「旅する喫茶」が出逢った、水と果実と白壁のまち「うきは」EOS R8×UKIHA(福岡県うきは市)



Photo:Ryo Aizawa

仕事や趣味、遊びのボーダーを軽やかに飛び越え、人生を愛(いと)しんでいる人を紹介する「itoshino」。この企画では、全国各地で「好き」をかたちにしている人のもとへitoshino編集部が訪問。その活動やライフスタイルをお伝えします。
今回登場するのは、ノスタルジックな喫茶メニューの写真がSNSで話題になっている「旅する喫茶」です。日本各地を旅しながらオリジナルのクリームソーダとカレーを作る活動を続けてきた彼らが、東京・高円寺の喫茶店に続いて、2023年9月、福岡県うきは市に「旅する喫茶うきは」をオープン。店長のyamato(渡辺委)さんを訪ねて、フォトグラファー・相沢亮さんと旅に出ました。EOS R8で撮影した写真とともにご覧ください。

プロフィール

yamato
株式会社旅する喫茶がプロデュースする2店舗目の「旅する喫茶うきは」店長。旅する喫茶のメンバーとして地方を旅しながら活動。東京・高円寺の店舗では地方の食材やフルーツを使用したドリンクやスイーツの考案などを担当。フォトグラファーとしての一面も。
「旅する喫茶うきは」は、喫茶店のみ先行オープン。宿泊施設は準備中(2023年9月29日現在)。詳細は、HPやSNSでご確認ください。
旅する喫茶うきはHP
X(旧Twitter):@tabisurukissa_u
Instagram:@tabisurukissa_ukiha

大正期から続く白壁の街並み

福岡空港から太宰府方面へクルマを走らせ約45分。福岡県南東部に位置する人口約2万7000人の街、うきは市に到着しました。市の南部には耳納連山、北部には筑後川が流れ、平野部には水田や小麦畑が広がっています。じつにのどか! 「フルーツ王国」とも呼ばれるうきは市は、山の麓には果樹園が広がり、年間を通じてさまざまなフルーツが楽しめます。ここで泊まれる喫茶店を準備しているyamatoさんを訪ね、街の中心部に向かいました。

うきは市の中心部、筑後吉井地区には美しい白壁の街並みが軒を連ねています。江戸時代に宿場町として栄え、江戸中期以降は精蝋、酒蔵、製油などの製造で大いに栄えたそうです。大正期には有力商人が屋敷を構え、ほぼ現在の町並みができあがりました。1996年には重要伝統的建造物群保存地区に選定され、観光スポットとしても人気です。

「旅する喫茶うきは」が店を構えたのは、白壁の街並みのメインストリート。大正時代に建てられ築100年も経とうかという古民家の雰囲気を生かしつつ、水回りを中心にリノベーションしたアジのある建物です。

旅する喫茶うきはの店長・yamatoさんに、うきは市を選んだ理由をうかがうと、「まずはこの物件の魅力に惹かれました。長く東京で暮らしていて、この物件に出会う前はうきは市のことを知りませんでしたが、移住してみたら居心地がよすぎて。自分でも驚くほど快適に暮らしています」(yamatoさん)とのこと。

時が止まったような、どこかなつかしい空間。一歩足を踏み入れれば、誰もが「懐かしい」と感じるレトロ感でいっぱいです。フルリノベーションではなく、できるだけそのままの内装を活用。1階は厨房と喫茶店、2階にベッドルームを設定しています。宿泊は1組、最大8名まで対応。広い建物の奥にはロウリュが楽しめる本格的なサウナルームを併設しています。

「茜色のクリームソーダ」と「旅する喫茶のチキンカレー、うきは産フルーツビネガーのポークビンダルーの2種盛り」

スタッフが旅をしながらカレーやクリームソーダを各地で提供してきた「旅する喫茶」が、うきはに店を作った理由をyamatoさんに聞くと、「たまたまこの街に行き着いたのですが、実際に住んでみたらとてもいい場所でした。本当に引き寄せられるように。『旅する喫茶うきは』は、旅を続ける僕たちの活動の中では“旅の拠点”として位置づけています。ここから足を延ばしてまた遠くの街へ。そんな拠点を今後も全国に広げていけたらいいですね」

蛇口をひねれば、おいしい天然水! うきはの魅力探訪

「たまたま移り住んだ街が、いい街だった」。そんなyamatoさんの言葉に触発されて、うきは市内をもっと見てみたくなりました。正直、ツーリストが押しよせるような有名観光地ではありません。でも、そこが魅力のはず。定住者目線でじっくり歩いてみたくなりました。まずは街の全体を眺めてみたくて、山の中腹にある神社に向かいました。

耳納連山の山腹に鎮座する浮羽稲荷神社。約300段の階段を登り切ると、この風景。約90基も連なる鳥居の向こうに市内を一望できます。奥には筑後川の流れも。山肌を滑るような心地よい風が吹き、深呼吸したくなる風景に出会いました。外国人観光客の映えスポットとしても近年密かな人気だそうです。

うきは市は豊富な地下水や天然水で知られる名水の里。驚くことに、うきは市には〈上水道〉がありません。家庭の蛇口をひねれば井戸から汲み上げた良質な天然水が出てくるのです。そして、この水がじつにおいしい。都会の水道水に慣れた舌がびっくりしてしまいました。

こちら「清水湧水(しみずゆうすい)」は、臨済宗清水寺の境内にこんこんと湧く水源地。古くから“命の水”として住民から愛されてきました。

名水の里だから、やっぱりいい滝もあります。市内で有名なのは、市内から八女市星野村に向かう途中の山間部にある「調音の滝」。約27mの高さから流れ落ちる水の音が、天然のメロディーを奏でるように聞こえることから名付けられたそうです。

「フルーツ王国」と呼ばれるほど果樹園が多いうきは市なのですが、豊富な天然水をふんだんに利用できるからなのです。

スイーツとフルーツの王国、うきは!

うきはの白壁の街並みを歩いていると、古い家を改装したスイーツ店があちこちに見つかります。新鮮なフルーツや理想の食材が手に入りやすい環境を求めるパティシエやシェフが腕を振るう店が次々に誕生しているのだとか。

「フルーツ王国」というだけあって、うきは市では年間を通じてフルーツの収穫が途絶えることがありません。年初のイチゴに始まり、初夏のモモやブルーベリー、盛夏にはブドウやナシ、秋には柿など。大評判のフルーツがどんなふうに栽培されているのか知りたくなって、果樹園を訪ねてみました。

フルーツ農家・綾部勝志さんの果樹園を訪ねると、ちょうど「早乙女」というモモの収穫時期でした。やや小ぶりで酸味があり、しっかり糖度もあるモモで、果肉は白くてジューシー。樹上で成熟を待ちますが、2日ほど収穫が遅れると熟しすぎて出荷できなくなるそうです。食べごろを見極めて出荷される綾部さんのフルーツは、地元の「道の駅」などで直販されていて、「綾部さんのモモ」と指名買いするファンも多いとか。

「旅する喫茶うきは」のyamatoさんと、フルーツ農園の綾部さん。お引き合わせしてしまいました。地元食材を使ったスイーツを提供する「旅する喫茶」と生産者さんのコラボが生まれるかも! 撮影の帰りに、採れたてのモモをお土産にいただきました。

「綾部さんのフルーツを使ったスイーツメニュー、考案してみたいですね」(yamatoさん)ということで、さっそくキッチンに持ち帰ってもらいました。

フルーツ農園の綾部さんが手塩に掛けて育てたモモを使って、yamatoさんがクリームソーダ作りにトライ。できあがったのがこちら、丸ごと果肉を凍らせた定番メニュー「丸ごと桃のクリームソーダ」のアレンジバージョンです。本日限定の特別メニュー。収穫したてのモモの果肉をそのままグラスにアレンジし、シロップも薄いピンクでかわいい!

「旅する喫茶」がうきは市にやってきて、おいしい天然水に出会い、その水で育ったフルーツを使ったメニューで旅人たちをおもてなしする。地方の魅力を発信し、地域と人をつなげる「旅する喫茶」の試みをかたちにした、まさにフルーツ王国うきはの魅力をギュッと閉じ込めたクリームソーダです。

取材旅行の最後にいただいたこの一杯には、うきはのおいしい天然水、フルーツ、旅する喫茶の魅力が、全部入っているような気がしました。

EOS R8で切りとる旅の終わりに。

今回旅の撮影を担当してくれたフォトグラファー・相沢亮さんに、EOS R8の印象を聞きました。

「とても軽いというのが第一印象です。カメラを持っている気がしないくらいなので、旅の撮影には向いていると思いました。風景に向き合う姿勢も変わりそうです。とくにスナップや動画撮影では、RFレンズの手ブレ補正が役立ちました。フルサイズなのでボケを生かした表現もしやすいですし、いろんなバリエーションがあるRFレンズと組み合わせて、スナップや風景、人物の撮影にも使えますね」

最後に、うきは市に移り住んだyamatoさんや、この街を撮影した感想をうかがいました。

「yamatoさんとぼくとは、ほぼ同世代。東京から思い切った移住をするなんて単純にすごいなと思ったのと、こちらで頑張っている姿を見て応援したくなりました。うきはの自然環境や農園を訪ねてみると、地産地消にこだわる飲食店をこの街で開業したい理由もよくわかりました。『だからyamatoさんはうきは市を選んだ』とわかる旅になりました」

相沢亮
2020年より東京を拠点にフォトグラファー、ライター、インタビュアーとして活動中。企業案件や広告撮影、雑誌への寄稿・執筆等活動の幅を広げる。2021年2月に写真家としてのインタビュー記事が朝日新聞WEBメディア「withnews」およびYahoo! JAPANで公開される。2022年3月に単著『日常のフォトグラフィ』を出版。

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