第一回キヤノンフォトグラファーズセッション

いよいよ熱いフィナーレへ!キヤノン賞、2名決定。速報レポート掲載中

応募する。対話する。発表する。第1回 キヤノンフォトグラファーズセッション 参加者募集。

写真の本質をしっかり見つめ、真剣に撮り続けている若い写真家たちに出会いたい。キヤノンフォトグラファーズセッションは、日本を代表する写真家を講師に招聘。ポートフォリオのレビュー、写真集の作成、写真展の開催などを通し、若い写真家たちの活動を支援するワークショップ。ぜひ、この機会にご応募ください。

ワークショップ講師 立木義浩 ハービー・山口

第1回キヤノンフォトグラファーズセッション ファイナルセッション・レポート。

2012年3月10日(土)、午後1時。キヤノンプラザ銀座にて、第1回キヤノンフォトグラファーズセッションのファイナルセッションが開催されました。昨年11月26日(土)の1stセッション、今年1月21日(土)の2ndセッションと密度の濃いワークショップを経て、参加者たちは新たに撮影した写真を加えるなど、作品の最終方向を決定。
そしていよいよ、参加者一人一人が講師の立木義浩氏、ハービー・山口氏にプレゼンテーションを行い、2名の講師推薦者が選出されます。
今回は、参加者たちのプレゼンテーションと講師推薦者「キヤノン賞」に輝いた2名を発表します。

ファイナルセッションを迎えて。立木義浩氏、ハービー・山口氏からのメッセージ。

講師:立木義浩氏

写真:立木義浩氏

写真を撮ることは重要なことですが、それを選ぶことは、また別な意味で難しい。自分で撮って、選び、展示する場所も探す。そのすべての過程を自分一人で完結できるように育ってほしい、というのが切なる希望です。写真を壁に飾る面白みとか、多くの人に見てもらうことで磨かれるものとか、写真展をやって得られることは多々あるので、それを体験できるよう、これからも頑張ってほしいと思います。
「胸にイチモツ 背中に荷物」の、のっぴきならない表現欲を期待します。

講師:ハービー・山口氏

写真:ハービー・山口氏

今回のセッションの前提には、完成型を選ぶというより、伸びしろを持つ人を求めるという観点がありました。もちろん、最後は一から十まで自分で出来るのがいいので、この数ヶ月をひとつの刺激として、将来をめざしてほしいと思います。伸びる人ばかりだと感じています。
もちろん、その間に、挫折があったり、喜びがあったり、いろいろあるでしょうけれど、強い信念を持って自分の思いを育てていってほしいと思います。

立木義浩グループ : プレゼンテーション

泉 茜音さん タイトル : THOROUGHBRED ~ 残したい記憶 ~

写真:泉 茜音さん

私は、競走馬を初めて見た時の感動と衝撃を今でも鮮明に覚えています。優しい深い色の瞳、血管が浮き出た馬体、汗で光る筋肉の陰影、芝を鳴らす全力疾走の音。サラブレッドを間近に感じた時、見入ってしまい目を離せないような離したくないようなそんな不思議な感覚になりました。
一頭のサラブレッドにたくさんの人が携わっていて、思いや夢が託されています。いつもそこには、勝負と向き合う姿があります。その一つ一つの記憶を残していきたいと思い撮影しました。

講師 立木義浩氏の講評

講師 立木義浩氏

競馬場の風景、騎手のフォルム、馬の表情。どの一枚も、完成度は高い。劇場の出来事のように思えるほど美しい。だからこそ、この先、どうなっていくか、何を撮り続けていくか、それを知りたい。超望遠レンズで馬の蹄を撮った一枚があるけれど、こんな瞬間はいままで見たことのない。こんな一枚とは何か、自分に質問しながら撮っていくといいと思う。
馬に溺れて、盲愛があるからこそ、撮影は非情に徹しながら、センチメンタルに落ちていくのも一つの形式です。

呼坂 智恵さん タイトル : 巣立ちの日まで

写真:呼坂 智恵さん

子供と関わる仕事について十数年。自分にとって、子供は身近な存在です。18歳までの不特定多数の子供たちと接する中で、わずかな期間に、あっという間に成長し、大人になっていく姿を見てきて、その変化の早さに驚きを感じていました。実際に撮影しているのは、友人や知人、親戚の子供たちです。その子供たちが、親もとから離れ、巣立っていくまでを撮り続けたいと考えています。

また、並行して、自分自身が巣立って来た場所、実家や両親、祖母を撮っています。遠く離れて暮らしているので、滅多に会えないが、久しぶりに会うと、子供ほどの変化のスピードはありませんが、ゆっくりと確実に変わっていっていることがわかります。今回は、この2つをあわせて構成しました。

講師 立木義浩氏の講評

講師 立木義浩氏

記念写真のような、ポートレートのような、日本語で考えられた写真。曖昧さに気持ちの揺れが含まれている。それは、なぜかと思ったら、あなたの置かれている境遇、人生が写っているんだと感じた。
成長していく友人、知人の子供たちと、老いていく実家の人々。写真としては素朴で平明なんだけれど、その奥をたどっていくと複雑なテーマにぶつかる。あなたの心の片鱗が見えているので、これからも撮り続けて、そのつながりを写真で見せてほしい。
親は子の鏡である
子は初めは親を
やがて世間を模倣する
人はまねする動物です。

長渡 千佳さん タイトル : IMMATURE ~私の存在そのものが質問なのだ。その答えを知りたくて生きているんだ。~

写真:長渡 千佳ささん

私にとって、高校生の自分とは、校則や高校生らしさという言葉に束縛されていて本当の自分ではないと思っています。

自分の目に映るものや自分の気にいったものを一時的に受け止め、未熟な考えで世界の全てが手に入ったように思い、その一方で考え方が常識的ではないだとか、ファッションが変だとか世間に批判される。

そのことで自分の存在までも否定されたかのように思う。

周りから自分がどう見られているかが気になり、自分自身の存在価値を自分ではわからずにあがいている17才の私を、写真によって表現しようと思いました。

講師 立木義浩氏の講評

講師 立木義浩氏

文章を読むとずいぶん被害者意識に悩んでいるようにみえるけれど、写真はそれぞれ面白い。奇抜なファッション好きの同級生とか、夜の通りですれ違った酔っぱらいオヤジとか、対象に大胆に迫っていく度胸もある。ただ、自分で思っているものが、まだ写真に写っていない。ここにあるのは、エスキス(下絵)、エチュード(習作)、デッサン(素描)のどれかでしょう。このままで十分面白いので完成形を目指す必要は無いですね。今回のセッションで、大人と混ざって得るものがあったと思う。探すべきものは「答え」じゃない。問われているものが何かという事。
言葉に翻訳されにくい写真こそが写真文化なんだ、なう。

髙橋 聖英さん タイトル : それとなく

写真:髙橋 聖英さん

自分でもなぜ撮ったのか分からないような、ただそれとなく撮られた写真たち。それは撮影者の意図を飛び越え、内面を色濃く写し出します。

30枚という少ない数ですが、写真からなにかを感じていただけると幸いです。

講師 立木義浩氏の講評

講師 立木義浩氏

写真を撮るときの気持ち、姿勢は、自分が行動するときの杖とか、自分の写真の特長になったりする。「それとなく」というタイトルには、特別な瞬間という主張はないけれど、市井の人々の喜怒哀楽が、一枚一枚の写真に出てきている。東京と横浜の間、自分の生活圏の中で、犬がマーキングするようにシャッターを押す。スナップ写真のよさがそこにあると思う。
湯気の立ってるホヤホヤカメラマン。
撮った写真を選ぶセンスを磨くこと!!
いまは、小さな塊かもしれないけれど、やがて大作になる。続けてほしい。

植田 真紗美さん タイトル : 路傍の景

写真:植田 真紗美さん

これは、私の通勤路で、散歩道で、近所での、ごく普通の景色達です。ただ、写真にしてみると、千変万化の世界が現れてくるようにも、劇的な瞬間に出会ったような感覚にもなります。

しかし、写っているのは、やはり或る時、あった、日常の一部なのだと思います。

「叙情詩ではなく、叙事詩」立木先生のこの言葉から、自分の写真を感情から少し離れてみることによって、自分が撮った写真がちょっとした矛盾を孕んでいて面白いと思いました。

講師 立木義浩氏の講評

講師 立木義浩氏

自然を撮った風景ではなく、人工的、都会の片隅。普通の日常というけれど、普通ではない。貴方の目を通した世界が広がっている。このシリーズのポイントは光で、人工的な光の風景が続くなか、最後の一枚がさんさんと降り注ぐ太陽の光がある写真でホッとさせられた。
叙情詩のような視点だと思い込みがいっぱいの写真で終わりがちなので、対象を即物的に見る事も大事。都会の風景に向いながら「心象風景」になってしまうのが一番健全です。
つまり、「いかに風景写真でなくなるか!」

ハービー・山口グループ : プレゼンテーション

平間 明彦さんテーマ : Flower -The New Beginning-

写真:平間 明彦さん

「死」をテーマに切り花を撮影しました。この世の万物は時間と共に死に向かって行き、いずれ死を迎えます。

「死」は永遠の終わりを連想しがちですが、古代では死は終わりでは無く、新しい始まりを意味していました。終わりが無ければ始まりは来ないのです・・・。

講師 ハービー・山口氏の講評

講師 ハービー・山口氏

枯れた花は、作家にとって大きなテーマで、いままで数多くの人たちが挑んでいる。それだけに、そうとう難しいテーマです。
前回のセッションでも言いましたが、私としては「死」だけを追求するより、どこかに希望の光をみつけたい。命は燃え尽きるけれど、何かときめきを持ちながら生きよう、という道筋がもっとわかりやすく伝わると、さらに写真の世界がひろがったのではないでしょうか。

大門 美奈さん タイトル : 花月

写真:大門 美奈さん

私には伯母が4人います。うち3人は母方の姉で、上から志須子、信子、文子、母は末っ子で満子。長女である志須子伯母は煎茶道の松香庵流という流派の家元であり、私が最も尊敬する女性のひとりです。輸入業の会社で経理を担当する傍ら、昭和50年に39歳で家元を継承。現在彼女は75歳。静坡(せいは)という師名にふさわしく静かな波のような佇まいは、姪である私から見ても憧れる存在です。

私は幼い頃から煎茶道に慣れ親しんではいたものの、直接たずさわることはせず、少し歯がゆい思いをしてきました。今回、写真という形で気持ちに少しでも応えることが出来たらという思いから、伯母、嶋田静坡を撮影することにしました。

「花月」(かげつ)という題名は松香庵流の創流当時の名前、「黄檗松香庵花月流」からとりました。伯母という女性の写真の合間に少女の写真を挿入したのは、伯母の投影でもあり、私自身の姿でもあります。

家元となって30年近く経とうとしている現在の姿を見ている、少女だった頃の伯母の姿であり、憧れつつも身近な存在であったからこそなかなか近づけなかった私の姿。煎茶のお点前の流れを通じて、嶋田静坡というひとりの女性を想像できるような展示にしたいと思っています。

講師 ハービー・山口氏の講評

講師 ハービー・山口氏

茶道の流派の家元である伯母様の何を撮ろうとしたのか。そこがもう少しはっきりしたほうがよかったと思います。
茶道の専門誌に載せる説明写真ではいけない。そこを乗り越えて、流派の精神性が作品にほとばしることも必要です。沖縄の踊りのお師匠さんを取材したときがあって、その方は、様式を教えるのではない。人間性を育てるのです、とおっしゃっていました。伯母様の考え方が、伝わるともっといい作品になると思います。

岡本 隆史さんテーマ: 『 SHONAN ♥ LOVE 』

写真:岡本 隆史さん

いったいどれだけの人が、自分が輝いているその瞬間その素晴らしさに気付くことが出来るのだろう。人は年齢に関らず青春の輝きを放つ瞬間がある。だがほとんどの場合、その真っ只中にいる時には自ら気付くことはまずないだろう。
またいったいどれだけの人が、今ここで生きているということへの素晴らしさに気付けているのだろう。
人は何かを失うまでは、日々の生活に流されそのことの大切さや有難さをついつい忘れがちになってしまうものである。

僕はそれらを、青春の輝きを、今ここで生きているという証を残してあげたい、いや残すべきものだと思い写真を撮っている。それは言うならば欲望であり、使命感でもある。僕がやらなきゃ誰がやるんだといわんばかりに。
ここに写っているポートレートは全てそんな想いで撮られたものです。
湘南でもパリでもヴェネツィアでもどこでも変わることのないシンプルで永久不滅なポートレート。
突然みんなの中に入っていき、ちょっとだけ混ぜてもらって一緒により良い想い出を残す。
いつかはわからないがその人がいずれこの世を去ってしまった後、みんなの記憶の中にいつまでも残るにふさわしい最高の瞬間を撮ってあげたい。

講師 ハービー・山口氏の講評

講師 ハービー・山口氏

湘南という場所を決め、底抜けに明るい表情や仕草を切り取っている岡本さん。私の写真のテーマと共通点があって、とても親しみを感じました。彼はプロとしての確かな技術もありますし、すぐに個展にこぎつける完成度もあります。ただ底抜けに明るい表情に中に、切なさがもう少しあると、深みが増すのではなでしょうか。
氷山に例えれば、海面下には大きな氷の固まりがあるといった、人生の深さまで表現出来たらすごいことになる、と期待しています。

横井 健治さん テーマ : -kixiler- ~新疆ウイグル自治区に生きる人々~

写真:横井 健治さん

広大な中国大陸の最西部に位置し、タクラマカン砂漠を中心に抱く新疆ウイグル自治区には、多くの民族が独自の文化と習慣を守り受け継ぎながら厳しい環境の中で暮らしています。

講師 ハービー・山口氏の講評

講師 ハービー・山口氏

1stセッション、2ndセッションを経て、今回のプレゼンテーションを受けているのですが、最初感じた観光写真の雰囲気が消えている。その国の人たちのポジティブな表情が切り取られている。力のあるセレクションだと思います。観光で訪れる旅行者が撮る写真ではない、10年住んでいなければ撮れない写真がありました。あとは、どう選び、どう構成するのか、その視点の持ち方だと思います。

堤 賢悟さん テーマ  : Sumo Young !!

写真:堤 賢悟さん

私は、2年前から相撲部屋に通って写真を撮らせてもらっています。普段は、お相撲さん達の生活風景などのドキュメンタリー写真を撮っているのですが、ハービー・山口さんのご指導や他の方の作品を見る中で、もう一度自分の中で練り直し、このセッションのために新たに撮り溜めた写真です。普段撮っているドキュメンタリー写真ですと、どうしても相撲に対して、偏見や興味のない人には、楽しんでもらえないものでした。ですが今回の作品なら、そういった人達の心を掴むだけの力があると思います。偏見や興味のなさを超越するだけのパワーをこの写真に映っている若者達は持っていると感じています。

そして私がこの写真を見てもらいたい人達は、私やお相撲さん達と同世代の20歳前後の若者です。相撲という特殊な世界に飛び込みその世界で生きることに人生をかける姿を見てもらうことで私自身が体験したように生きていく上での視野を広げることができると感じています。

講師 ハービー・山口氏の講評

講師 ハービー・山口氏

1stセッションのとき、彼が持ってきたのは、相撲部屋をモノクロで撮ったドキュメント写真でした。もう少し、突っ込んで撮れるんじゃないですか?と言うと、2ndセッションのとき、相撲部屋に白ホリとストロボを持ち込んで、まったく違う方法でトライした写真とスポットを使用した厳しい表情をした写真を持ってきた。新しい相撲写真の世界がここにあると思います。

第1回キヤノンフォトグラファーズセッション「キヤノン賞」受賞者発表。

立木義浩 グループ 植田 真紗美さん タイトル :  路傍の景

ハービー・山口 グループ 堤 賢悟さん テーマ : Sumo Young !!

キヤノン賞のおふたりは、今年7月19日(木)~25日(水)まで、キヤノンギャラリー銀座にて写真展を開催していただきます。そして副賞として、EOS 5D Mark IIIが贈られました。
また、ファイナリスト10名全員で今年7月20日(金)~7月26日(木)まで、キヤノン本社、品川オープンギャラリーにて、合同写真展が開催されることになりました。

どうぞ、ご期待ください。

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