ニュースリリース

2006年11月14日

キヤノンギャラリー S キヤノンフォトコレクション作品
芳賀日出男・長野重一写真展「失われつつある日本人の記憶」開催のご案内



キヤノンマーケティングジャパン株式会社(社長:村瀬治男)は、キヤノン S タワー1階キヤノンギャラリー S において、12月2日よりキヤノンフォトコレクション作品 芳賀日出男・長野重一写真展「失われつつある日本人の記憶」を開催します。

この件に関するお問い合わせ先

キヤノンマーケティングジャパン株式会社
キヤノンギャラリー S
TEL 03-6719-9021



■期間

2006年12月2日(土)~12月22日(金)
10時~17時30分(休館:日曜日・祝日)
入場無料

■会場

キヤノン S タワー1階 キヤノンギャラリー S
(JR品川駅港南口より徒歩約8分、京浜急行品川駅より徒歩約10分)

■ご案内

芳賀日出男・長野重一両氏は、それぞれの視点から、およそ半世紀にわたり戦後の日本の姿をとらえてきました。彼らの記録した日本の姿は、現代では失われつつある日本人共通の記憶を呼び起こします。

芳賀日出男氏は1921年、満州大連に生まれ、日本の伝統とはおよそ無縁の生活を送ってきました。大学就学のため18歳のときに日本に渡り、東京で暮らすようになってから、芳賀氏は春の桜の風情に魅了され、季節に合わせて暮らす日本人の姿にカルチャーショックを受けたといいます。また、慶應大学では慶應カメラクラブに所属する一方、日本の習俗に興味を持つようになりました。民俗資料写真に専念しようと心を決めた1950年代は、日本人の古くからの風習や風俗が各地で滅びつつあり、芳賀氏は失われてゆく日本の民俗を撮影するため、全国各地の村々を巡り、稲作や正月や盆の行事、人生儀礼、祭りなどを、厳粛なまなざしで見つめ、記録し続けました。

長野重一氏は1925年、大分県に生まれました。彼もまた芳賀氏と同じ慶應大学に入学し、写真同好会「フォトフレンズ」に所属していました。卒業後、グラフ雑誌『週刊サンニュース』の記者を経て、『岩波写真文庫』の写真撮影に携わり、戦後の復興期の中、力強く変わってゆく日本の姿を独自の視点でとらえました。1960年頃を境に長野氏は写真制作から離れますが、バブル経済を迎え、日本に再び大きな変化の波が押し寄せた1980年、写真活動に戻ります。長野氏は自分の住む東京の街を再び撮りはじめましたが、その視点は対象との間に遠く距離を置くようになっていました。戦後から東京を見つめてきた長野氏にとって、変貌しつづける東京の街は、自分のもつ記憶から離れてゆく 時代そのものであると言えるかもしれません。

両氏がとらえてきたのは、いくつかの大転換期を迎え、変わってゆく日本の姿です。激動する状況下で、写真家自身もその中に身を置きながら、二人はそれぞれのアプローチで「日本人がこれからの時代をどう生きていくのか」というテーマに視点を定めています。芳賀氏の記録した民俗からも、また長野氏が見つめていた日本人の姿からも遠くかけ離れ、現代の生活を送っている私たちは、体の中に眠る日本人としての根源の記憶を呼び覚まされるようです。

■プロフィール

芳賀日出男(はが ひでお)
1921年、満州大連生まれ。
1944年、慶應義塾大学文学部卒業。
1950年、日本写真家協会に創立者の一人として入会。
1952年、恩師奥野信太郎氏のアドバイスを受け、民俗行事や民俗芸能の撮影を志す。
1953年、フリーランスとなる。
1955年、奄美大島で民俗写真を撮影。これをきっかけとして、以後、民俗資料写真の撮影に専念。
日本国内にとどまらず、タイ、インドネシア、ヨーロッパをはじめ100カ国以上の国を訪れ民俗行事や儀礼を撮影し、民俗写真の第一人者として高く評価されている。
1985年、株式会社芳賀ライブラリー設立。
1989年、紫綬褒章受章。
1995年、勲四等旭日小綬章受章。
1997年、日本写真協会功労賞受賞。
2006年、個展「秋の祭り」(アイデムフォトギャラリー)開催。

長野 重一(ながの しげいち)
1925年、大分県大分市生まれ。
1947年、慶應義塾大学経済学部卒業。商事会社に勤めるがまもなく退社、『週刊サンニュース』編集部に入る。
1949年、『岩波写真文庫』の撮影に携わる。
1954年、フリーランスとなる。
1960年、個展「ベルリン 東と西と」などで日本写真批評家協会作家賞を受賞。同年、カメラ芸術大賞受賞。以後、日本の経済成長に伴う変化をとらえ、フォト・ジャーナリストとしての地位を確立した。一方、市川崑監督の『東京オリンピック』(1965年)など映画やテレビコマーシャルの撮影も多く手掛ける。
1986年、「遠い視線」にて伊奈信男賞受賞。
1991年および1995年、日本写真協会年度賞受賞。
1993年、紫綬褒章受章。
1998年、勲四等旭日小綬章受章。
2005年、個展「長野重一写真集『hysteric Fourteen 長野重一』刊行記念写真展」(PLACE M)開催。
2006年、日本写真協会功労賞受賞。


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