このページの本文へ

台湾は、自由で、自分らしくいられる大切な場所。

Photo : Rei Tanaka

自ら何度も足を運び、ローカルの新鮮かつディープな台湾情報を発信する「Howto Taiwan」編集長の田中さん。かつては小籠包や台湾マッサージなどのレトロ可愛いイメージが強かった台湾は、いまや「文創(古き良きものから新しいものを生み出すの意)」のもと世界中から注目されるデザイン&カルチャー大国だと言います。それだけでなく、台湾の魅力はなんと言っても「チャーミングでやさしい人」! 田中さんが、留学先で、旅先で、現地のお店で出会った台湾の人たちはみんなそれぞれに手を差し伸べ、あたたかいご縁を結んでくれたのだそう。「自分らしくいていい」と、オリジナルな人生を歩んできた田中さんに自信をもたらしてくれる台湾。その魅力について、詳しくお聞きしました。

PROFILE

田中伶(たなか・れい)

台湾のディープな魅力を発信するWEBメディア「Howto Taiwan」編集長。台湾留学を経て、多い時は2〜3ヶ月おきに台湾へ旅をするほどの台湾ラバー。

良縁奇縁に身をまかせ

台湾との縁は大学の交換留学から。「なんとなく好きだな、心地いいな」。それが現地で過ごすうちに感じた台湾の印象でした。

その心地よさを紐解いていくと、台湾の人のよさにつながっていきます。彼ら彼女たちのあたたかさ、素直さ、自由さ。そして、こころの距離の近さから発生する遠慮のなさ(笑)。私の地元、大阪のおばちゃんと通じるものがあると言いますか。「アンタいいところに来たわ! これも食べ! これも食べ!」というあのちょっと強引な、でも憎めない愛のあるかんじ。なんだか……よかったんです。

台湾の友人や知らない人とのエピソードは尽きません。まず留学して驚いたのは「私の友達は君の友達」という感覚。私や日本的な感覚をもつ方にとっては、クラスに留学生がきたらひとまずは親しく接するけれども、ある一線をなかなか越えにくいと思うんです。どこか「よそもの」に感じてしまって。

けれども台湾の友⼈たちは、中国語のコミュニケーションがまだまだ達者ではない私を連れて「週末わたしの実家においでよ!」と誘ってくれたり、昔馴染みが久しぶりに集う会に連れて⾏ってくれたりと、どんどん友達の輪を繋い でくれました。

もちろんあまり気が乗らなければ、余計な遠慮なんかせずに「ノー」と言ってもいい。相手は特に気にかけないですし、「今日は気分じゃないのね」とさらっと流してくれます。

みんなが自由で、好きなように生きている。台湾留学を経て7年後に再び台湾を訪れたとき、それをあらためて強く感じ、そこでさらに台湾愛が深まりました。以来、2、3ヶ月に1回は台湾を訪れるという(笑)、友人に驚かれるような頻度でこの地を訪れるようになります(LCCの普及はとてもうれしい追い風でした!)。

台湾の人の「自由さ」みたいなものは、町のいたるところで、旅の最中でたくさん触れることができます。

旅先で仲良くなった女の子が、自分の妹を次の目的地の案内人として紹介してくれることがありました。彼女は連れ添わないというのに! にも関わらず、彼女の妹はそれを快諾し、⾯識もなにもない私を駅までバイクで迎えにきて、いろんなところを案内してくれて。「はじめましてなのに!」というか「このシチュエーションってすごい!」とさすがに思いました(笑)。

申し入れを断ってもよかったのでしょうが、もったいないですし思い切って向こうの流れに乗ってしまう。すると自分の新しい扉が開いていくような気がします。「いけばわかるさ」みたいな(笑)。それが台湾のいいところなんですよね。

飾らぬ台湾の日常を

旅で訪れたデザイナーズ民宿のロビーでは、宿泊客なのであろうおばさまたちが、おそらく自分たちで買い込んできたフルーツを山盛り机に広げて宴会状態だったこともありました。チェックインしようと立ち寄った私を招いて「とりあえず座って食べなさいよ、余ったからあげるわ」という感じ。言葉が通じずとも、会話に入れなくても、そこにいるだけで十分! という面白さがありますね。

日本人のわたしからすると「台湾に来たな」と思うたまらないエピソードですが、現地のみなさんからすればそれは日常のひとコマ。公共空間でおもむろにシートを広げてお茶をしばきはじめたり、昼寝をしながら髭を剃られているおじさまがガラス越しに見えたり。

そうしたのどかで、狙っていないからこそちょっと笑えてチャーミングみたいな光景によく出会えます。特別フォトジェニックということではないのですが、台湾らしくて、私はおもわずシャッターを切ってしまいますね。

「店內禁止打牌睡覺(ここでマージャンを打ったり、寝たりしないで)」など壁の落書きもツボ。「なぜここに?」というか「誰に向けて?」という感じでつっこまずにはいられない、台湾の温度感をそのまんま写真におさめて、友達や台湾に興味のある方に届けたいなと思います。

ちなみに、台湾はとてもベビー&チャイルドフレンドリー!

街ゆくおじさま、おばさまがたが「かわいいね、何歳?」「段差は大丈夫?(荷物)持つよ!」などひっきりなしに声をかけて、母子を気遣ってくれます。お土産選びをしていれば、お店の方が子供と遊んで面倒を見てくれたことも数えきれません。子連れ旅行にもぴったりな旅行先なんです。

台湾好きが手放せない「大同電鍋」

なかなか台湾に行きにくくなってしまった昨今、自宅で台湾を楽しむ方法はいくつもあります。台湾映画を観ること、台湾茶を淹れてスロウな時間を過ごすこと、台湾のインディーズバンドのPVを観て台湾の景色や風景を眺めること……。

台湾グルメを作ることもそのひとつ。台湾では一家に一台あると言われる調理家電「大同電鍋」には日常的に活躍してもらっています(私にとって、この⼦なしのおうちごはんは考えられない︕ というほどの愛⽤品です。)

一言で言えば、まったくおおらかな大きい蒸し器のようなもの。 最新の家電とは真逆でタイマーもなにもなく、操作といえばボタンをポンと押すだけ。これで蒸したり、炊いたり、温めたり、茹でたり、煮込んだりできます。

医食同源の考えが根付く台湾では食べるもので体をつくり労ります。だからか極力電子レンジの使用は控え、その代わりに電鍋でゆっくりと食材に熱を加えていきます。その無理のないスロウな料理から、台湾の時間の流れがなんとなく家の中でも感じられるような気がしています。

台湾は「田中伶」らしさを思い出させてくれる

振り返ると、私はいわゆる「正式なルート」じゃない方向に進んできた人生でした。就活せずに自分で会社をつくったり、会社員をしたり、また独立したり。その時々で「本当にこれでいいのかな」、「周りは〇〇なのに」と悩むこともありました。

けれども台湾で暮らす人たちがのびのびと自由に、ありのままに生きているのを見ると、「私は私の人生を楽しめばいいんだ!   自分が楽しいと思うものを突き詰めて楽しめばいいんだ!」と自信が湧いてきます。

自分は自分らしくていい。私らしくいていい。そんなことを思い出させてくれる台湾のことが大好きで、これからも私にとっての大切な場所なのだと思います。

好きをかたちにするヒント

旅先の日常を切り取ろう

好きなものを飾ったり、写真に残したり、アルバムにしたり。あなたの「好き」をかたちにするアイデアをご紹介します。

光と影を使って、日常の特別な瞬間をとらえる

光と影を効果的に使うことで、日常を映画のワンシーンのように切り取ることができます。撮り方のコツを見て、旅先での思い出をドラマチックに残してみませんか。

特別な旅の「時間」を写す

旅先で過ごす時間は特別なもの。写真家・鶴巻育子さんがみつけた、ガイドブックには載っていない素敵な景色をのぞいてみて。

889A902A7B294DEBBEE5DBA999FD5B34
台湾は、自由で、自分らしくいられる大切な場所。
https://personal.canon.jp/articles/life-style/itoshino/list/taiwan
2
https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/taiwan/image/thumbnail-main.jpg?la=ja-JP&hash=3DDB02C640D46B5A0FB831E926154632
2022-03-25