ニュースリリース2007年3月9日
キヤノンギャラリー S
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この件に関するお問い合わせ先 キヤノンマーケティングジャパン株式会社 キヤノンギャラリー S TEL 03-6719-9021 |
■概要
○ 開催期間 : 2007年3月28日(水)~5月14日(月) ○ 開館時間 : 10時~17時30分 ○ 休館日 : 日曜日・祝日 ※4月22日(日)はゲスト対談のため、臨時開館します。 ○ 会場 : キヤノン S タワー1階 キヤノンギャラリー S ○ アクセス : JR品川駅港南口より徒歩約8分、京浜急行品川駅より徒歩約10分 ○ 入場料 : 無料
■ご案内
高梨豊氏は、都市とそこに生きる人々を被写体に撮影を続ける、日本を代表する写真家の一人です。氏の写真は、時代とともに変容を繰り返す都市の姿を通じて、その背後に存在する日本人の実像を浮き彫りにします。作品を新たに発表するたびに表現方法や作風を変えるという、氏独自の手法によって多面的に眺められた都市は、そこで生活する人間の様々な思いを雄弁に物語っています。このほど展示する約50点の写真は、「囲う」という人の一般的な営みに隠された感情をテーマにしています。都市部のそこここに設置された工事現場を覆うための塀や防塵(ぼうじん)用ネット。ありふれた光景の中に違和感なく溶け込み、都市の一部を構成するこれらの「囲い」は、実は人々が心に抱いている「所有」や「欲望」といった感情を象徴するものであると高梨氏は指摘します。
ものを所有したいという人間の根源的な欲求が、都市の景観にどのような影響を及ぼしているのか。
高梨氏の視線を通して、これまで知らなかった都市へのまなざしを感じることのできる、大変示唆的な写真展です。
■ゲスト対談「写真、絵画、そして美術」
作家・画家として著名な赤瀬川原平氏をゲストに迎え、高梨氏が今回展示した作品に言及しつつ、写真と絵画の違い、表現することなどについて自由に語り合います。
○ 開催日時 : 2007年4月22日(日)13時30分~15時30分 ○ 会場 : キヤノン S タワー3階 キヤノンホール S ○ 入場料 : 無料 ○ 定員 : 先着300名 ○ 申込方法 : キヤノンイベントページcanon.jp/eventにて、応募を受け付けます。 ○ 応募期間 : 2007年3月9日(金)~4月17日(火)
■高梨氏メッセージ
○「囲市 かこいまち」について
裏の空地に囲(カコ)いが出来た 塀(ヘイ) 小噺子供の頃、洒落たつもりで口にしたものだ。女を囲う、囲い者などと、大人言葉を覚えるたびに、広っぱには塀が出来、一つ二つと子供らの遊び場が減って行った。やがて囲いは所有や欲望の表徴であることに気がつくのである。「囲」はタイトにルーズに変幻するが、その綻びや隙間から日本社会独特の「世間」を垣間見せることがある。
「表徴とは裂け目である。そのあいだから覗いているものはほかならぬもう一つの表徴の顔である」
(R・バルト)
○「スケールアウト」について
写真の「大きさ」は曖昧なものである。絵画は最初に大きさが決められ描き始められる。キャンバスの号数はモチーフと画家の世界との抜き差しならぬものとなる。写真は始めに撮影があり、そののち作品の〈住み着き方〉により大きさが決定される。エディトリアルなら机上で見る大きさ、展覧会なら「全紙」と、それらが「写真」の大きさの概念となった。「スケールアウト」とは一般にある「概念」を遥かに超える大きさのことを云い、写真ならばそこに映し出されたモノやコトの意味は変質する筈である。インクジェットプリンター「imagePROGRAF」の大きさとシャープネスは「写真」に新しい表現の可能性をつけ加えることとなるだろう。
■プロフィール
○高梨豊(たかなし ゆたか)
1935年 東京・牛込に生まれる。
1957年 日本大学芸術学部写真学科卒業。
1961年 桑沢デザイン研究所リビングデザイン科卒業。
1964年 第8回日本写真批評家協会新人賞受賞。
1967年 「第5回パリ青年ビエンナーレ」国際写真部門最高賞受賞。
1968年 中平卓馬・多木浩二らと共に写真同人誌『PROVOKE』刊行。
1985年 第34回日本写真協会年度賞受賞。
1993年 第9回東川町国際写真フェスティバル国内作家賞受賞。
1994年 第43回日本写真協会年度賞受賞。
現在 東京造形大学客員教授。
○写真集
『都市へ』(イザラ書房 1974年)、『町』(朝日新聞社 1977年)、『東京人1978-1983』(書肆山田 1983年)、『都の貌』(IPC 1989年)、『面目躍如 人物写真クロニクル 1964~1989』(平凡社 1990年)、『初國 pre-landscape』(平凡社 1993年)、『地名論』(毎日コミュニケーションズ 2000年)など
○著書
エッセイ集『われらの獲物は一滴の光』(蒼洋社 1988年)、『ライカな眼』(毎日コミュニケーションズ2002年)など
○写真展
「SOMETHIN' ELSE」(銀座画廊 1960年)、「標的」(銀座画廊 1962年)、「現代写真の10人」展(東京国立近代美術館 1966年)、「第10回日本現代美術展」(東京都美術館 1971年)、「15人の写真家」展(東京国立近代美術館 1974年)、「Neue Fotografie Aus Japan(日本の現代写真)」展(オーストリア・グラーツ市立美術館ほか 1976年)、「Gazing at the Contemporary World:Japanese Photography from the 1970s to the Present」展(世界各都市、JAPAN FOUNDATION 2007年)