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きゅんがとまらない! ミニチュアフードの世界。

公開日:2022年6月24日

最終更新日:2022年11月25日

Photo : Reina Nozu

「小さくて丸くてかわいくて……もう『きゅん』がとまらないんです……!」と何度も繰り返しミニチュアフードの萌えポイントを語ってくださったのは、日本初のミニチュアフード団体を創設した野津礼奈さん。実際の料理過程では切り取ることのできない一瞬のシズル感をミニチュアフードで再現するのがたまらないのだとか。確立されたテクニックは未だなく、我流でどんどん世界を突き詰められるというミニチュアフードの世界、ぜひご堪能ください。

PROFILE

日本ミニチュアフード協会代表の野津礼奈さん
野津礼奈(のづ・れいな)

日本ミニチュアフード協会代表。ミニチュアフードが現在のように広く認知されるようになる以前から、我流でミニチュアフードを極める。日本をはじめニューヨークやパリなどでも展示、ワークショップを開催。

気づけば、ミニチュアフードとともに生きてきた

はじめてミニチュアフードを手にしたのは小学生のときのことでした。東急ハンズで一面に並ぶ食品サンプルを見て「いつか欲しい!」と胸をときめかせたものですが、ひとつ800円の代物は小学生にとってなかなか即決できる金額ではありません。なにせ本物のごはんを食べるのと同じくらいの値段ですから。

「今日こそ買うぞ!」と意気込んでお店に行ったはいいものの、結局「どうしよう、どうしよう」と迷って買わずに帰り、12時間ほど悩みに悩んで翌日いよいよ買ったのがとんかつのキーホルダーでした。ソースのとろっと感、お肉の断面図、サクサクした衣……。念願の自分のミニチュアフードに、「きゅん!」がとまりませんでした。

Artist: mitsu-Ki/SUN ju-ku
とんかつのキーホルダーの写真

それからは見つけてはできるだけ買って集め続ける日々。自分で作れると知ったのは20代に入ってからのこと。その当時、手作りしている人もいらっしゃったようですが私は存じ上げず、たまたま辺見えみりさんのブログで見かけたことをきっかけに、ついに自分でも作り始めたのでした。

あまりにも好きだったので、食品サンプルの会社に入社したいと探したこともありました。けれども求人は見つけられず……。それによく調べてみると、食品サンプルは型を使って成形するので、自分の手で好きな形をゼロからつくることとはまた別物だと知ったのです。

そうこうしながら企業に8年ほど勤めるかたわら「こんなに楽しいことだから好きな人が絶対にいっぱいいるはずだ!」との自信がいよいよ溢れ出し退職。今思えばなかなか無謀だったと思いますが、1年の準備期間を経て「日本ミニチュアフード協会」を立ち上げるに至ります。

立ち上げから現在に至るまでのべ2000名の方にミニチュアフードの作り方のレクチャー講座を受講いただき、いまではニューヨークやパリでも展示販売やワークショップをするまでに。本当にみなさんのおかげです。

ミニチュアフードに色を塗っている写真

協会を立ち上げてからも愛は深まり続け、ミニチュアフードに使用するミニチュア食器を自作するコースも設置しました。実際の陶器用粘土を使い、これまた実際の窯で素焼き、本焼きをして、釉薬(ゆうやく)も自分たちで調合。そうして手間をかけて作ったものは、ミニチュアフード用の粘土で作ったうつわと比べるとツヤが全然違うんですよね。

なんとなく優しい感じにもなる。愛情をもって作ったものはなんだか違う感じがしますね。

美味しそうなミニチュアフードを作るコツは「観察」にあり

もともと食べるのも、料理をすることも、食べものを眺めることも大好き。食べものにまつわるその全てが好きなんです。

ラーメンのミニチュアフードを指先に乗せた写真

消えものである食べ物に対して、ミニチュアフードであればずっと手元に残しておけますし、身につけることもできます。しかも料理であれば一連の流れがあって完成するまでほぼノンストップですが、ミニチュアフードならばたまらない一瞬を永遠に留めておくことができます。

クッキーがちょうど型抜きされる瞬間とか、ソースが「いままさにかかる!」という瞬間とか、ドリンクを注ぐまさにその瞬間とか。一瞬に動きが感じられると言いますか、「はあ! かわいい! きゅん!」がとまりません(笑)。何時間だって見ていられます。

ミニチュアのオーブントースターからミニチュアフードを取り出す様子の写真

美味しそうなミニチュフードを作るには「どうしてこれが美味しく感じられるんだろう」と観察を重ねていくといいと思います。たとえばフランスパンだったら、普段だったら見ないようなパンのお腹側(裏側)とか、触った感じの粉粉とした食感とか、断面図で見える気泡の入り具合とか。

身の回りにある食材すべてがミニチュアの素材になってくるので、美味しいご飯や食材を見ないと美味しそうな作品は作れないのかなと思いますね。

面白いことに「普段どんなものを食べているのか」が作品には如実に表れます。すごく美味しそうな作品を作る方はいいところのご飯を食べていらっしゃるし、生徒さんがご自分で言うように「スーパーのお惣菜しか食べないからスーパーで売っているお惣菜目指して作ります」というのもありますし。

同じパンを作っても、面白いほどにひとりひとり違う個性が見えてくるのも面白いところ。優しそうな人はふんわりしたパンを作りますし、逆に穏やかそうに見える方がシュッとしたものを作られたりすることもあって。丁寧なメールでご連絡くださる方であれば作品もすみずみまで細かく作ってあって。

ミニチュアのパンの写真

自分で作ることも楽しいのですが、それ以上にこうして人の作品を眺めて「この人こんな感じなんだー! どんなことを考えてこんなふうにしたのかな?」って考えるのがなにより興味深くて飽きません。たくさん見てきたので、作品を見れば、その人の人となりがわかるようにもなってきました。

おせち料理もウェディングケーキもミニチュアフードで

我が家のイベントごとでは、なにかとミニチュアフードが登場します。

自分たちの結婚式では、ウェディングケーキをミニチュアにしたケーキストッパーをのせたり、ミニチュアフードのようにマイクロミニな料理をみなさんに提供したり。

ウェディングケーキにミニチュアのウエディングケーキが乗った写真

お正月の年賀状には、ミニチュアフードのおせち料理の写真をのせています。ひと通りのラインナップで毎年ちょっとずつ手を加えて違う角度から撮ったものでバリエーションにしています。海老の顔の部分が曲者なんですよ。目の大きさとか位置で、ちょっと嘘っぽくなったりキャラクターっぽくなったりするので。

おせちのミニチュアの写真

毎年その年賀状を送っているんですが、あんまり反応はありません(笑)。みんな本物のおせちと思っているのかな。でもたまに「本物かと思ったら違った!」みたいなコメントがあると嬉しくなりますね。

私の人生にときめきを与えてくれる、ミニチュアフード

ミニチュアフードを作りながら野津さんがきゅんとした表情をしている写真

私がミニチュアフードを作るすべての原動力は「きゅん」です。自分の気持ちを表す、ときめきをくれるもの。自分の気持ちを表現してくれるもの。

ミニチュアフードを作ることだけじゃなくて、それを通じて生活が幸せになったり、新たなご縁に繋がっていったり。自分にはなくてはならないものです。

好きをかたちにするヒント

ミニチュアフードの作品を記録しよう

好きなものを飾ったり、写真に残したり、アルバムにしたり。あなたの「好き」をかたちにするアイデアをご紹介します。

ストーリーを感じるミニチュアの食卓を撮ってみよう

慌ただしい平日の朝をイメージしたミニチュアの食卓。左奥に見えるお弁当にストーリーを感じます。室内でのミニチュア撮影のコツを参考に、あなたの作品を写真に残してみて。

ミニチュアフードで食卓を再現した写真

どこでも気軽にプリントできる小型プリンターで、作品のグッズをつくってみよう

お気に入りのミニチュア作品をスクエアプリントやシールにしてみませんか。キヤノンの小型プリンターなら、いつでも気軽に作品をオシャレにプリントできます。

小型プリンターSELPHY SQUARE QX10で写真を印刷している様子の写真
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きゅんがとまらない! ミニチュアフードの世界。
https://personal.canon.jp/articles/life-style/itoshino/list/minifood
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https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/minifood/image/thumbnail-main.jpg?la=ja-JP&hash=8195497B38235D5A4878C794373AACCC
2022-06-24