ニュースリリース
2011年9月8日
無散瞳型デジタル眼底カメラ“CR-2 Plus”を発売
眼疾患の観察や診療に有用なFAF(自発蛍光)撮影機能を搭載
キヤノンは、無散瞳型デジタル眼底カメラの新製品として、加齢黄斑変性や糖尿病性網膜症などの観察や診療に有用な、FAF(Fundus Auto-Fluorescence:自発蛍光)撮影機能を搭載した“CR-2 Plus”を10月7日より発売し、ラインアップを拡充します。
- CR-2 Plus
- CR-2 Plus使用イメージ
- CR-2 Plus
- 価格(税別)340万円 (発売日:2011年10月7日)
“CR-2 Plus”は、散瞳剤(瞳孔を開く点眼剤)を使用しない無散瞳型デジタル眼底カメラの新製品で、専用のデジタル一眼レフカメラを搭載することにより、高画質と小型軽量化を両立した従来機種「CR-2」(2010年12月発売)の上位機種です。カラー・デジタルレッドフリー・デジタルコバルトといった多彩な撮影機能など、従来機種の優れた基本性能を踏襲しながら、眼疾患の観察や診療に有用なFAF撮影機能を標準搭載したことにより、検診だけでなく診療を中心に行う眼科クリニックや一般病院における導入を想定して市場に投入します。
■ 眼疾患の観察や診療に有用なFAF撮影機能を搭載
FAF撮影は、造影剤を被検者に投与せずに眼底自体が発する蛍光を観察するため、被検者に負担のない検査です。また、失明の原因となる加齢黄斑変性の病態や治療効果の確認に有用とされているほか、糖尿病性網膜症などの眼疾患の診療に役立つことが期待されています。
“CR-2 Plus”のFAF撮影機能は操作が簡単なことに加え、白内障で水晶体が濁っているためにコントラストが低下している場合でも、最適なコントラストの画像を得ることができます。
■ 用途に応じて幅広いISO感度設定に対応した高画質な撮影を実現
従来機種の4段階のISO感度設定(ISO800/1600/3200/6400)に、2段階の低ISO感度設定(ISO200/400)を加えた6段階の設定を可能にしました。これにより、高感度設定時には低光量のフラッシュで撮影できるため被検者が感じるまぶしさを軽減し、低感度設定時ではノイズを抑えた高画質な撮影が行え、被検者と検査者双方の幅広いニーズに応える眼底観察を実現します。
【眼底カメラの市場動向】
画像処理や通信など、デジタル技術が急激な進歩を遂げる中、正確で迅速な処置が求められる医療機関においては、患者の医療データを効率良く一元管理できる電子カルテや、ネットワークを介した遠隔診断システムの導入など、さまざまな分野においてデジタル化が進んでいます。
眼底カメラもデジタル化が進展しており、医療機関からはデジタルならではの利便性と高画質の両立が強く求められています。(キヤノン調べ)
【眼底検査の目的と眼底カメラの用途】
眼底とは、目の奥の網膜や血管などがある部位のことで、全身の中で唯一、直接血管を見ることができます。眼底カメラは、眼底血管の走行状態や出血の有無、網膜の状態など眼底画像の記録に広く用いられ、多岐にわたる眼科疾患の診断に役立っています。さらに、眼底の診察結果から全身の血管の状態を推測し、高血圧や動脈硬化の進行、糖尿病などの全身疾患を発見する手がかりを得ることができるため、生活習慣病健診にも活用されています。
先進諸国での失明原因の上位は、加齢黄斑変性、緑内障、糖尿病性網膜症です。加齢黄斑変性、緑内障は、加齢とともに発症の可能性が高くなります。今後、老齢人口が急増する中で、これらの疾病の早期発見のために、眼底カメラが活躍する機会はさらに増えるものと予想されます。
また、糖尿病患者も年々増加する傾向にあり、国内だけで糖尿病が疑われる人の推計は2,210万人※を超えており、糖尿病の合併症の一つである網膜症の検査において、眼底カメラがますます注目されています。
- ※厚生労働省『平成19年国民健康栄養調査』45ページに記載の、「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性を否定できない人」の推計の合計数。