タブレット端末を活用してPDFに直接記入してもらうことで 紙ベースでの運用の課題を払拭し保全業務の全体最適化を実現第一生命保険株式会社
業種:保険業 | 従業員数(連結):55,725名(※2019年9月末現在) |
成果:コスト削減・業務効率向上・製品/サービスの強化
「一生涯のパートナー」をグループミッションに変革を続ける第一生命保険株式会社
1902年の創業以来、お客さま本位(お客さま第一)を経営の基本理念に据え、生命保険事業を行うのが第一生命保険株式会社です。
保全業務において、紙をベースとした運用が大きな業務負荷につながっていた同社では、名義変更や保険料の払い込み方法変更など手続き上使用頻度の高い帳票を中心にデジタル化を推進。タブレットを使用し、画面上のPDFに直接記入してもらうことで業務プロセスの最適化を図りました。
(掲載:2021年3月)
01 導入背景紙ベースの運用ゆえのさまざまな課題が業務負荷として重くのしかかっていた
働き方改革が進む中、保険業界にあってもいかに業務全体のプロセスを効率化し、生産性を高めていくかが最重要課題の一つとなっています。そんな中、名義変更や保険料の払い込み方法の変更など契約内容に変更が発生した場合にアフターフォローを行う保全業務のワークフローをデジタル化・自動化し、業務プロセスの全体最適化に踏み切ったのが第一生命です。谷氏が語ります。「従来の紙ベースでの運用においては、記入漏れ、記入ミスなどの書類上の不備やデータエントリーに係るコストや手間、データ反映までのタイムラグ、保管・管理上のリスクといった課題がありました。そこで、帳票の電子化を本格的に検討し始めまた」。
大きな業務負荷となっていたOCRやパンチ入力
第一生命では、医療機関や公共機関など外部機関から入手する紙の他に、保険契約者に自ら記入していただかなければならないオリジナルの書類が数多く残っており、OCRやパンチ入力処理も大きな負荷となっていたのです。
02 選定理由多くのベンダーの中から総合的な判断でキヤノンに対応を依頼
タブレットからPDFに手書き入力できる画期的なシステム
谷氏が続けます。「紙ベースでの運用によって生じていたさまざまな課題を払拭するために、帳票を電子化するという方針を固めた後、具体的にどのような形で進めていくか、当社では多角的な観点から検討を重ねました。電子化するには大きなシステムの切り替えが必要となり、移行にともなう営業教育や新しいものに苦手意識を持つお客さまへの対応も不可欠でした。総合的な判断から選択に至ったのが、従来の帳票のイメージを踏襲しつつ、タブレット端末と電子ペンでPDF上に直接手書きのサインや文字入力ができるスカイコム社の『SkyPDFペーパーレス/電子サインソリューション』を活用したキヤノンからの提案です。
パートナーには長年の信頼関係にあるキヤノンを選定
キヤノンとは長年に渡り、Form Managerという画期的な帳票オーバーレイ印刷での出力環境の最適化で連携をしてきました。デジタル化を推進するとはいえ、今後もすべてが移行することはないと思いますし、ドキュメントで実績があり、技術やノウハウ、業務領域なども総合的に判断してキヤノンに委ねるのが最適だと考えたのです。約200帳票と、電子化対象の帳票が多い上に当社内の他システムとも連動しなければならないため多くの課題が発生しましたが、スピーディーかつきめ細やかに対処いただけました」。
03 導入後の成果入力負担軽減や手続き時間の短縮など社内外からの反響に手応え
帳票内の各項目を部品化できる
紙の帳票を単にそのままデジタル化するのではなく、業務の流れに応じて帳票内の項目を部品化して作成・管理できるため、お客さまはタブレット上で部品化された項目ごとにサインや文字入力をしてストレスなく手続きを進めていくことが可能に。「お客さまからは、機械は苦手だけど使ってみると意外とわかりやすい、ストレスなくスムーズに手続きできるといった声をいただいており、使用感のよいしくみが構築できたと手応えを感じています。間違いがあってもその場で修正でき、署名すればその場で手続きが完了することからお客さまの入力負担軽減や手続き時間の短縮につながり、他にも後続業務の効率化やデータエントリーの手間やコストの削減、データ反映までのタイムラグの縮小など、さまざまな効果が期待されています」。
約90%という認識率もスムーズな処理に貢献
相馬氏が語ります。「書き心地の良さもさることながら、OCRによる手書き文字の認識率の高さに驚いています。多少乱暴に書いてもほぼ間違いなく認識でき、スムーズな手続きが実現できています。間違いが許されないので、しっかり点検も必要ですし、以前は各拠点の内勤スタッフの多くが入力作業に従事していましたが、業務効率アップにともない、他の業務に時間を避けるようになりました」。
04 今後の展開稼働後の状況も見つつ他の手続きもデジタル化の見込み
『SkyPDFペーパーレス/電子サインソリューション』の導入により、保全業務の業務プロセスの全体最適化を進める同社。最後に、今後の展望について伺いました。
今回の成功を受け、他の手続きもデジタル化を加速
「まずはとっかかりとして、保全手続きの中でも特に頻度の高い名義変更や保険料の払込方変更、代理請求特約異動という3つの手続きについてデジタル化を図っていきましたが、今後は稼働後の状況も見つつ、他の手続きもデジタル化する見込みです。タブレットは対面が基本にはなりますが、手続き時間の短縮にも寄与するしくみなのでお客さまと接触する時間を極力短くできるという意味ではコロナ禍においても力を発揮しています」と谷氏。また相馬氏は「これから何をしていこうかは、只今検討中です。今回は生涯設計デザイナーを通じた顧客サービス向上の取り組みですが、今後はそれだけでなく、各チャネル、接点においてカスタマーファーストを実践していきたいと思っています」。革新的な取り組みで業界を牽引し続ける同社の動きに要注目です。
第一生命保険株式会社
- 創立:1902年9月15日
- 所在地:日比谷本社 東京都千代田区有楽町1-13-1
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本記事は取材時(2020年10月)のものです