要素です。
本記事では、ポカよけの定義やハンディターミナルを活用したポカよけの具体的事例、メリットなどを解説します。ハンディターミナルの導入を検討している方は、ぜひチェックしてください。
目次
- 誤出荷防止の検品および現品・かんばん照合
- 部品入荷時や部品補充時の棚投入
- 金型・治具の整合性確認
- 原材料の調合・配合の確認
- RFIDやQRコードの活用
- 不良発生前のポカよけ
- 不良発生時のポカよけ
- 不良発生後のポカよけ
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メリット1 類似製品の取違い防止
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メリット2 即時データを送信し、制御機器へ出力できる
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メリット3 KNToolで安く・早く・簡単に実施
ポカよけとは人為的な作業ミスをなくすこと
ポカよけとは、不良発生を防ぎ、起きてしまった場合は再発防止につなげるための仕組みをいいます。人為的なミスを「ポカミス」といい、ハンディターミナルではポカミスの対策としてポカよけを実施しています。ポカよけの仕組みは、主に下記の6つに分けられます。
-
異常停止
- ミス規制
- 予知警報
- 不良停止
- ライン作業の停止
- 発生警報
「異常停止」「ミス規制」「予知警報」の3つは不良を予知してポカミスを防ぐもので、「不良停止」「ライン作業の停止」「発生警報」の3つは不良を検知してポカミスの改善を図るものです。
この6つのポカよけの仕組みが組み合わさることにより、不良の発生時や不良の混入を防ぐだけでなく、ポカミス発生の原因も特定でき、再発防止のための改善策が練りやすくなります。
ハンディターミナルを活用したポカよけの具体例
ここでは、ハンディターミナルを活用したポカよけの具体例について紹介していきます。
- 誤出荷防止の検品および現品・かんばん照合
- 部品入荷時や部品補充時の棚投入
- 金型・治具の整合性確認
- 原材料の調合・配合の確認
- RFIDやQRコードの活用
具体例を確認することで、活用する際のイメージがつきやすくなるでしょう。導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
誤出荷防止の検品および現品・かんばん照合
出荷検品の際のバーコードスキャン機能により、誤出荷防止の検品と現品・かんばん照合に役立ちます。ハンディターミナルを使用することで素早く商品情報を読み取れるため、正確な検品を行い、誤出荷を予防できます。
さらに、客先かんばんと社内かんばんのバーコードをハンディターミナルで二重チェックすることで、出荷時のエラーの可能性も限りなく低くできるでしょう。
また、現品・かんばん方式は生産や在庫管理にも有効です。かんばんに含まれるバーコードやRFIDを使用し、製品の受け渡しや在庫管理を迅速に行えます。
部品入荷時や部品補充時の棚投入
部品入荷時や部品補充時の棚投入は、効率的な在庫管理とスムーズな生産プロセスを実現するために確実にこなさなければなりません。その際、ハンディターミナルのバーコードスキャン機能が部品の識別と保管場所の確認に大いに役立ちます。
部品の識別については、各部品のバーコードをスキャンすることにより、誤った部品の混入を防ぎます。手作業よりも迅速で正確に作業を進められるので、作業員の負担も軽減されるでしょう。
また、現物のバーコードと棚に記載されたバーコードの照合もその場でできるため、効率的な在庫管理が可能です。補充時に作業がスムーズに行えるだけでなく、誤補充の防止にも有効でしょう。
金型・治具の整合性確認
ハンディターミナルを使えば、各金型や治具を正確に識別できます。さらに、現在の製品に対する適切な金型や治具を確認し、手順と一致させることも可能です。
このプロセスにおいては、チェックリストの作成がポイントです。金型や治具のセットチェックを行う際、チェックリストの作成をすると、作業を正確かつ効率的に進められます。
各金型や治具に関するチェックリストを作成し、それぞれのアイテムに固有のバーコードを割り当てます。それにより作業者はバーコードをスキャンし、アイテムを識別しチェックリスト上で確認が可能です。
チェックリストを確認しながら確認していくことで、必要なアイテムの設定がされていることを確認できます。
原材料の調合・配合の確認
食品製造、製薬、化粧品などの産業においては、製品品質と安全性を確保するために役立ちます。例えば、以下の3点があげられます。
バーコードスキャンによる正確な材料識別
各原材料にバーコードが割り当てられ、スキャンによってその情報を瞬時に読み取れます。これによって、賞味期限切れや誤った材料が使用されるリスクを未然に管理でき、迅速かつ正確な方法で作業が進められます。
レシピデータのデジタル管理
ハンディターミナルの活用によりレシピデータがデジタル化されると、調合や配合において一貫性と正確性を確保できます。変更も容易で、新しい要件や市場の変化にも柔軟に対応できます。
品質管理
正確な調合・配合ができることによって、一貫性のある製品品質を確保できます。生産プロセスにおいても問題点の早期発見と解決が可能です。不良品の発生を未然に防ぎ、品質向上に貢献します。
RFIDやQRコードの活用
ハンディターミナルには、バーコードだけでなくRFIDやQRコードを読み取ることができるタイプもあります。RFIDの活用とQRコードのそれぞれの特徴は以下の通りです。
RFIDの活用
RFIDは、非接触での情報読み取りが可能です。例えば箱の中に複数の製品が入ったままの状態でも、箱から出さずに一括で読み取りできるため、業務効率化に大きく貢献します。さらに、探索機能を設定すれば、万が一製品を紛失した際でも探知機のように探すことも可能です。
一方で、RFIDは読み取り機器やタグの費用が高額につき、バーコートやQRコートと比べて導入コストが高い傾向です。
QRコードの活用
QRコードは、自身でQRコードをスキャンして情報を読み取る方式のため、すべての製品情報を確実にハンディターミナル内に登録できます。加えて、バーコードよりも記録できる情報量が多い点もQRコードのメリットでしょう。導入コストはRFIDほど高額ではありませんが、バーコートと比較すると読み取り機器が高価な傾向です。
RFIDは非接触での読み取りができるため、業務効率化に貢献する点や万が一の紛失時に探知ができる点で、QRコードやバーコードと比べて優位性があります。QRコードは、多くの情報を素早く確実に読み取れる点が、メリットでしょう。
バーコードは導入コストが安価な点や、JANコードなど流通用のバーコードが印字されている場合はそれらを活用できる点などが、メリットとして挙げられます。それぞれのタイプのメリットを把握し、状況に応じて機能や費用対効果を考慮しながら選びましょう。
タイミング別のポカよけのポイント3点
ハンディターミナルのポカよけは、間違った製品が混入していた時に次の工程へ進まないようにしたり、出荷ラインに紛れ込んだ間違った製品を検知したりする役割を果たします。
ここではポカよけのポイントについてタイミング別に詳しく見ていきましょう。
- 作業開始前に製品を照合する不良発生前
- ポカミス時に通知する不良発生時
- 工程の最後に確認で活用する不良発生後
上記3つに分類してそれぞれ詳しく解説し、ハンディターミナルを活用したポイントも紹介します。ハンディターミナルがどのようにポカよけできるのか、参考にしてみてください。
不良発生前のポカよけ
まずは、ポカミスの発生前に事前に防ぐポカよけについてです。不良が発生する可能性のあるものを評価して防止します。不良発生前のポカよけは、ハンディターミナルを使い入荷予定の製品と実際に入荷した製品が合っているか、作業開始前に照合します。
ポカミスの要因となるものを最初の工程で検知し、解決できるのです。
不良発生時のポカよけ
不良発生時のポカよけは作業進行中、不良発生の瞬間にハンディターミナルから警告を通知したり、不良発生時に規制をかけるよう促したりします。これにより、プロセスの進捗から、品質管理の強化が期待できるでしょう。
ただし、あくまでこのポカよけは作業進行中に問題があれば早期に発見し、修正する手順を提供しているだけにすぎません。問題の改善のためには、適切に作業途中で品質チェックや検証・不良の改善を実施することが不可欠です。
不良発生後のポカよけ
不良発生後のポカよけは工程の最中ではなく、後工程で検知するものです。後工程で検査を行い、不良を防止するため、製造ラインではポカミスの対策を行いません。最後に検査し、不良の発生を見つけ流出を防ぐのが目的です。
製品の包装工程・出荷工程などにおいて、不良がないか確認できるようになっています。
ポカよけでハンディターミナルを活用する3つのメリット
ここでは、ポカよけにハンディターミナルを活用するメリットについて3つご紹介していきます。
ものづくりの現場では、さまざまな場面や要因にポカミスが潜んでいます。そのような時でも、ハンディターミナルは徹底的にポカミスを防ぐことが可能です。
メリットを確認することで、今現場で起こっている、困っている点を改善できるヒントになるでしょう。効率性を上げつつ正確性にも優れた業務を行いたい方は、参考にしてみてください。
メリット1 類似製品の取違い防止
製品が似たような外見やパッケージだと、製品の取り間違いが起こりやすくなってしまいます。その際、ハンディターミナルを活用し、読み取ったデータから識別することで取り間違いを防ぐことができます。
ハンディターミナルを使用する際には、製品のバーコードやQRコードをスキャンします。スキャンされたデータはハンディターミナルのマスターデータと照合され、正確な情報が表示されます。これにより、似たような製品も識別でき取り間違えるリスクを軽減できるのです。
このように、似たような製品を取り扱っている場合、ハンディターミナルを導入するのは非常に有益です。
メリット2 即時データを送信し、制御機器へ出力できる
ハンディターミナルは、読み取ったデータをすぐに送信・出力することが可能です。読み取ったデータはリアルタイムでバックにあるシステムへ送信され、在庫のトラッキングや出荷の手続きなどのプロセスをスムーズに進められます。さらに、ポカミスの発生時も原因の特定を素早く行えるので、問題解決に迅速な対応ができます。
ハンディターミナルの多くはカスタマイズが可能であるため、業界や用途に合わせた設定も可能です。必要なプロセスでハンディターミナルを活用すれば、ポカミスの特定と解決まで早期に行うことができます。
メリット3 KNToolで安く・早く・簡単に実施
こちらはキヤノン独自のメリットになりますが、ハンディターミナルと簡単開発ツールのKNToolを使用することで、安く・早く・簡単にポカよけを実施できます。KNToolは、ノーコードでアプリを開発でき、開発経験のない方でも容易にできるようになっています。ハンディターミナル導入にあたり、高いハードルとなるアプリ開発の費用を抑えることが可能です。
また、KNToolでは、開発工数を大幅に短くしているため、短期間で導入を実現できます。操作方法もドラッグやドロップで可能なため、簡単に作成が可能です。以上のような点から、ポカよけのためのハンディターミナル導入を早く、そして容易に実施できるのです。
まとめ
人が業務を行う以上、人的ミスであるポカミスはどうしても発生してしまいます。しかし、ポカよけにハンディターミナルを活用することで、簡単に人為的ミスを防ぐことが可能です。また、ポカよけでミスを大幅に軽減することで、無駄な工数やコストの削減にもつながります。結果、正確性や生産性が向上し、品質管理が改善されるため、製品の信頼度も大いにあがるのです。ぜひポカよけにハンディターミナルを活用して、業務の改善を図ってみてはいかがでしょうか。
ポカよけに興味がある方、こんなことはできないの?と疑問をお持ちの方、ハンディターミナルやKNToolを実際に触ってみたい方は、お気軽にお問い合わせください。
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