環境への取り組みマネジメントシステム

キヤノンの環境保証の考え方

キヤノンでは、環境保証活動の基盤となる「キヤノングループ環境憲章」において、環境保証活動と経済活動の2つのベクトルを一致させていく「EQCD思想」によって、「資源生産性の最大化」を追求することを掲げています。加えて、めざすべき将来像として、環境ビジョン「Action for Green」において「豊かな生活と地球環境が両立する社会」を描き、その実現に向けてお客さまやビジネスパートナーの皆さまとともに、グループ全体で環境保証活動を推進しています。一方で、市場における環境ニーズの高まりに対応することが、競争力の高い製品を生み出す機会になるとも考えています。こうした認識のもと、「高機能化」と「環境負荷低減」を同時に実現する付加価値の高い製品を創出すべく、常に技術革新を図っています。

グローバル環境推進体制

グローバル環境推進体制

グローバル環境推進体制

キヤノンでは、世界各地のグループ会社が一丸となって環境保証活動を展開していくために、環境担当役員であるキヤノン(株)副社長のもと、「環境統括センター」を中核としたグローバルな環境推進体制を構築しています。

環境マネジメントの仕組み

環境保証活動の継続的な高度化・効率化を図っていくための仕組みとして、国内外の事業所で環境マネジメントシステム(EMS)を構築しています。このシステムは、各部門(各事業本部、各事業所およびグループ会社)の活動と連携した環境保証活動を推進(DO)するために、中期ならびに毎年の「環境目標」を決定(PLAN)し、その実現に向けた重点施策や行動計画を策定して、事業活動に反映させています。さらに、各部門における取り組み状況や課題を確認する「環境監査」や、業績評価に環境側面を取り込んだ「環境業績評価」を実施(CHECK)し、環境保証活動の継続的な改善・強化(ACT)へつなげています。同時に、各部門の環境保証活動においても、それぞれPDCAサイクルを実践することで、継続した改善・強化を図り、グループ全体の環境保証活動を推進しています。環境統括センターでは、環境にかかわる法規制情報の収集、グループ全体の方針設定や規程などの制定、環境保証活動の評価方法の立案・管理を行うなどシステムのスムーズな運営を支援しています。
また、EMSの有効性を第三者により客観的に評価するために、国内外の生産・販売会社でISO14001統合認証を取得しています。2015年12月時点で、キヤノン(株)および世界40の国・地域のグループ会社126社(合計127社)が統合認証の対象となっています。
この仕組みのなかで環境統括センターの所長は、環境マネジメントシステムの管理責任者としてグループ全体の環境保証活動を統括し、その進捗結果をマネジメントレビューでキヤノン(株)会長ならびに社長、副社長に報告します。
さらに、各事業本部・各事業所・主要グループ会社には環境保証活動を推進する担当部門・担当者を置き、環境統括センターが策定した目標の達成状況や規程の遵守状況を把握するなどして環境マネジメントを徹底しています。環境方針や目標などの重要な決定事項については、経営戦略会議に諮り、承認を受けることとしています。
なお、2015年9月にISO14001が改訂されましたが、キヤノンでは2015年末に改訂を完了し、2017年には新規格にもとづく統合認証を取得する予定です。

キヤノンの環境経営システム

キヤノンの環境経営システム

LCA手法を活用した製品開発の仕組み

環境経営システムのPDCAサイクルのなか、環境目標達成に向けて各部門で活動を進めています。
その一つとして製品開発ではライフサイクルにおける環境負荷低減を実現するために、「ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数」の目標達成に向けて、LCA(ライフサイクルアセスメント)の手法を導入。製品開発から情報公開までを一貫体制で管理できる「LCA開発マネジメントシステム」を構築し、開発・設計段階からCO2排出量の算定を行い、目標到達に向けて改善を繰り返す体制を整備しています。
こうした体制のもと、使用時の消費電力の少ない省エネルギー設計、小型・軽量化やリサイクルに配慮した省資源設計など、製品ライフサイクル全体を考慮した環境配慮設計を追求しています。同時に、EUのErP指令をはじめ、各地域の省エネ規制に対応した製品設計を行い、各種環境ラベルの取得などを行っています。

LCA手法を駆使した環境配慮設計の流れ

LCA手法を駆使した環境配慮設計の流れ
LCA手法を活用した環境配慮設計を実施LCA手法を活用した環境配慮設計を実施

製品環境情報管理の仕組み

商品企画から製品の開発・設計・試作、品質保証、生産、販売に至る各段階において、製品の環境特性にかかわる環境基礎情報を、イントラネット上で集約し、グループ内で共有する仕組みを構築し、運用しています。
製品として遵守が求められる各国・地域の法規制などの情報は「法規制情報DB」に集約・管理し、「法規制(エコラベル)対応ITシステム」「PDM(Product Data Management)システム」によって、関係部門で共有しています。
設計部門では、これらのシステムに蓄積された製品情報を活用し、確実な遵法対応を進めています。
製品化のステップにおいては、商品企画、試作、信頼性評価の3段階で「製品環境アセスメント」を実施し、環境対応の評価確認を行っています。さらに、サプライヤーの環境対応状況を「統合取引先情報管理システム」に蓄積し、サプライチェーンマネジメントに活用しています。
これらの環境基礎情報と、製品・部品中の化学物質情報を管理する「化学物質統合管理システム」や「オンライン調査システム」の連携により、製品、部品材料、包装材料、取引先環境評価に関する環境情報をグループ内で共有しています。
キヤノンでは、これらの情報システムを活用して「製品化学物質保証体制」を構築し、世界各国における環境化学物質規制や各種エコラベルへの対応を行っています。

製品環境情報管理の仕組み

製品環境情報管理の仕組み

サプライヤーにかかわる環境保証活動

グリーン調達基準書Ver. 11.0グリーン調達基準書Ver. 11.0

キヤノンは、サプライチェーン全体を通した化学物質管理に向けて、環境に関するサプライヤーへの要求事項を定めた「グリーン調達基準書」を策定し、サプライヤーとの取引において、その遵守を必須条件としています。
具体的には、「環境活動全般の仕組み・取り組み」と「納品いただく部品・材料に含有される化学物質管理」という2つの視点からサプライヤーの遵守状況を定期的に確認しています。万一、サプライヤーが環境にマイナス影響を及ぼした場合には、直ちに是正処置を求め、その改善状況を確認しています。
「環境活動全般の仕組み・取り組み」については、グリーン調達基準書を通じて大気や水域などの汚染防止や環境負荷低減活動につながる環境管理システムの構築と運用を求めています。これらのサプライヤーの取り組み状況を確認するために、毎年環境調査を実施しています。この項目のなかでは、CO2排出削減に関する目標設定や活動の有無なども確認しています。
また、サプライヤーおよび部品・材料に関する環境対応状況の確認情報は、それぞれ「統合取引先情報管理システム」と「化学物質統合管理システム」に蓄積し、これらの情報をもとに量産前の製品アセスメントを実施することで、製品含有化学物質の厳格な管理を実現しています。
なお、キヤノンで使用を禁止している化学物質であっても、社会的に流通している鉛などの物質については、製造工程で混入する恐れがあることから、社内でも定期的に分析評価を実施しています。
また、環境対応に関する業界標準の改訂状況や法規制動向を踏まえて、管理手法や管理すべき化学物質などを定期的に見直し、基準書に反映しています。

サプライヤーの環境対応状況確認に対する2つの視点

「環境活動全般の仕組み・取り組み」の確認

「納品いただく部品・材料に含有される化学物質管理」の確認

製品含有化学物質の管理体制

製品含有化学物質の管理体制

TOPICS

中国でのサプライヤー管理の取り組み

近年、中国では環境に対する規制強化が進んでおり、2015年に策定された第13次五カ年計画においても、大気や水質、土壌への汚染物質の排出抑制が課題に挙げられ、その対応ニーズはますます高まりつつあります。また、企業は自社の汚染防止だけではなく、サプライチェーンを通した汚染防止も求められています。
キヤノンでは、中国の環境NGO「公衆環境センター(IPE)」と意見交換を行いながら、中国におけるサプライチェーンの対応の適切性を確認しています。
例えば、キヤノン中国では、契約する廃棄物業者による廃棄物の適切な処理に関して、IPEが公開する情報も活用しながら確認を行っています。

環境法規制対応マネジメント

キヤノンは、環境法規制を遵守するため、さまざまな対応を進めています。例えば、新たに事業拠点の候補地を選定する場合、環境インフラや周辺環境を調査するとともに、過去の利用履歴を含む土壌・地下水の評価を実施しています。
また、世界各地での法規制の変化に対応するため、各地域の統括会社のネットワークを生かして、現行の法規制と立法過程の法規制についても、キヤノン製品や事業拠点活動への影響について常にモニタリングしています。その結果を環境統括センターに集約し、分析後に対応方法を決定して、各事業本部の開発・設計部門などへ周知徹底を図っています。

環境業績評価制度

キヤノンでは、各事業本部やグループ会社の経営状況を評価する「連結業績評価制度」に「環境業績評価」を組み入れています。環境業績評価は、環境目標に掲げる取り組みなどについての達成度を環境統括センターが評価するもので、連結業績評価の総得点中、約10%を占めています。
評価指標は、主に「法規制・社内基準遵守」「環境目標の達成状況」「製品の環境パフォーマンス改善実績」「コミュニケーション」などであり、評価結果は半期ごとにグループ内で発表されます。
今後も、継続的に評価方法を見直しながら制度を改善し、環境経営のレベルアップに努めていきます。

環境業績評価の流れ

環境業績評価の流れ

環境監査

キヤノンでは、環境関連法規制や「キヤノングループ環境共通規程類」の遵守状況、EMSや製品化学物質保証などの運用状況を評価し、継続的に改善していくことを目的とした環境監査を実施しています。
その内容は、「キヤノングループ監査方針」にもとづき、環境統括センターが実施する「本社環境監査」と、各事業拠点/事業本部の監査部門が実施する「事業拠点環境監査」「製品環境監査」からなり、一部の拠点では拠点間の相互監査も実施しています。なお、監査結果は、環境統括センター内のグループ監査統括部門がまとめ、マネジメントレビューの情報として会長および社長、副社長に報告しています。
2015年もこれら監査を実施し、重大な問題点がないことを確認しました。加えて、環境統括センターによる監査員教育を7回、事業拠点環境監査に対する支援を2回実施しました。今後もこうした取り組みを通じて、監査レベルの向上を図っていきます。

環境教育

キヤノンでは、グループ従業員全員が環境保証の重要性を理解・認識し、日々の業務のなかで主体性をもって取り組むことを目的に、環境教育を推進しています。
キヤノンの環境教育は、全従業員を対象に、基本的な環境知識の習得を図る「自覚教育」と、環境管理に関する専門的な知識の習得により、環境保証活動の中心となる人材を育成する「専門教育」の二本柱で構成されています。
環境問題を取り巻く社会情勢の変化や技術革新を踏まえて、常に教育プログラムの見直しを図っています。2015年は、製品環境保証に関する遵法レベルの維持、向上を目的に、製品アセスメントおよび物品調査にかかわるコンプライアンス研修プログラムを充実させました。この結果、1,886人が自覚教育を、2,257人が専門教育を受講しました。

環境教育一覧

研修名 研修形態 研修の概要
自覚教育 グローバル環境教育《自覚》プログラム WBT教育 グループ全従業員が、環境に関する基礎的知識を理解する
管理職のための環境マネジメント教育 WBT教育 管理職が、各職場業務と環境保証活動とのかかわりを理解し、組織の環境活動に反映することを学ぶ
海外赴任者向け環境教育 WBT教育 海外赴任者が、環境に関する社会動向やキヤノンの取り組み、法規制などの情報を学ぶ
専門教育 環境監査員研修 基礎編(事業拠点) 集合教育 事業拠点系の環境監査に関する基礎的知識と技能を学ぶ
基礎編(製品環境) 製品環境系の環境監査に関する基礎的知識と技能を学ぶ
製品環境保証物品調査実務者研修 集合教育 物品判定の実務担当者、経験者が、製品化学物質保証の一環として実施する物品調査概要の理解と、物品調査データの検証・判定方法などの習得を図る
CAPRI実務者研修 物品調査担当者編 集合教育 CAPRIのシステム概要、基本操作、物品調査実務のワークフローに従った調査実務に必要な操作を学ぶ
製品評価担当者編 CAPRIのシステム概要、基本操作、製品評価実務のワークフローに従った評価実務に必要な操作を学ぶ
取引先環境評価者研修 集合教育 取引先環境評価者に必要な知識および評価手法を習得する
開発・設計者のための製品環境保証講座 WBT教育 環境配慮設計に必要な技術標準、関連法規制、製品アセスメントなどの概要を理解・習得する
化学物質管理担当者研修 集合教育 各職場の化学物質管理担当者が、環境と安全衛生の両面から、化学物質の適正な使用と管理方法を習得する
化学物質管理基礎講座 WBT教育 化学物質管理の基礎を学ぶ
化学物質取扱者基礎講座 WBT教育 化学物質による環境汚染や労働災害の防止を図る上で最低限知っておくべき事項を習得する
コンプライアンス
教育
製品アセスメント実務者研修 WBT教育 製品アセスメントにおいて、評価項目を定める方、および製品アセスメントの適合性、目標達成度を判断する方が、関連する知識と仕組みを習得する
物品調査実務者講座(基礎編) 製品含有化学物質保証業務において、規制やルールなどの要求事項および物品調査の仕組みなどの保証体制を学ぶ
物品調査実務者講座(妥当性評価編) 物品調査における取引先からの回答について、妥当性の評価を行う上でのポイントや知識を学ぶ
物品調査実務者講座(適合性確認編) 物品調査結果にもとづく、物品の製品への適合性確認方法、使用可能合否の判定基準などを学ぶ
このページのトップへ