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プリントインフラの統合により、現在だけでなく、長期的な投資効果を実現三菱ふそうトラック・バス株式会社

業種:製造 | 従業員規模:10,000名以上 | 成果:コスト削減、業務効率の向上、セキュリティ強化

三菱ふそうトラック・バス株式会社(以下、三菱ふそう)様は2005年に発表した中期経営方針に基づき国内の販売・サービス体制の再構築や、より効率的なITインフラの整備を進められていました。その中でキヤノンの複合機「imageRUNNER」とドキュメント入出力環境を最適化し包括的に管理・運用するキヤノンマネージドドキュメントサービス「onBIZZ」を活用し、全国約200拠点・出力機器数約1,000台・10,000人以上のユーザーが利用するプリンティングシステム「OptiPrint」が2008年に始動しました。

onBIZZサービス導入から3年以上が経過した「OptiPrint」の運用管理を担当されているITインフラ部クライアントマネジメントチームのマネージャーのウーヴェ・シュワルツ様とスペシャリストの長谷川 隆様に「OptiPrint」についてお話しを伺いました。導入当時の課題にどのように取り組まれてきたのか、また現在の取り組みについてお話しを伺うことができました。

導入背景社内プリント環境の改善への取り組み

ITインフラ部はメインフレームやネットワーク、クライアントPC、電話などの運用管理を担当しています。その中にあるクライアントマネジメントチームは本社・工場・セールスセンター(国内販売拠点)のクライアントPCのハード面のサポートとソフトウエアのマネジメントを行っています。
「OptiPrint」は社内プリント環境を最適化(optimize)することを目的に導入したプリンティングソリューションでeコラボレーション(メールシステム)と並びクライアントマネジメントチームの中でも重要なシステムの1つになっています。

「OptiPrint」導入前の社内プリント環境は本社・工場部門だけでも出力機器(複合機/プリンター/ファクス)が約650台(約150モデル)稼働しており、消耗品の種類も多く、在庫管理と置き場の確保が必要になるなど管理業務もとても煩雑になっていました。また、印刷物の取り忘れによる情報漏えいのリスクなど出力機器のセキュリティー対策も必要でした。そこで全社的なITインフラの再構築に合わせて社内プリント環境の最適化に取り組みました。優先すべき課題としては、(1)TCOの削減、(2)利用状況の透明性の確保、(3)セキュリティーの向上の3つでした。

ウーヴェ・シュワルツ氏

選定理由サービス内容やコストなどのトータルバランスが良い

onBIZZサービス導入によるプリント環境の最適化

社内プリント環境の最適化を進めるためのパートナーの選定に当たっては、数社から提案をいただきましたが、サービス内容やコストなどのトータルバランスが良かったキヤノンに決めました。そして「TCOの削減」「利用状況の透明性の確保」「セキュリティーの向上」に必要な以下の取組みをはじめました。

  • 機器配置の最適化
  • 稼働状況の見える化
  • セキュアプリントの導入

導入後の成果「システムはいつでも、どこにいても利用できる」環境を構築

機器配置の最適化

まずは社内各部・各拠点に設置されている出力機器のメーカー・機種・台数・使用量について調査をキヤノンと行いました。そして調査結果を基に設置基準と新しく導入する機器(標準デバイス)を設け、それぞれの部署に必要なモデル・台数を設定し導入を進めました。
導入に当たって一番大変だったことは既存機の取扱いでした。特別な使用環境のために標準デバイスに置き換えが出来ない出力機器を除き、部門で購入したものなどを順次、すべて標準デバイスに入れ替えて行きました。その結果、本社・工場・セールスセンター全体で出力機器の台数は導入前の約1,000台の半分(約500台)に集約できました。(2008年スタート時)
最適配置の結果、各部署での機器管理業務はなくなり、空いたスペースも有効に活用できるようになりました。何よりユーザサービスで一番大切な「システムはいつでも、どこにいても利用できる」環境を構築することができました。

稼働状況の見える化

「OptiPrint」により最適化された環境維持とさらなる効率化のため導入当初より「稼働レポートサービス」の提供と「月次報告会」を行っています。稼働レポートには前月の「両面印刷」「ページ集約印刷」「カラー印刷使用率」などの管理指標のほか、部署毎の詳細な利用状況がまとめられています。「月次報告会」ではキヤノン担当者も含め「OptiPrint」関係者が集まり、レポート内容から次に取り組むべきポイントを話し合います。最終的に稼働レポート内容は情報化推進担当役員(CIO)へ報告され会社全体の改善活動に利用されます。
また、「OptiPrint」の利用状況はITインフラ部だけでなく全利用者にも公開され、利用者はいつでも「OptiPrint」の利用状況を確認することができます。利用状況の公開により利用者のコスト意識の向上が図られ、無駄な印刷の削減、集約印刷(両面印刷、ページ集約印刷)の利用率の向上などの改善が進みました。

  • ページ集約印刷…複数の原稿を縮小レイアウトして印刷します。用紙コストを削減するとともに、スリムで活用しやすい資料を作成できます。

セキュアプリントの導入

複合機に放置された印刷物による機密情報や個人情報の漏洩対策として「セキュアプリント」を全社で利用しセキュリティーの向上を図りました。
「セキュアプリント」ではパソコンから印刷指示した文書が複合機に一時的に保存され、複合機の操作パネルから再度印刷を指示することで初めてプリントアウトが開始される為、印刷物の放置による情報流出や無駄な印刷(印刷ミス)を減らすことができました。特に「セキュアプリント」により人事や経営情報など機密性の高い印刷を行う時など、他人による取り間違いなどの事故の防止にも役立っています。

現場のニーズに対応した「OptiPrint」の進化(MiniOptiの展開)

「OptiPrint」導入による最適化を進めて行く中で、営業店舗のカウンター横での利用や設置スペースの制約など、利用業務や環境の違いによる現場ニーズに対応するため、2011年よりキヤノンのレーザビームプリンターを「MiniOpti」として導入を開始しました。さらに、全国のセールスセンターでは基幹システム用のプリンターが稼働していましたが、メーカーやモデルが多数あり、ドットインパクトプリンターも利用されていました。そこでキヤノンとプリント基盤を再構築、「MiniOpti」に機能統合し大幅な効率化を図りました。
プリント環境の最適化については「OptiPrint」「MiniOpti」によって完成に近づきましたが、まだやらなければならないことがあります。たとえば「MicroOpti」と言うようなさらに小型のプリンターのニーズが現場にあり対応を検討しています。

今後の展望プリントインフラ統合は将来に向けた投資

「プリントインフラの統合は、今のベネフィットだけではなく将来にわたって良い投資になる。」と考えています。

プリントインフラを統合し、onBIZZの導入による出力機器運用管理の効率化は目に見える初期投資や保守料金などの一次的なコスト削減だけではなく、ITシステム全体の運用管理業務の効率化に役立っています。現在のITインフラ部の最大のミッションはクライアントPCの「OSバージョンアップ」になりますが、クライアントPCの「OSバージョンアップ」の準備には各種システムとの検証だけでなく、プリント環境の検証も必要になります。「OptiPrint」導入前には検証を行う必要のある出力機器の種類が150モデルと大変多く、その費用と時間が問題となっていましたが、今では検証対象となる出力機器は「OptiPrint」「MiniOpti」を含め10モデルと比較にならないほどの効率化が図られました。 今後予定されている社内システムの導入や改修にも良い効果が期待できます。

更なるパートナーシップの構築に向けて(キヤノンに期待すること)

「OptiPrint」とキヤノンMDS「onBIZZ」の導入によるプリント環境の効率化はダイムラーグループの中でも導入時期が早く、ドイツのダイムラー社のIT担当マネージャーが来日した際に高い評価を受けることができました。社内プリント環境の最適化だけでなく、ITインフラ部ではそれ以外のメインフレームやネットワーク、クライアントPC、電話(通信)の運用管理業務を行っています。最近話題のモバイル環境(スマートフォン)などについても業務利用について検討を進めています。キヤノンとはonBIZZサービスだけでなく、他のシステムやサービスを提供いただけると考えています。今後も色々な提案をしていただくことで、更なるパートナーシップを築き高めていけると考えています。

長谷川 隆氏

三菱ふそうトラック・バス株式会社

設立:2003年1月6日

所在地:神奈川県川崎市幸区鹿島田890番地12

※本記事は取材時(2011年)のものです

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