新製品はいずれも、X線を光に変換する蛍光体層とアモルファスシリコン平面センサーからなる独自の大型X線平面センサー「LANMIT(ランミット)」を搭載することにより、撮影後約3秒でディスプレイに画像を表示できる即時性を備えています。蛍光体の素材には光変換効率に優れた「ヨウ化セシウム」を採用しており、少ないX線照射量で高精細な診断画像を得ることができるため、被験者の負荷軽減と診断精度の向上を両立します。また、最新の医療情報通信規格に対応したコントロールソフトウエアを同梱するとともに、汎用性の高い100BASE-TX/10BASE-Tインターフェースを採用することで、本格的な普及が進む医療ネットワークシステムとの高い親和性も兼ね備えています。このほか、X線フィルムやプレートの交換作業ならびに、その搬送プロセスも不要なため、撮影時間の短縮化と診断の効率化を図ることができます。
新製品“CXDI-50C”は、重さ約4.8kg、薄さ約23mmという軽量・薄型ボディに、35×43cmの有効撮影範囲を持つ大型平面センサーを搭載したポータブルタイプのX線デジタル撮影装置です。優れた可搬性により、被験者を撮影位置に移動させることなく、ベッドサイドや手術室など、あらゆる状況で撮影することが可能です。
新製品“CXDI-40EC”は、43×43cmという広範な有効撮影範囲を備えた据え置きタイプのX線デジタル撮影装置です。
なお、いずれの機種も、RoHS指令を先取りする環境配慮設計を行っています。
【市場動向と開発の背景】
画像処理や通信などのデジタル技術が急激な進歩を遂げる中、正確で迅速な処置が求められる医療機関において、患者の医療データを効率よく一元管理できる電子カルテや、ネットワークを介した遠隔診断システムの導入など、さまざまな分野においてデジタル化が進んでいます。キヤノンはこうした市場動向にいち早く対応し、1998年以来、高性能デジタルX線撮影装置を開発し、販売してきました。
今回の新製品はいずれも、拡張性の強化や、ワークフローの効率化、被験者の負荷軽減をさらに高いレベルで実現するために開発されたモデルです。新製品“CXDI-50C”は「CXDI-50G」(2003年12月発売)の姉妹機種として、その優れた基本性能はそのままに、新たに高感度センサーを搭載したポータブルタイプの医療用X線デジタル撮影装置です。また、新製品“CXDI-40EC”は「CXDI-40C」(2003年12月発売)の後継機種で、従来機種で定評のある高感度センサーを継承しつつ、汎用インターフェースを新たに搭載することで、機器の拡張性を強化したモデルです。
これらの新製品の市場投入により、キヤノンの医療用X線デジタル撮影装置のラインアップは、ほぼすべての機種において、汎用インターフェースを搭載するとともに、最新の医療情報通信規格に対応することになります。また、有効撮影範囲が43×43cmの据え置きタイプと同35×43cmのポータブルタイプのいずれにおいても、センサー感度の異なる2モデルがそろうことになり、医療機関の規模や用途に合わせて最適な機器の提供が可能になります。
キヤノンは、今後も医療用X線デジタル撮影装置の性能強化とラインアップの拡充を図ることで、さらなる市場拡大を目指すとともに、医療機関における業務の効率化に貢献して行きたいと考えています。