環境への取り組みマネジメントアプローチ

重要課題と環境側面

企業が直面する環境課題が多岐にわたるなか、環境保証活動を効率的かつ効果的に推進していくためには、自らの事業活動の特性や環境に及ぼす影響などを把握した上で、リスクと機会の両側面を踏まえて、優先的に取り組むべき課題を明らかにする必要があります。キヤノンは、マテリアリティ(重要課題)を特定するために以下のようなマテリアリティ分析を行っています。
まず、世界が直面する環境課題に対して、社会の動向を把握し、キヤノンの事業活動に関連する環境側面を整理しました。それらの環境側面について、「ステークホルダーの相対的な関心度」と「キヤノンの事業活動への相対的な影響度」の2つの視点から、その優先順位を評価しました。ステークホルダーの相対的な関心度においては、ステークホルダーが環境分野で関心をもっている項目についてグローバルな調査を行い、また、キヤノンの事業活動への相対的な影響度については、それぞれの環境側面において想定されるリスクと機会を考慮してキヤノンの事業活動への影響度を評価し、優先順位をつけました。
その結果、ステークホルダーの関心度は「製品使用時のエネルギー消費」についての関心が最も高く、次いで「製品における資源消費」「事業拠点におけるエネルギー消費」が高くなっています。これらの側面はキヤノンの事業活動においても重要であり、中期環境目標に盛り込んで製品ライフライクルの各ステージで環境負荷削減の取り組みを進めてきました。
一方、化学物質の法規制が厳しくなるなか、「製品における化学物質の使用」については、ステークホルダーの関心度は上述の側面と比較すると相対的には高くありません。しかし、キヤノンでは製品やサービスを提供する企業として遵法にかかわる側面であると考え影響度を高くしています。また、事業拠点からの廃棄物発生や大気・水域などへの排出物を抑制することも立地する地域にとっては大切な取り組みであると認識し、これらについても目標、排出基準値などを設定して対応を進めています。
生物多様性保全については事業活動のさまざまな面で直接的・間接的に関連する要素であり、相対的には影響は低いものの、継続的に対応を進めていく領域であると認識しています。
こうしたマテリアリティ分析を踏まえ①低炭素社会実現への貢献②資源循環型社会実現への貢献③有害物質廃除と汚染防止④自然共生型社会実現への貢献、の4つをマテリアリティ(重要課題)とし、これらの課題への取り組みを進めています。

マテリアリティマトリクス

マテリアリティマトリクス

低炭素社会実現への貢献

地球温暖化による気候変動への危機感が高まるなか、「国連持続可能な開発サミット」で発表された「持続可能な開発目標(SDGs)」では気候変動やエネルギー問題への対応に対する目標が設定されています。また、「気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」における「パリ協定」の採択など、低炭素社会の実現に向けた国際的な目標や枠組みが整備されつつあります。
気候変動に関するリスクとして、省エネルギー関連の規制強化やこれに対応するための省エネルギー投資コストの増加などが挙げられます。また機会としては、製品のエネルギー消費などへの関心が高まることで省エネルギー製品購入意識が拡大することや工場の省エネルギー化などの動きが高まることで、工場のコスト削減などにつながる機会としてとらえています。こうしたリスクと機会の両面を認識した上で、低炭素社会の実現に貢献していくため優先的に取り組む活動として、①製品使用時の消費エネルギー削減②事業拠点におけるエネルギー使用量削減③製品輸送時のエネルギー使用量削減を挙げ、それぞれ取り組みを進めています。

資源循環型社会実現への貢献

エネルギー資源や鉱物資源などの枯渇や廃棄物の適正処理への懸念から、限りある資源を効率的に利用するとともに、積極的に再利用することで、持続可能な循環型社会を実現しようとする動きが世界規模で加速しています。例えば「持続可能な開発目標(SDGs)」では、持続可能な生産や消費に関する目標なども設けています。こうした背景のもと、メーカーに対しては、資源消費量を抑制するための小型・軽量化の促進、開発・設計段階からのリサイクルへの配慮、さらには製品販売後の回収・リサイクル体制の整備などが求められています。
こうした動きのなか、資源枯渇や廃棄物処理に関するリスクとして、資源価格の高騰による原材料調達コストの増加、気候変動がもたらす異常気象や自然災害の発生による水の安定調達への影響などが挙げられます。一方で、リサイクルに配慮した製品設計やリサイクル技術の開発は、天然資源への依存度低減、廃棄物の削減などにつながることから、資源の安定確保や事業活動におけるコスト削減にも寄与できる機会であると考えています。こうした認識のもと資源循環型社会の実現に貢献していくために優先的に取り組む活動として、①製品における省資源化②事業拠点での廃棄物の排出削減③事業拠点における水の効率的使用を挙げ、それぞれ取り組みを進めています。

有害物質廃除と汚染防止

身の回りの製品に含まれる多種多様な化学物質のなかには、大気や水域、土壌などの環境や、消費者の健康への影響が懸念されるものも少なくありません。欧州ではRoHS指令やREACH規則など製品含有化学物質に対する規制が厳格化しており、その動きがほかの地域にも波及しつつあります。また化学物質の排出に関しても規制の強化が進んでいます。こうした背景から、「持続可能な開発目標(SDGs)」でも化学物質を適切に管理し、排出抑制につなげるための対応目標が設けられています。
化学物質に関連するリスクとして、規制未遵守による製品出荷の停止、サプライチェーンにおける禁止物質混入リスクの増加などが挙げられます。
機会としては、安心・安全の提供による製品競争力の維持、ブランド価値への好影響、サプライチェーンを含めた管理コストの削減などにつながるものととらえています。こうした認識のもと有害物質の廃除と汚染防止に向けて優先的に取り組む活動として、①製品における規制物質の廃除②事業拠点からの化学物質の排出削減を挙げ、それぞれ取り組みを進めています。

自然共生型社会実現への貢献

気候変動や過度な開発による生物多様性の損失が深刻化するなか、企業に対しても「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」で採択された「愛知目標」の達成に向けた取り組みが求められています。キヤノンは、生物多様性が持続可能な社会づくりにおいて不可欠な要素であることを認識し、キヤノンの「生物多様性方針」にもとづき、世界各地で活動を展開しています。

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