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EDIの2024年問題と電子帳簿保存法
~後編~

  • 会社の処方箋
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2022年10月27日

前編ではISDNサービス提供終了に伴う課題を中心に書きましたが、今回は、電子帳簿保存法との関わりについて解説いたします。

EDIと電子帳簿保存法 

2022年1月に改正された電子帳簿保存法では、電子取引における紙保存が禁止され、すべての企業に電子データ保存が義務付けられました。(2023年12月末までは猶予期間)
EDI取引は、電子データのやり取りです。EDI取引で授受されるデータは、電子帳簿保存法の規定により電子取引データとして保存する必要があります。

電子帳簿保存法における電子取引の保存要件は、次のようになります。

電子取引制度の保存要件

保存要件 検索機能の確保 取引データの種類ごとに取引年月日、取引金額、取引先で検索ができること
日付または金額に関わる記録項目については、範囲指定して条件を設定できること※1
二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できること(and検索)※1
関連書類の備え付け システム概要書類、システム仕様書、操作説明書の備え付け
見読性の確保 ディスプレイ、プリンタの備え付け
整然とした形式、明瞭な状態で、速やかに出力
措置 右記のいずれかの対応が必要 1. タイムスタンプが付された後の授受※2
2. 授受後7営業日以内にタイムスタンプを付す
(事務処理規定を定めている場合は、2ヶ月+7営業日以内)
3. データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステムまたは訂正削除ができないシステムを利用※2
4. 訂正削除の防止に関する事務処理規定の備え付け
  • ※1
    検索機能について、範囲指定と2つ以上の組み合せ検索が可能なシステムを使う場合には、ダウンロードの求めに応じる必要がなくなります。
  • ※2
    電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和3年7月)の問4によると、一部の取引についてはタイムスタンプまたは事務処理規定が必要とされているため、訂正履歴または訂正削除できないシステムを利用する場合であっても、事務処理規定は作成すべき、となっています。

EDI取引のデータは、「財務報告の信頼性」が高いため紙に出力して保存する必要はありません。
EDIシステムは、上記の表にある「措置」の中で「3. データの修正削除を行った場合にその記録が残るシステム、または修正削除ができないシステム」に該当するため、基本的に電子帳簿保存法の保存要件には問題はありません。
ただし、EDI取引データをほかのシステムと連携させる場合には、そのシステムも電子帳簿保存法の保存要件を満たす必要がありますので確認が必要です。
例)販売管理システム・会計システムなど

なお、EDI取引についても国税関係書類データの保存期間は「その事業年度の確定申告の提出期限の翌日から7年間(赤字の場合は10年間)」となります。

  • 保存期間については、各税法に定められています。

インボイス制度が始まります 

2023年10月からはインボイス制度が始まります。
インボイス制度とは、仕入税額控除の仕組みが「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」に変わるというものです。適格請求書発行事業者は、請求書フォーマットを「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」に変更する必要があります。EDIで請求データを扱っている場合は、インボイス制度への対応も必要となります。

インボイス制度においては、適格請求書発行事業者は発行した適格請求書の写しを、受領した側はその原本を、それぞれ7年間保存する義務があります。
上記の通りEDIは電子データのため、売り手・買い手共に電子データの保存が可能となり業務の効率化につながります。なお、電磁的な保存については電子帳簿保存法における保存要件に準ずることになります。

まとめ

EDI取引は、2024年1月のISDNサービス提供の終了に伴い、従来型EDIからインターネットEDIへの主流が移っていくことが予想されます。
中小企業では、従来のファクスやメールでの受発注が中心となっており、大手企業に比べてEDI取引を行っている企業はまだ多くありません。
しかし法改正などにより、中小企業もこれまで以上に業務の見直しを迫られています。見直しの際に、業務効率化や生産性の向上、昨今のデジタル化の情勢を考慮すると、電子取引は今後なくてはならない手段になってくるでしょう。
EDI取引は、業務のデジタル化の1つの手法となります。EDIを活用することで、これまで手作業+紙媒体で処理していた帳票発行にまつわる業務のデジタル化や、受発注業務の自動化といった業務効率化の恩恵を受けることができます。
ぜひ、この機会にご検討されてはいかがでしょうか。

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