ニュースリリース

2009年9月7日

世界初、眼底カメラ専用のデジタルカメラユニットを搭載
散瞳/無散瞳一体型デジタル眼底カメラ“CX-1”


キヤノンは、世界で初めて、眼底カメラ専用デジタルカメラユニットを搭載し、散瞳/無散瞳の両方式での撮影が行える小型・軽量のデジタル眼底カメラ“CX-1”を10月1日より新たに発売します。

  • 眼底カメラ専用デジタルカメラユニットを搭載したデジタル眼底カメラとして。2009年9月4日現在、キヤノン調べ。
デジタル眼底カメラ CX-1
デジタル眼底カメラ CX-1
使用イメージ  *散瞳モードでの使用時
使用イメージ
散瞳モードでの使用時
  • キヤノン デジタル眼底カメラCX-1
    価格(税別)490万円 (発売日:2009年10月1日)

新製品“CX-1”は、デジタル一眼レフカメラ技術と眼底カメラ技術とを融合して、新たに開発した眼底カメラ専用のデジタルカメラユニットを搭載した、キヤノンで初めてとなる散瞳/無散瞳一体型デジタル眼底カメラです。
従来の散瞳/無散瞳一体型眼底カメラは、眼底の観察、撮影、表示に対して、散瞳用と無散瞳用にそれぞれ別の光学系を有していたため、散瞳型や無散瞳型の単体モデルに比べ、大きく、操作も複雑にならざるを得ませんでした。“CX-1”は、眼底の観察、撮影、表示のすべてを、専用のデジタルカメラユニットで行うことにより、シンプルで快適な操作を実現するとともに、先進のEOSテクノロジーにより、業界最高の約1510万画素の高精細で高画質な撮影を可能にしています。また、本体の大きさや質量も単体モデルと同等に抑えており、わずかなスペースに設置できます。

新製品は、散瞳/無散瞳の両方式で、カラー撮影、レッドフリー撮影、コバルト撮影、FA(フルオロセイン蛍光造影)撮影、FAF(自発蛍光)撮影の5つのモードで撮影することが可能です。世界で初めて実現した無散瞳でのFAF撮影は、検査時間が短く被検者への負担が軽微なため、加齢による疾患の検査などを手軽にかつ迅速に行うことができます。

なお、同製品は、10月9日から12日まで福岡国際会議場・福岡サンパレス・マリンメッセ福岡で開催される「第63回日本臨床眼科学会」に出展されます。

  • 眼底カメラ型による無散瞳でのFAF撮影として。2009年9月4日現在、キヤノン調べ。

【市場動向と開発の背景】

眼科医療の高度化・専門化が進展する中で、医療機器の設置スペースに余裕がない眼科診療所などでは、1台で散瞳/無散瞳の両方式での撮影が可能な眼底カメラのニーズが高まっています。また近年は、急速な高齢者人口の増加につれて、緑内障(りょくないしょう)や加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)などの罹患リスクが高まっており、疾患別に適した眼底画像の効率的な撮影が期待されています。
新製品“CX-1”は、今回新たに開発した眼底カメラ専用デジタルカメラユニットを搭載することにより、散瞳/無散瞳の一体型でありながら、単体モデルと同等の大きさ・質量を実現した小型・軽量の眼底カメラです。眼底の観察・撮影・表示のすべてを専用ユニットで行えるため、高精細で高画質な眼底の画像を簡単かつ的確に得ることが可能です。また、5種類の撮影モードを標準装備しており、操作パネル上に配置されたボタンを押すだけで、カラー撮影だけでなくFAF撮影なども行えます。
キヤノンは、独自のイメージング技術を活用した医療診断機器と、これらの製品を核とするソリューションを市場に提供することで、診断業務の円滑な遂行とそれにともなう各種疾患の早期発見に貢献していきたいと考えています。

【眼底検査の目的】

眼底とは、目の奥の網膜や血管などがある部位のことで、全身の中で唯一、直接血管を見ることができます。眼底カメラは、眼底血管の走行状態や出血の有無、網膜の状態など眼底画像の記録に広く用いられ、多岐にわたる眼科疾患の診断に役立っています。
先進諸国では、加齢黄斑変性、緑内障、糖尿病性網膜症(とうにょうびょうせいもうまくしょう)が失明原因の上位を占めています。中でも加齢黄斑変性は、米国をはじめとする欧米先進国で成人(特に50歳以上)の失明原因の第1位となっており、近年の高齢者人口の急増にともない増加の一途をたどっています。見ようとするものの中心部がゆがんで見えたり、欠けて見えるようになり、症状の進行にともない見えにくい範囲が徐々に広がり、視力も低下してきます。日本でも近年高齢化や食生活の欧米化にともない発症例が増加してきており、失明原因の上位に入るようになってきています。加齢黄斑変性や緑内障は、加齢とともに発症の可能性が高くなるため、今後、高齢者人口が急増する中で、疾病の早期発見のため眼底カメラが活躍する機会はさらに増えるものと予想されます。
また、眼底の診察結果から全身の血管の状態を推測し、高血圧や動脈硬化の進行、糖尿病などの全身疾患を発見する手がかりを得ることができるため、生活習慣病健診にも眼底カメラは活躍しています。糖尿病患者も年々増加する傾向にあり、国内だけで糖尿病が強く疑われる人の推計は820万人(出典:平成18年厚生労働省発表「国民健康・栄養調査結果」)となっており、糖尿病の合併症の一つである網膜症の検査において、眼底カメラがますます注目されています。

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