本展は毎年沖縄で開催される写真プロジェクト『沖縄写真タイフーン<北から南から>』の連動写真展として開催される写真展です。2015年にWORKSHOPフォトネシア沖縄写真学校を受講し、ポートフォリオレビュー最優秀賞に選ばれた新城愛氏の新作約40点を展示します。
2015年に写真を使った表現に取り組み始めて以来、粗削りで真っすぐな写真で定評を得た初めての作品展「光の鼓動」から大きく変化し、本展では「Smoldering light」(くすぶる光)のタイトルのもと、外界への思考、思索の速度をゆるめ、内省的なそしゃくを経て撮影・選定された作品群を展示します。
日の当たらない所でひっそりと咲くうす紫の花一輪、けげんそうにレンズをのぞき込む子犬や不安そうに佇む街中の少女など、沖縄で暮らす日常の中で出会った何気ない光景は、氏の視線を通すことで、新たな光を放つ写真として定着され、見るものに、氏が経験した心の風景、気の動きまでも追体験させます。
作品はキヤノンのPIXUS PRO-10Sと大判プリンターimagePROGRAFでプリントし展示されます。
キヤノンギャラリー新城 愛 写真展:Smoldering light

開催日程 | 会場 |
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2017年8月30日(水)~9月14日(木) | キヤノンオープンギャラリー1(品川) |
写真家 メッセージ
私は土の中で光をくすぶらせていた
ミミズさんはそのくすぶっている光を楽しんでいた
「くすぶる」というのは物がよく燃えないで煙ばかりを出してる、また争いごとなどが表に現れずに完全に解決しないままでいること。そう、閉じこもって陰気に過ごしたい、そういうこと
くすぶったままの私をおいてミミズさんは土上に行ってしまった
本名 目見ズ(メメズ)
身長160センチ
特徴はつるりと何もないこと
ミミズさんは3日間と言って出て行ったがそれは半年のように感じた
私もだんだんと土の中が楽しくなってきた
若い生木はどうしてもくすぶる
水分が多いから
6月になってミミズさんは帰ってきた
「どうだった?」
「うん」
「土の中と同じ。なんだかわからない湿った生物がひしめいてた。」
写真も撮ってきたから、と
ミミズさんのことをずっと貧乏だと思っていたのでカメラをもっていることにとても驚いた
しかも、360度撮れる上等カメラだった
ミミズさんにとって前、上、下、横、そういう感覚はない。きっと方向音痴だと思う
ミミズさんが帰ってきて私はとても嬉しい
ミミズさんは見た目は貧乏で、弱くて何も持っていなくて、かわいくもないしモテない。何の役にもたたない
だけど、彼女はそこに存在することだけで何かの証明であり、周りを幸せにしてくれる
私はミミズさんに憧れて地上へ、光へ、空へ。
なぜだか太陽のほうへ魅かれる
そのために今私は土の中で私の管(くだ)を結っている
生木は燃えにくく、くすぶっている
写真家 略歴
新城 愛(しんじょう あい)
- 1987年
- 1月9日生まれ、沖縄県浦添市在住
- 2015年
- 10月第3回沖縄フォトネシアポートフォーリオレビュー優秀賞受賞を機に写真を撮り始める
- 2016年
- 10月 石川県金沢Slant にて初の個展「光の鼓動」
- 2016年
- 11月 沖縄県那覇市tomari にて個展「光の鼓動」
(約100 冊の手作り小冊子aizine 作成・展示)
沖縄写真タイフーン<北から南から>
沖縄で生まれ、沖縄から始まる写真力を、多様な可能性に向かって開き、同時にアジアとの交流の場を創出していくべく昨年スタートしたプロジェクト。今年度は「沖縄で生れ、沖縄から始まる写真力」により密着し、磨きをかける企画を展開していきます。そのために沖縄の若手写真家の創作活動と自主的な作品発表をサポートしていく“自由の新たな空間”として、6月にフォトネシア沖縄のメンバーも加わった自主ギャラリー「Foto Space Reago」が誕生しました。
「WORKSHOPフォトネシア沖縄写真学校」とデジタル写真ワークショップ「東松照明写真のつくり方」を継続して取り組むほか、昨年スタートし好評を得た「高校生のためのワークショップと写真展『PHOTO STEP UP』」を充実させ、沖縄の写真人口のすそ野を広げ、沖縄の写真界の将来を担う若手の育成に務めます。さらに「OKINAWA写真史プロジェクト」を立ち上げ、日本の写真史には囲い込まれない、特異な足跡を辿った沖縄の写真史を写真家や研究家や批評家などによって探訪し、その記録と記憶を体系的に把握していくと同時に、作品と併走し拮抗していく写真批評を創出し、根づかせます。
これらの事業の独自性を活かしつつ、有機的に組み合わされ、そのことによって沖縄からアジアヘ、アジアから沖縄へ、北から南から、東も西も、写真文化の新たな道を開拓していくことをめざします。
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