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28年間カボチャを食べ続ける、カボチャ専門店店主の絶対的使命とは。

公開日:2022年9月2日

最終更新日:2022年9月26日

Photo:Masayo Miyamoto

カボチャは主食。1日3食カボチャ。しかも仕事はカボチャ専門店の店主。日々、旬のカボチャを追いかけ、味わい、カボチャスイーツへと昇華している宮本さんのカボチャ好きはまさに留まることを知りません。公私ともにカボチャのことを考え、カボチャのために生きると言い切っても過言ではありません! 街のケーキ屋からカボチャ専門店へと舵を大きくきったとき、一時は経営困難に陥るもカボチャの可能性を絶対的に信じてここまでやってきました。なにが彼女をそこまでさせるのか? カボチャの秘めるポテンシャル、魅力をお聞きしました。

プロフィール

宮本雅代(みやもと・まさよ)

カボチャ専門店「カボチャ」店主。一人暮らしをはじめて以来28年間毎日カボチャを食べ続け、今ではカボチャスイーツの研究に昼夜勤しむ。夢は「焼きカボチャ屋」、「カボチャのフルコース料理店」。

実家のカボチャの煮物が私を育ててくれた

実家を出て28年、カボチャを食卓に欠かすことはありません。カボチャカレーに納豆カボチャ、カボチャ親子丼、カボチャメンチカツ、カボチャ海苔巻き、カボチャハンバーグ、肉巻きカボチャ、カボチャ入り卵焼き……。人から見れば驚くものでしょうが、私にとってカボチャはもはや主食。みなさんにとっての白米やパン、パスタなどとなんら変わりないのです。

地元はカボチャの産地などではありませんでしたが、おばあちゃんと同居していたことからよく実家ではカボチャの煮物が食卓に並びました。それがすごく好きだったんです。おやつじゃないのに甘くて美味しいごはんのおかず! 連日のように、私とおばあちゃんの二人が完食していました。

しかも腹持ちも良い。結構な量を食べていましたから、白米もいらない。実家なので白米もまあ食べさせられましたけど(笑)、でもカボチャがあるから必要ないなと幼心に思っていたものです。

私の華麗なるカボチャライフがさらに充実したのは19歳で実家を出てから。好きなものを好きな時に食べられる。お金はなくともカボチャを丸々一つ買えば、そこそこの量でお腹も満たされる。これで結構いけるんじゃないかな? と。でも自炊できるレパートリーはまだまだそこまでありません。秋になればコンビニにカボチャプリンがちらほら並びはじめたくらいの時代で、カボチャをアレンジするだけのアイデアはまだ十分見つけられていなかったんです。

ですが、そこでついに出会ってしまうのです。私が「聖地」と呼ぶ、カボチャの専門店に。当時原宿にあったそのお店は残念ながら閉店してしまいましたが、そこで食べた味は私の中で永遠に生き続けています。そのお店はカボチャを和風だけではなく、洋風や中華仕立てなどフルコースで味わわせてくれる夢のような場所でした。お店もすごく繁盛していて「なんだ、やっぱりみんなカボチャ好きなんじゃん!」とどこか誇らしげな気持ちになったのを今でも覚えています(笑)。

そこで出会ったのが、圧巻のカボチャピザ! カボチャを真横に半切りして生地の代わりにした、それ以外はトマトソースにチーズにとなんの変哲もないピザですがこれがとんでもなく美味しくて! ガーンと頭を殴られたくらい衝撃を受けました。全然同じものを食べられるので、今でもそのレシピで3食食べちゃうこともあります。本当に大好き。全然食べ飽きないですね。

カボチャスイーツのお店「カボチャ(三軒茶屋)」、とうとう始めました

好きで好きでしょうがない。「いつかこの食材は絶対にブームがくる!」と一念発起し、三軒茶屋にカボチャの専門店「カボチャ」をオープンしたのは2006年のこと。経営上どうしてもショートケーキなど普通の焼き菓子も売っていたんですけれども、なんだか煮え切らなくて。「自分がやりたいのは、カボチャのお店なのに!」と。そこで、あるときからスッパリとカボチャ一本に絞りました。

もちろん業績はガタ落ち。仲良しの常連さんからも「カボチャしかないの?」と言われたり、実家の母からも「もうわかったから安定した職に就いてちょうだい」と言われたり。それでも、なんでしょうね。「カボチャのブームは絶対にくるから!」と私は信じてやみませんでした。本当はみんなカボチャ大好きなんでしょ! って(笑)。

一般的に男性は「芋、栗、南京(カボチャ)」は得意じゃないって言いますが、そうでもないと思います。その証拠にうちの旦那がいます(笑)。もう道連れみたいなもので、毎日のようにカボチャを食べさせられていたからか、いまやもう毎晩のようにカボチャの新品種とかスイーツとかをパトロールしていますよ。もとはそんなに好きじゃなかったんだと思うんですけど。本人曰く「カボチャの美味しさを知った」とのこと。

食べきれないほど存在する、カボチャの品種!

カボチャと一口で言っても本当に多くの種類があります。ざっと200~300種類があるとか! 皮の厚さや味わい、硬さ、食感が全然違うのでぜひ食べ比べてほしいところです(カボチャって秋の野菜と思われていますが、本当は夏野菜なんですよ!)。

好きな品種はたくさんあるのですが、たとえば「くり将軍」なんかはまさに栗のようなホクホクとした食感がポイント。バナナに匹敵する糖度で、もうこれはどーんと丸焼きにして食べてほしいですね。焼いただけでもう十分。砂糖もなにも要りません。

「マロンドール」は割とあっさりめ、甘さ控えめ気分な方におすすめですし、「くりりん」は濃厚で甘みが強くてスイーツ向き。「えびすカボチャ」は、「ブラックのジョー」は、「くりまさる」は……ってどんどん出てきちゃうのですがそれはぜひお店でお話しさせてください(笑)。

カボチャの名前で不思議なのは「栗」に寄せた名前が多いこと。なんかみんな栗に寄せるんですよね。もっと自信をもてばいいのに! なんか表現しやすいのかもしれませんけどね。

あと案外知られていないんですけれども、カボチャにも蜜が含まれているんですよ。焼き芋とかみたいに。赤っぽいと言うか、真オレンジで艶っぽくて、ああもう、しゃべってるだけで涎がでてくる(笑)。

ああいうのは煮物とかにせず、そのままもう素焼きするだけで十分なんですよ。シンプルに、まさに焼き芋みたいにして食べてもらいたい。それだけでさつまいもとか栗とかに負けないくらい、いい勝負できると思うんですよねえ! 私に時間さえあれば「焼きカボチャ屋さん」、いつでもやるんですけど! 

その美味しさを逃さないようにするのが写真を撮る時のコツですね。いかに食べたくさせるか。美味しい気持ちにさせるか。色がよくわかるようにしていますが、私たちのお店「カボチャ」の店内はカボチャカラーのオレンジなのでその比較で撮ったりしています。それでいて自然な野菜の色みや、皮の黒緑っぽさ、ツヤっぽさが消えないように! 

撮っているとね、また食べたくなるんですよ(笑)。

皮まで愛して、カボチャプリン

煮物だとみなさん食べるのでしょうが、案外残されがちなのがカボチャの皮。苦味はありますが、その部分が実は一番美味しい! と私は思っています。

そんなカボチャを皮ごと食べてほしくて生み出したのが当店イチオシの皮付きカボチャの焼きプリン。うちではその時々に手に入る、一番美味しい旬のカボチャでつくっています。なので味もちょっとずつ違います。ホクホク、しっとり。どうしても皮まで食べてほしくて、お出しする時に一言伝えたり、メープルシロップを添えたりしてますがなかなか……。

ここで声を大きくして伝えたいのが、皮の部分って(というかカボチャ自体もですが)栄養価が高い部分だってご存じですか? ぜひ調べてみてください。おかげで私は年中風邪知らず! 聞いたところによると、美肌効果にアンチエイジング効果、ビタミンCも食物繊維もたっぷり。なのにカロリーは控えめなんですよ! あー、もっとカボチャの魅力知ってほしい(笑)。

本当にわたしにとって、カボチャって人生を捧げてしまっているものなので。どうしてもみんなにその魅力を知ってほしいと思ってしまうんですね。それで生活してるって言うのもあるんですが。そもそも食べる、って側面からすれば私の主食でもあるので。なくなったら困りますよね。

まさか専門店をやるとまでは思っていませんでしたが、こうやってカボチャの専門店でどうにかやっていけてるのはなかなかラッキー。たまにカボチャラバーの方が来てくれるのもうれしいです。けれども、バナナがスーパーから一時期消えたような社会現象にはなかなかならないんですよね。そこまでいきたいものです。その使命感でね、この先もやっていきたいですよね。

レシピだってガンガン教えますし。弟子、いつでも募集しています。

好きをかたちにするヒント

カボチャスイーツをおうち喫茶で楽しもう

好きなものを飾ったり、写真に残したり、アルバムにしたり。あなたの「好き」をかたちにするアイデアをご紹介します。

手作りお菓子ができるまでを残してみよう

カボチャを使った手作りお菓子を作る時、そのプロセスを動画にしてみませんか?喫茶トラノコクがキヤノンのカメラで撮影したホットケーキができるまでの動画を参考に、チャレンジしてみてくださいね。

おうちで簡単に楽しめる!カボチャモチーフのディスプレイ

おうちカフェを楽しむ時や、友達を呼んでパーティーをする時は、お部屋の飾り付けにもこだわりたいところ。キヤノンのプリンターがあれば、かわいいカボチャのディスプレイを簡単に手作りできます。

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28年間カボチャを食べ続ける、カボチャ専門店店主の絶対的使命とは。
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