ナノインプリント装置は、スタンパ(原版)を基板上に塗布したレジスト(感光性樹脂)に押しあてて形状を転写することで、光学部品などにナノ(ナノは10億分の1)メートルレベルの微細加工を施す装置で、従来の露光方式に比べ低コストで生産することができます。昨今の偏光素子やマイクロレンズアレイ、LED(発光ダイオード)といった光学部品の微細化・多機能化と、磁気ディスクや光ディスクなどストレージデバイスの高密度化にともない、各種産業デバイスの基板に微細なパターンを形成するニーズが高まってきています。
キヤノンMJは、これまで半導体製造装置や液晶パネル製造装置、計測装置など、先端産業向けの各種装置を提供してきましたが、このたび新たにナノインプリント装置市場に参入することにより、産業機器分野のビジネスをさらに拡充していきます。
Obducat社のナノインプリント装置は、熱とUV(紫外線)を用いて基板全面に一括転写する方式を採用しており、空気圧を利用した同社独自のSoftPress™テクノロジーにより、基板全面へ均一に微細パターンを転写することができます。また、温度制御と紫外線照射を同時に行うSTU™(Simultaneous Thermal and UV™)テクノロジーを採用しており、基板への正確なパターン転写を実現しています。さらに、マスタースタンパと基板が直接接触するのを避けることが可能なIPS™(Intermediate Polymer Stamp™)技術により、スタンパの長寿命化を図るとともに、ほこりなどの異物が付着した際の転写不良を最小限に抑えるなど、歩留まりを大幅に向上させています。