キヤノンギャラリー石橋 睦美 写真展:熊野・神々の大地

本展は、キヤノンフォトコレクションとして収蔵する作品の中から、写真家 石橋睦美氏が熊野をテーマに撮影した作品30点を展示します。これらの作品は2001年から2002年にかけて撮影されたもので、一部は2003年のキヤノンカレンダーとしても使用されました。

キヤノンフォトコレクションは、1994年よりキヤノンマーケティングジャパンが手掛ける、日本の優れた写真家の作品のコレクションで、現在1900点余りの作品を収蔵しています。

開催日程 会場
2017年11月25日(土)~12月11日(月) キヤノンオープンギャラリー1

作家メッセージ

素盞嗚尊が隠れたとされる熊野は、遠い昔から地の果ての隠国[こもりく]と考えられた。平安末期には後白河上皇や後鳥羽上皇など、多くの為政者が熊野詣でに行幸した聖地である。

熊野三山へ至る道筋は幾つかある。上皇や貴族が多く利用したのは大辺路と中辺路であった。枯木灘の海風に晒され、険しい山々を越え、いく筋もの谷を渡り、神坐す地へ至る厳しい参詣道である。その自然に同化する道を辿ることによって汚れは拭い払われてゆき、来世の安寧が約束されると信じられた。

作品は20年ほど前に撮影した熊野の風景である。まだ世界遺産に登録される前の、神代から続く悠久の歴史が道辺のそこかしこから匂い立っていた時代の熊野の風景である。

プロフィール

石橋 睦美(いしばし むつみ)

1947年千葉県佐倉市生まれ。10代後半から日本の自然を知る目的で各地を歩く。75年頃から東北地方のゆったりした地形の広がりと自然の豊かさに魅せられ、東北の自然をテーマに撮影をはじめる。以後、湿気に培われた日本独特の色彩が描く自然美を表現することをテーマとする。89年頃から北限から南限までのブナ林を取材。その後、自然林を背景に成り立ってきた日本の歴史文化を見いだすため全国の森を巡る。2003年、日本の森林の撮影を終了。続いて、豊かな自然に神を見いだしてきた日本人の原風景を探る目的で、神域を巡る旅をはじめる。現在は西行の足跡を追う風景をモチーフとし、デジタルカメラによる日本画的な映像表現を試みている。

おもな著書に『みちのくの名峰』『鳥海・月山』(山と溪谷社)、『ブナ林からの贈りもの』(世界文化社)、『ブナをめぐる』(白水社)、『日本の森』『熊野・神々の大地』(新潮社)、『森林美』『森林日本』『日本の森を旅する』『神々の杜』『歴史原風景』(平凡社)、近著は『民話と伝承の絶景36』(山と溪谷社)。

著作権について
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