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ロードバイク女子bekiさんに聞く、自転車で行く冒険の旅の魅力

公開日:2022年9月2日

最終更新日:2022年9月26日

Photo : beki

こぼれる笑顔で、エネルギッシュに各地をロードバイクで駆け巡るロードバイク女子のbekiさん。家族で旅行となれば、幼い娘さんにまで「ママはどうする? 自転車で行く?」と聞かれる家族公認の自転車好きです。歴は10年以上、今では24時間数百キロのコースを走る「ブルベ」という競技に出場することも。「お腹を減らして、自分の力だけで遠くまでいく達成感を感じるのが好き」と話し、どれだけ過酷な長いコースを走っていても、ゴールが見えてくると名残惜しさを感じるという彼女に、その感動と魅力についてお聞きしました。

プロフィール

beki(べき)

ロードバイク女子。2010年よりロードバイクに乗り始め、グルメライドやブルベなどを楽しむ。サイクルジャージオタク。現在は女性アスリート支援プロジェクト<ANGEL project>に所属し、eスポーツbikeの大会<Moving>などにも出場。

冒険に行こう、自転車に乗って

自転車にまたがればいつでも、どこへでも行ける。隣の街でも県でも、海を越えたあの島へもすぐに冒険を始めることができる。そう、ロードバイクは私の求める冒険にピッタリなのです。

ロードバイクに乗り始めて10年以上。すっかり冒険の相棒になりましたが、その始まりはほんのりビタースイートな記憶として思い出されます。

はじめて自転車でロングライドしたのは、大学の合格発表の日のこと。土地勘もないのに、約40キロ離れた大学までシティーサイクル(ママチャリ)で向かおうとなぜか突然思い立ったのです。今思えば、人生の大きな岐路に立ち、異様にテンションが上がっていたんでしょうね(笑)。

その当時、自転車に乗っての移動はおよそ5キロ圏内(徒歩で1時間ほどの範囲)が限界。スマートフォンもありませんでしたから、頼りになるのは大学までつながる私鉄の線路だけ。線路沿いを走り、線路が分断されたり見失ったりしたら人に道を尋ねて進む。たまに迷子になったりしながらも、とにかく知らない土地を走り続ける「冒険」がとっても楽しくて。道中、ペダルを漕ぎながら、じんわりと感動もしていました。

5、6時間かけて無事大学に到着し、達成感いっぱいで探した自分の受験番号。なんと結果は不合格(笑)。「これだけ頑張ったのに……」というやるせなさ、日が暮れて暗くなる街並み、全身は疲れ自転車のペダルを漕ぐ足も重くて泣きそうになった、私のロングライドのデビュー戦。結果は残念でしたが、「自分の力だけでどこか遠くへ行くワクワク感」がたまらず、自転車で遠くにいく楽しさを私は知ったのです。

その後、知人たちとサイクリングのメッカである糸島(福岡県)に行った際、私以外全員がロードバイクで集合し、自転車で小旅行をする機会に恵まれました(私だけが小径車でした……)。そのアップダウンのあるコースにも関わらず、ロードバイクに乗る仲間たちはスイスイ進んでいきます。その小回りのよさや速さ、軽さを体感。仲間のスマートなサイクリングを見て、決心! 当時まだロードバイクが流行っていない中、知識ゼロでいきなり30万円のものを選ぶのは、なかなかレアなことかもしれません。けれども、迷いはほぼ全くありませんでした。

購入したのはTrekのMADONE(マドン)4.5。その当時出たばかりの車種で「このあたりじゃ誰もまだ乗ってないよ」とスタッフさんに言われたこと、そして白いベースに水色と金色がのり、チューブ部分がゴールドで小洒落たデザインに一目惚れ! 購入から12年経った今は毎日の通勤の相棒として、今でも大事に乗り続けています。

現在は2代目(意図せずもまたTrek! こちらはMADONE9の車種です)と乗り分け、こちらは遠征用の、オリジナルデザインのホイールでカスタマイズした世界で私だけの一台です。マビックから販売されていた、「ツール・ド・フランス」にインスパイアされた特別デザインのホイールを参考に、大好きな北欧の街並みのなかに、これまた大好きなムーミン一家の家やキャラクターをイメージしてデザインしました。

オリジナルホイールの制作期間はおよそ半年。オールカスタマイズとなると時間も手間もかかりますし、オーダーする自転車屋さんとの信頼関係も必要だし、それにさまざまな都合もあるので、なかなか簡単にできることじゃないようなのですが、たまたまいろいろなご縁が重なって! 

すごく目立つデザインなので「このホイールどこで買ったの?」とほぼ100%の確率で聞かれます。その度に「褒めてもらった!」と嬉しくなりますね。「うちの子かわいいでしょ?」と(笑)。

ロードバイクの旅は、お気に入りのサイクルウェアで

自転車の楽しみ方は案外幅広いものです。レースに出場する本格派、山や峠を登るヒルクライム派、カフェ巡りなどのんびりと散歩するように走るポタリング派(サイクリング)……。

そもそもポタリングから始めた私は何を隠そう100着以上のサイクルジャージやヘルメット、アイウェアを所有する「ウェアマニア」でもあります(笑)。目的地の景色に合わせたり、気分に合わせたりしてどれを着ようか考えることが楽しくて。コーディネートから私のツーリングは始まっているのです。

ひまわり畑へのライドであれば、ひまわり畑に合う黄色やオレンジなどの同系色のラインが入ったサイクルジャージと、反対色で際立つカラーリングの青いヘルメットを合わせてみる。海に行くならば白い爽やかなスタイリングで。「今日はこの格好で写真を撮って思い出を作るぞ!」ってすごく気分が上がるんです。

写真を撮るときはもちろん愛車と一緒に。自転車にもやっぱり一番綺麗に見えるとされる角度があるものです。それはクランクと呼ばれるペダルの軸になる部分がカメラに対して正面位置にあること。それからペダルは、自転車のフレームに対して決まった向きに何十度か曲げること。画像のように2パターンがあり、それぞれ乗り手の好みによりますね。

ペダルがシートチューブに対して真っ直ぐのポジショニング
ペダルがチューンステイに対して真っ直ぐのポジショニング

自転車がある、だから今の私と仲間がいる

ある程度自転車にも慣れ、ポタリング以上の冒険がしたいな、と思った頃に仲間が教えてくれたのが「ブルベ」という、制限時間内で定められたルートを通って完走を目指し認定をもらう長距離の自転車競技でした。一番短い距離で200キロ、そして300、400、600キロを走破するもので、主催者の「ここを巡ってほしい」という想いの詰まったルートを走らせてもらえるのが魅力です。

最近では、24時間360キロ以上のコースをチームで走る「フレッシュ」というスタイルのブルベに出場。小倉駅(福岡県)をスタート地点とし、大分県に向かって走った後は佐賀関から、国道九四フェリーに乗り愛媛県の佐田岬半島へ。そこから松山へ走り、しまなみ街道を抜けた先、三原(広島県)がゴール。朝日とともに走り出し、自転車でかけながら夕日を見て、一晩走り続け、おだやかな瀬戸内海を前に朝焼けをむかえる……。自分ひとりでは走り得なかっただろう道のりを思い、ロードバイクとの出会いがあったからこそ今日がある、と愛車への感謝もひとしおでした。

初めてブルベに出場した時もそうでしたが、自転車に乗っているとき、ゴールが近づくにつれて安心感よりも「もう終わってしまうんだ」という寂しさと、「まだまだ乗っていたいな」と思う名残惜しさが勝るものです。いつまでも、ただ乗っていたい。その気持ちがいつだって強くて。

いつもだったら仕事をしていたり、夕食の準備をしていたりするのに、今日は特別に自転車にずっと乗っていられるという幸せ。日常の一切を忘れて自分が本当に好きなことにひたすら向き合える。自分の人生にロードバイクが与えてくれた恩恵は数え切れません。

あまりにも自転車に乗っていることが好きなので、家族旅行でも家族は車で、私だけ愛車で現地入りすることも。出発前、娘からも当然のように「ママはどうする? 自転車で行く?」と聞かれるのもご愛嬌(笑)。先日は突然「そんなに自転車が好きなら、ママが死んだ時に自転車を棺桶に入れてあげるね」と娘なりの優しさを感じることも。「娘のことも大好きだよ!」と精一杯伝えつつも、バランスだな、としみじみ思います。

それほどまでに私の人生と切り離せないロードバイクは、まさに私の体の延長ともいえる存在。「人馬一体」とは言ったものです。自転車は私の第二の足。これからも家族に、仲間に、愛車に感謝しながら、自分の体力を使いお腹を減らして自力で遠くまで行くことの達成感を感じ続けたいですね。

好きをかたちにするヒント

ロードバイクで出かけた日を写真に残そう

好きなものを飾ったり、写真に残したり、アルバムにしたり。あなたの「好き」をかたちにするアイデアをご紹介します。

旅先で見つけた景色を撮る

自転車で遠くに出かけた先で見つけた景色は特別なもの。サイクリング中のスナップフォトの撮り方のコツを参考に、思い出に残るすてきな一枚を撮影してみてくださいね。

大切な愛車をフォトジェニックに記録する

パーツにぐっと近寄って撮影しても、フォトジェニックに写せるロードバイク。撮り方のテクニックを見て、大切な愛車の姿を細部まで写真に記録してみませんか。

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ロードバイク女子bekiさんに聞く、自転車で行く冒険の旅の魅力
https://personal.canon.jp/articles/life-style/itoshino/list/roadbike
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https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/roadbike/image/roadbike-thumb.jpg?la=ja-JP&hash=E0F0904A04288891AE80028002329C01
2022-09-02