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命を捨てずに、誰かにつなげたい。ドライフラワーを通じて伝えたいのは感謝とやさしい気持ち。

公開日:2021年1月25日

最終更新日:2021年8月25日

Photo : Hiroyuki Otaki,edenworks

季節ごとの空気感をまとう、鮮やかに染めあげられた花々。edenworksを主宰する篠崎恵美さんの手掛けるドライフラワーは花本来の美しさのまま、長く飾り続けるために構想されたプロダクト。その根底にあるのは、お花の大好きな篠崎さんのお母さん譲りの「命あるものを捨てることなく、大事にしたい」気持ち。お花を捨てない世界を目指して、篠崎さんが考えるお花とドライフラワーの慈しみ方をお伺いしました。

PROFILE

篠崎恵美(しのざき・めぐみ)

edenworks 主宰、フラワークリエイター。
雑誌や広告、装飾など幅広く活動。

花の命を慈しみ、生かしたいから

自然の草花や命ある、生きているものってすごいですよね。
私にとってのお花はそうして尊く思う一方で、恩を感じる大切な存在です。

振り返るとドライフラワーや生花は小さい頃から、ごく身近な存在でした。
上京するまで暮らしていた実家には、お花の大好きな私の母がたくさん生花やドライフラワーを飾っていて。もはや年代物の山の中には学生時代、母の日に贈った一輪のカーネーションの姿も。母にとって花は「どうしても捨てたくないもの」。いくらホコリを被って、汚くなってしまっても大事に残していました。

そんな姿を小さい頃から見ていたからか、日々の花仕事でやむを得ず捨てられるお花を見ては、心が痛んで。とはいえ花は鮮度が命。ウェディングやイベントで装花したお花は二度と使うことが叶いません。自分で経営する花屋でも、どうしても売れ残ってしまうお花もあります。花仕事をする以上避けられないことですが、私も母と同じように、生きているものをゴミ袋に入れて捨てたくありませんでした。

そんな気持ちを抱えながら花を捨てないようにちょっとずつできること、必要なことをつなげていくうちに、綺麗に飾り続けられるドライフラワーもあるんじゃないかと思いはじめて。その想いがかたちになったものが、ドライフラワーショップ「EW.Pharmacy(以下、ファーマシー)」で展開する植物由来の染料で染め、ガラス瓶やパッケージに詰めてお渡しするドライフラワーのプロダクトです。

ドライフラワーの新たな可能性を探って

パッケージに入れる構想はやはりお花好きの母にインスピレーションを受けました。溜まりにたまるドライフラワーの山を見て、ふと私が漏らした「汚いから捨ててよ」という一言で透明のビニール袋に入れて保管し始めたのを思い出して。その気持ちをつなげたいなと。それでドライフラワーの色味が映えるシルバーが裏面に、中が見える透明なクリアな表面になるような袋に入れてみました。

ドライフラワーに対する今までの固定概念も打ち破りたいなとも思っていて。「ドライフラワーは茶色いもの」というイメージが先立つかもしれませんが、オレンジやピンク、赤などの暖色系から、パープルや深緑、そして生花ではあまり見られないブルーなどの寒色系まで様々な色に染め上げています。

それからさらに何かできないかとドライフラワーを作るアトリエ「PLANT by edenworks(以下、PLANT)」も新しく立ち上げました。ここは私たちの考える「お花を捨てないシステム」をつなげるための場所。薬局をコンセプトにしたショップ形態のファーマシーでは伝えきれないこともありますから、ドライの加工工程をイチから見学できるここであらためて私たちの想いを感じていただき、共有できればと思っています。

ここでは「リアレンジ」といって、大事に残しておきたいお花を持ち込んでいただいてオリジナルのドライフラワーに加工し、再アレンジしていただけますし、クライアントさんを招いて、装飾で使ったお花を捨てずにお客様へのプレゼントにする提案もしています。私たちの大切にしていることがたくさんの方に伝染したらうれしいですね。

もしご自分で作られたドライフラワーを良い状態で飾ろうと思ったら強い日差しと湿気を避けることが一番です。加工段階でベランダや窓際に干して乾燥させる方がいらっしゃいますが、実際にはあまり陽に当てない方が色がきれいに残りますよ。

完成したお花は透明なガラスボトルに入れてみると、今までと違った見え方で楽しんでいただけるかなと思います。お部屋のインテリアに合わせて配色してもいいですし、ワントーンでまとめてみてもいいですね。

あらためて私が考えるのは、命あるものをできる限り長く飾りたいということ。お花を捨てる世界よりも、捨てなくなった世界の方がいいなと思っていますから。とてもシンプルなことですが、命あるものに対してていねいな気持ちが繋がっていく世界がいいですね。その気持ちを次の世代につなげていくことは、自分の使命のようにも感じます。

好きをかたちにするヒント

愛でる、飾る、ドライフラワー。

好きなものを飾ったり、写真に残したり、アルバムにしたり。あなたの「好き」をかたちにするアイデアをご紹介します。

ドライフラワーを撮影小物に

霧吹きとドライフラワーを使って幻想的な写真を撮ってみましょう。

写真を使っておしゃれに飾る

スクエア写真と一緒にドライフラワーを飾るアイデア。写真の色味とドライフラワーの色味をそろえるのがおすすめです。

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命を捨てずに、誰かにつなげたい。ドライフラワーを通じて伝えたいのは感謝とやさしい気持ち。
https://personal.canon.jp/articles/life-style/itoshino/list/dryflower
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https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/life-style/itoshino/list/dryflower/image/thumbnail-main.jpg?la=ja-JP&hash=0EE6B8D1AD3E18296D08558E93B1E30F
2021-01-25