私たちが暮らすこの世界は、不思議な程に全てのものごとや事柄がつながっている。そして私は写真を続ける中で、気が付くと「あかるいところ」に向かって行った。しかもそのつながっている世界は、タテではなくヨコにつながっている。よって今回の写真展では、常に地平線あるいは水平線が見える写真を展示している。そしてそれらをひとつの線上に並べてみたかった。恐らくそれらの写真群が、全ての存在は同一線上に存在していることを、明らかにしてくれるはずである。しかもその世界は限りなく「あかるいところ」で、その場所は「あたたかいところ」であることを期待している。
■展示概要
銀塩、デジタルほか、さまざまな手法で撮影された写真が、キヤノンラージフォーマットプリンター imagePROGRAF W8200でプリントされ、キヤノンサロン Sの広い空間にパノラミックに展開されます。
また今回の展示では、菅原氏が近年精魂を傾けて取り組んでいる湿板※作品の展示も行います。最新の技術によるインクジェットの大判プリント作品と、写真の最も古い技法をベースとするプリントの競演です。
※湿板=「Wet Collodion Process」について
日本に初めて渡来した写真の技法のひとつで、一般的には「湿板写真」といわれています。
硝子板にコロジオン溶液を塗布し、硝酸銀に浸すことによって感光性を持ちますが、最大の特徴は、紫外線に反応すること。菅原氏は硝子板そのもので成立する 「Ambrotype(アンブロタイプ)」という方法で作品を制作。極めてコントラストの低いネガ板はプリントには適さないため、硝子板をスキャンして、プリントにとって適正なコントラストを作り上げ、インクジェットプリンターで出力しています。
この古典技法と最新の技術の融合によって生まれる世界は、まだまだ可能性を秘めていると思われます。