Inter BEE キヤノンブースレポート

Inter BEE 2019

高解像度の先へ映像表現の可能性を超える
製品とソリューションを展示

キヤノンとキヤノンマーケティングジャパンは、11月13日(水)から15日(金)まで、千葉市の幕張メッセで開催された「Inter BEE 2019(国際放送機器展)」に出展しました。1,158社・団体の出展者による最新の映像・放送・通信・音響・照明・メディアビジネスのイノベーションが一堂に会する国内最大の放送・映像制作機器展示会に、本年は40,375名が来場しました。

今回のキヤノンブースのコンセプトは、「高解像度のその先へ。あらゆる映像表現の可能性を超えてゆく。」です。映像の世界では、4K、8Kなど高解像度化が進む中、「創り手」となるクリエイターは、より大きな感動を生み出すために努力を重ねています。キヤノンは、そうしたクリエイターが求める「表現力」への期待に長年培った映像技術で応えるべく、様々な新製品やソリューションを紹介しました。

最新の「CINEMA EOS SYSTEM」を体感

キヤノンブースの入口には、色鮮やかなセットを背景にモデルなどの被写体をデジタルシネマカメラ「EOS C700 FF PL」「EOS C500 Mark II」で撮影できるシューティングコーナーを設けました。「EOS C500 Mark II」は5.9Kフルサイズセンサーと新開発の映像処理プラットフォームを搭載し、最大5.9K 60P記録に対応した「CINEMA EOS SYSTEM」の最新モデル。撮影現場に応じて、EFマウントからPLマウント、EFシネマロックマウントに容易に交換が可能です。各種拡張ユニットも用意されているため、多様な撮影環境にも対応したシステム構築ができます。また、同コーナーでは、35mmフルサイズのイメージサークルに対応し、被写体を印象づける柔らかな描写が特徴の、シネマカメラ用単焦点レンズシリーズ「Sumire Prime」の7機種も展示しました。

進化を続ける8K映像ソリューションを展示

4Kの普及と並行して、8Kの実用化に向けた取り組みも加速しています。今回の展示では、自社開発の専用CMOSセンサーを搭載した「8Kカメラシステム」や、「55型 8K HDRディスプレイ」を参考出展しました。8Kカメラ対応レンズのコーナーでは世界最長焦点距離・世界最高の51倍ズームを実現した8K放送用フィールドズームレンズ「UHD DIGISUPER 51」(2020年4月上旬発売予定)、8K放送用ポータブルズームレンズ「7×10.7 KAS S」(2019年12月上旬発売予定)をはじめ、8Kに対応する豊富なラインアップを展示しました。

隣接するコーナーにはお客さまに8Kの精細さ、奥行き感を体感していただくための「8Kシアター」を設けました。これは4Kプロジェクター「POWER PROJECTOR 4K6021Z」を4台並べて大型スクリーンに8K映像として投写したもの。京都の文化財や東京の空撮映像などが、高精細な8K映像が流れる迫力ある展示となりました。

多様なニーズに応える業務用デジタルビデオカメラ

業務用デジタルビデオカメラのコーナーでは、4K UHD 60P 4:2:2 10bit記録や新ビデオフォーマットのXF-HEVC(H.265)に対応したフラッグシップモデル「XF705」、4K UHD 30P、フルHD60P/60iで記録可能な「XA55」、光学20倍ズームレンズを搭載した「XA40」を展示。日本の4K放送は2018年にスタートしましたが、映像制作現場では4K機材の導入がすでに進み、撮影の主流になっています。実機に触れて操作し、スタッフに質問するお客さまの姿が目立ちました。また、同コーナーでは、「CINEMA EOS SYSTEM」の「EOS C200B」や、ミラーレスカメラの「EOS R」を同クラスで世界最短・最軽量(※)を実現した「RF70-200mm F2.8 L IS USM」と共に展示したほか、開発発表したデジタル一眼レフカメラの「EOS-1D X Mark III」も参考出展しました。

  • 35mmフルサイズの撮像素子を搭載したレンズ交換式カメラ(一眼レフカメラ・ミラーレスカメラ)用の焦点距離70-200mm F2.8の交換レンズとして。2019年10月24日発表時点。キヤノン調べ。

プロのニーズに応える「業務用4Kディスプレイ」

カメラやレンズと共に、映像制作に欠かせないのがコンテンツを映し出すディスプレイです。コーナーではキヤノンが提供する業務用4Kディスプレイのラインアップを展示しました。既存モデルの「DP-V1711」「DP-V2411」「DP-V2421」が並ぶ中、注目が集まったのが9月6日に発表した新製品の31型4K/HDRディスプレイ「DP-V3120」。最大2,000cd/m2、コントラスト比200万:1という高輝度性能を実現し、より正確な画質確認を求めるクリエイターに向けたハイエンドモデルです。お客さまは厳しい視点でチェックされていました。

より便利に進化した「クロマキーレス背景分離システム」

テレビ番組の天気予報などで広く使われる「クロマキー(映像合成)」では、従来被写体と背景を分離するために専用セットを用意する必要がありました。そうした常識を打ち破るソリューションが、クロマキーセットを使わずリアルタイムで合成する「背景分離システム RayBrid KeyMaker」です。被写体と背景を、色ではなく距離センサーの情報をもとに区別する本システムは、場所を問わずどこでも簡単に合成映像を作成できます。これまで課題となっていた髪の毛などのエッジ処理も、技術向上でより自然な印象で仕上げることが可能になりました。セットを確保できない場合や屋外での撮影など活用の幅は広く、適用分野が広がることが期待されています。

最新の「スポーツファイルベースシステム」導入事例

4K撮影した映像は膨大な容量になり、既存環境では編集作業や保存・管理が困難になるケースが少なくありません。制作者にとって課題の一つとなっているのが、速報性の高いニュースやスポーツ中継の編集中の映像データをどのように保存・管理し、利用するかです。本コーナーでは、ネクセンタ・システムズ・ジャパンがアプライアンスとして提供する「Nexenta オールフラッシュソリューション」の導入事例として、TBSテレビの「スポーツファイルベースシステム」を紹介しました。本システムは高いパフォーマンスを持ち、標準的なハードウエアでの構成が可能。利用にあたっても専用ドライバが不要など、4K編集の利便性の向上にも寄与するソリューションです。大きなスポーツイベントが控える2020年にデータの増加が見込まれる中、課題解決に向けた提案として注目を集めました。

4Kでさらに進化「お天気カメラ/情報カメラ」

テレビ局の社屋や街頭などに設置されているお天気カメラ、情報カメラの映像は、なじみ深いコンテンツですが、お天気カメラの4K化も進んでいます。本コーナーでは、4K放送用お天気カメラ「U-4RII/4K」を展示しました。キヤノンはリモコンカメラとしての信頼性を確保しつつ、4Kの高画質を提供するための開発を行っています。また、「U-4」用のオペレーションユニットで操作可能な、屋外用カメラ一体型旋回カメラ「PTC-113II-HDSDI(CCAM)」、ネットワークカメラ「VB-H45」を制御する「MVD-5000(CCAM)も展示しました。

活用の幅が広がる「モバイルライブ中継ソリューション」

「モバイルライブ中継ソリューション」のコーナーでは、キヤノンの多目的モジュールカメラ「MM100-WS」を胸元に装着し、ソリトンシステムズのモバイルエンコーダー「Soliton Zao-S」との連携で、ライブ中継を行う仕組みを紹介しました。警備現場や工事現場での作業支援・記録、災害発生時の中継など、現場映像が必要とされるさまざまな場面での利用が想定されるほか、スポーツ中継の審判カメラなどへ活用も期待できます。また、スマートフォン用アプリ「Soliton Zao Android App/iOS App」と映像と位置情報を同時に確認する地図連携機能を搭載したクラウドサービス「Soliton Zao Cloud View」との連携で複数のカメラを集中管理することも可能です。

重要性高まる夜間映像を確保する「超高感度多目的カメラ」

2019年に相次いだ大型台風による大規模な被害は、接近や上陸がいずれも夜間だったことから、鮮明な夜間映像の重要性があらためて認識されました。本コーナーでは超高感度多目的カメラ「ME20F-SH」を使った夜間撮影の映像を展示し、優れたポテンシャルを紹介しました。本製品は肉眼ではほぼ暗闇で目の前で起きている事象を認識するのが困難な、被写体照度0.0005luxを実現しています。コーナーでは海上や沿岸、河川、山、市街地などで撮影した映像が次々と映され、「暗闇でもここまで見える」という防災用途における実用性の高さをアピールしました。また、夜間映像撮影に必要な機材をまとめて収納可能なケースも展示し、機動力を高めるための提案も行いました。

スポーツ観戦を革新する「自由視点映像生成システム」

キヤノンが開発を進めている「自由視点映像生成システム」は、スタジアムなどのスポーツ会場を360°取り巻くように設置したカメラからの映像を処理して3D空間データを構築するシステムです。実際のカメラ位置にとらわれない自由な位置、角度からの映像を提供することで、スポーツ観戦体験を革新する技術として注目を集めている本システムも参考出展しました。コーナーの展示では先日開催された「ラグビーワールドカップ2019」の試合の映像を用意。視点や時間を自由に操作できる映像に、多くのお客さまが足を止めて見入っていました。今後はスポーツだけでなく、エンターテインメント分野などさまざまな場面で活用が期待されます。

会場内を見渡す「特設ラウンジ」で4K、8K撮影を体感

会場となった幕張メッセホール入口には、昨年に続いて放送用レンズの特設ラウンジを設けました。ラウンジには8K放送用フィールドズームレンズの「UHD DIGISUPER 51」、4K放送用フィールドズームレンズの「UHD DIGISUPER 122」、4K放送用ポータブルズームレンズ「CJ18e×28B」「CJ25e×7.6B」「CJ15e×4.3B」を設置し、キヤノンブースを始めとする展示場内を撮影しながら、製品の操作性を確認していただきました。

クリエイター・開発者によるプレゼンテーション

ブース内に設けられたステージでは、「EOS C500 Mark II」を使用して番組、広告、MV、短編映画などを制作したクリエイターによるインプレッショントークや、「CINEMA EOS SYSTEM」で撮影され長編ドキュメンタリー部門で本年度アカデミー賞を受賞した映画「Free Solo」を題材に、ドキュメンタリー作品で選ばれている「CINEMA EOS SYSTEM」の紹介が行われました。開発に携わったエンジニアが登壇した「開発者が語るEOS C500 Mark II」と題した講演では、「CINEMA EOS SYSTEM」開発の歴史を振り返ると共に、お客さまから日々寄せられるご意見・ご要望に応えるための地道な努力や、操作性を高めるための細やかな改良点、工夫などのエピソードが紹介され、ものづくりの専門家ならではの「こだわり」を感じさせる内容でした。初日にはYouTubeでのライブ配信も行い、会場内だけでなく会場外にも発信。多くのお客様に視聴していただきました。

ご来場ありがとうございました。

キヤノングループは今後も映像表現の可能性を広げるための技術をさらに追及し、お客さまの課題解決をサポートするための取り組みを進めてまいります。