ニュースリリース

2004年6月22日

白内障治療用挿入器具一体型眼内レンズの新モデル
非球面眼内レンズを搭載した "プリセットIOLシステム KS-3Ai" を発売



キヤノン販売株式会社(社長:村瀬治男)は、眼内レンズ(IOL)と挿入器具を一体化したキヤノンスター株式会社(社長:デイビッド・ベイリー)製プリセットIOLシステムの新モデルで、非球面眼内レンズを搭載した "プリセットIOLシステム KS-3Ai" を7月1日から発売します。

プリセットIOLシステム KS-3Ai
プリセットIOLシステム KS-3Ai

プリセットIOLシステム KS-3Ai‥‥価格(税別) 10万円(発売日:7月1日)

この件に関するお問い合わせ先

キヤノン販売株式会社 医療機販売推進課
TEL 03-3740-3423



高齢化社会が進む中で、カメラのレンズに相当する眼球の水晶体が、老化などの理由により混濁して視力が低下する白内障患者が徐々に増えてきています。白内障は薬物による治療が困難なため、手術による治療が一般的であり、眼内レンズは混濁した水晶体を人工的に置換し、視力を回復する医療機器として重要な役割を担っています。最近の白内障手術では、硬質製プラスチックの眼内レンズより、折り畳んで挿入することができ、わずか3mm程度の小さな切開で手術することが可能な軟性素材の眼内レンズが多く使用されています。しかしながら、手術中という迅速かつ正確な操作が求められる環境のなかで、眼内レンズを容器から取り出し、挿入器具に装填して、折り畳んで挿入するという複雑な操作は医師にとって大きな負担となっていました。

このような負担を解消するために一昨年発売された「プリセットIOLシステム KS-1」は、軟性素材の眼内レンズ(光学部径5.5mm)があらかじめ挿入器具に装填され、これまでのような複雑な操作がなくなり、手術における負担を大幅に軽減しました。また昨年には、「KS-1」の簡便な操作感をそのままに、眼科医の間で多く使用されている光学部径6.0mm、光学部辺縁形状にシャープエッジデザインを採用した眼内レンズが装填された「KS-3」を発売しました。

今回発売される "KS-3Ai" は、「KS-3」と同様6.0mmの光学部径と、シャープエッジデザインの採用に加え、光学部前面に非球面形状を採用した眼内レンズが装填されています。光学部前面を非球面とすることにより、「KS-3」と比較して球面収差を減少させ、光学部の薄さと小型化を達成しています。また従来と同様に眼内レンズを外気に全く触れることなく、直接眼内へ挿入できるので、より清潔な状態で手術を行うことが可能です。さらには使い捨てタイプなので、使用後の挿入器具をそのまま廃棄でき、医療施設内での挿入器具の洗浄、滅菌などの作業が不要です。また、小さな切開から眼内レンズを挿入することができ、無縫合手術など、手術時間の大幅な短縮が可能です。

"KS-3Ai" はこれからの医療で重要視されている「QOL(Quality of Life:生活の質)の向上」というコンセプトに沿った製品で、白内障手術を実施している多くの眼科医療機関での採用がおおいに期待されています。

【市場動向】

2003年の眼内レンズの国内市場規模は、メーカー出荷枚数で合計89万5千枚です。そのうち軟性素材の眼内レンズは近年急増しており、66万6千枚と全体の約74%を占めています。(眼内レンズ協会調べ)

【開発の背景】

キヤノンスター株式会社は1989年創立、日本で最初に軟性素材の眼内レンズの医療用具承認を取得して以来、一貫して軟性素材の眼内レンズと挿入器具の開発・製造に取り組んできました。使い捨ての挿入器具なども含め、軟性素材の眼内レンズ市場において確固たる地位を築き、多くの医師の方々に支持を得てきました。2002年には軟性素材の眼内レンズ挿入時の複雑な操作を排除し、手術医がレンズに触れることなく直接眼内へ挿入できるシステムを開発しました。今回、光学部前面に非球面形状を採用した眼内レンズを開発し、プリセットIOLシステムとして製品化しました。軟性素材の眼内レンズのパイオニアとして、またキヤノングループの医療関連企業として、キヤノンの光学技術を結集し、さらなる製品開発をしていきます。
このページのトップへ
戻る